受刑者と文通するグラビアイドル緑川ちひろさん

人権TODAY

今回のテーマは…刑務所に収容されている受刑者と文通をしているグラビアアイドル緑川ちひろさんを紹介します。主に雑誌の表紙やグラビアページなどに出演しているタレントさんです。彼女はこんなふうに自己紹介しています。   

「緑川ちひろと申します。グラビアアイドルとして活動してまして、DVD5枚に出演しております。グラビアの他にちょっと変わった趣味がありまして、私は刑務所に非常に興味があって、それに関係するコラムを雑訴に書かせていただいたり、ラジオで話をしたりしています。その辺が普通のグラビアアイドルと少し色が違っているかなという感じです。」(緑川ちひろさん)

緑川さんは2019年にグラビアアイドルとしてデビューして夕刊紙「東京スポーツ」のイメージガール「ミス東スポ2020」に選ばれています。またコミュニティラジオのDJ、イベントの司会など、多方面で活躍しています。その一方、彼女は刑事事件の容疑者や被告が入る拘置所や、有罪が確定して刑期をつとめる刑務所に収容されている人たちの施設の中での暮らしかたや専門用語などに関心があり、自分で調べた様々なことをメディアで発信しています。

きっかけは中学生の時に読んだ刑務所が舞台のマンガ、花輪和一さんの「刑務所の中」や郷田マモラさんの「モリのアサガオ」だそうですが、社会人になってから東京拘置所で行なわれた「矯正展」を見に行き、そこで影響を受け、より深い関心を持つようになったそうです。「矯正展」は刑務所・少年院などの理解を深めるための啓発展示や受刑者が作った作業製品の即売などをするイベントで全国の刑務所・拘置所などで定期的に行なわれています。

グラビアアイドル・緑川ちひろが受刑者と文通を始めたきっかけ

刑務所に関する趣味のひとつとして、彼女は1年ほど前から拘置所や刑務所の被収容者と文通を続けています。まず緑川さんがどんなきっかけで、どんな人と文通しているか聞きました。

刑務所用語に興味がありまして、シャバとは違った言葉を使ったりするので、それが不思議で面白いなと思って、雑誌の編集者に話をていたら、面白いから刑務所用語の特集を組もうとなり、コラムを書かせていただいたりとか、そこになぜか私の水着の写真が横に添えられているですが(笑)編集の方に「『お手紙待ってます』と書いたら絶対来るよ」と言われて、「ぜひその言葉を入れさせてください」と手紙の募集を原稿に書きました。そうしたら読んだ拘置所の中の方が編集部に手紙を送ってきてくださって、それに私が返信するという形で文通が始まりました。最初に来たのは本当に1通だけでしたね。そこからどんどんどんどん増えていって、返事を書かせていただいて、1年ぐらい前から始めて、今、15人ぐらいの方と文通しています。」(緑川ちひろさん

緑川さんが原稿を書いた雑誌は刑務所では読めない雑誌でした。ただ、拘置所には差入れ可能なので、そこで記事を読んだ人がファンレターのように手紙を送ってくれたのだそうです。その後、裁判で刑期が確定して刑務所に移送されてからも緑川さんはやりとりを続けています。

拘置所や刑務所に収容されると施設の外の社会や人との接触がかなり限定されます。とくに刑務所の受刑者は面会できるのがほぼ肉親や親戚に限られます。そのため、俗に「シャバ」と呼ばれる施設の外の社会とつながる方法として、手紙のやり取りがとても重要で貴重な機会、方法になります。

「受刑者も一人の人間」

文通をしている手紙の内容や、それを通じて感じたことを緑川さんはこのように話しています。

基本的には皆さん、私に興味を持って手紙を送って来てくださるので、ぜひ文通したいですとか、 慰問に来てくださいとか面会してくださいとか、施設での生活の中で疲れてるんだなと感じる言葉が多いです。ほかにはちょっと深刻に、「今までの人生を悔いています」みたいな懺悔の言葉を綴ってくださる人がいたり、拘置所から、今やっている裁判への不安や不満を手紙にぶつけてくる方もいらっしゃいます。正直、最初の頃はちょっとこわいかなという思い込みもあったんですけど、実際に文通をして、一家のお父さんであったり、ひとりの人間であると感じて、偏見というか、こわさはなくなりました。「家族に会えなくて悲しくて涙が出てしまいます」みたいなことが書いてあると、私もグッと来てしまうことがあります。拘置所や刑務所の中にいる人は、自分の裁判や、罪を償うための懲役とか、気持ちはそういう日々のことで精一杯だと思うんですけど、それでも皆さん、私に対する応援のメッセージを必ず書いてくれて、その言葉に私も励まされて、笑顔になって、パワーをいただいてます。」(緑川ちひろさん)

一般の人が受刑者と文通を行うには?

緑川さんの場合、雑誌の記事で呼びかけて文通を始めましたが、一般の人と刑務所の受刑者との文通を仲介する取組みもあります。以前、番組で紹介した、受刑者や出所者の支援をしているNPO法人マザーハウスという団体があります。(https://www.tbsradio.jp/archives/?id=p-511742)

マザーハウスでは、受刑者との文通を仲介する「ラブレター・プロジェクト」という取組みをしています。(https://motherhouse-jp.org/project/mlp/)

NPOの事務所の住所を中継地にして誰でもボランティアとして、受刑者との文通ができる取組みで現在、約400人が参加しています。マザーハウス代表の五十嵐弘志さんは受刑者とボランティアが文通することの意義について、次のように語っています。

刑務所に入ると家族や親戚との縁が切れてしまう人もいるんです。そうすると、外の人間と接する方法がなくなってしまうんですね。人間は、刑務所にいて孤独の中で自分を見つめることはきついし、難しい。だけど、手紙のやり取りならば、親族以外でもできます。それが受刑者にとって刑務所の外とのつながりになる。ボランティアと文通してコミュニケーションすることは、受刑者が社会に出てからのことや、人間関係について思い及ぶ機会になり、更正や社会復帰について前向きに考えるために大事な役割をします。ボランティアにとっても受刑者と向きあうことで、その人たちがどんな痛みを抱えているかを知ることができます。」(マザーハウス代表の五十嵐弘志さん)

マザーハウスでは過去に「文通講座」などのイベントも開催しています。※現在はコロナで開催日程が未定。オンライン講座などを構想中 (https://motherhouse-jp.org/report20200125/)

将来の夢は「刑務所慰問」

最後に、緑川ちひろさんは将来の夢をこのように語っています。

私は最終的にはタレントとして慰問をしに行くのが夢ですね。詩の朗読とかただ私が語るみたいな感じになってしまうと思うんですけど、何らかの形で慰問をしに行って、直接皆中の方と関わって少し元気を持ってもらえればなと思います。ただの刑務所マニアだった私ですけど、文通している方が手紙をきっかけに 更正の道を歩んでくれて、私がほんのちょっとでも癒しとか応援みたいな感じで役に立てるようになれればいいなという風に思います。」(緑川ちひろさん)

緑川さんは手紙の中で「刑務所のアイドルになってください」と書かれることもあるそうです。慰問が実現すれば、彼女は新しいタイプのアイドルになれるかもしれません。今後も彼女の活動や発信には注目して欲しいと思います。

緑川ちひろさんの活動やDVDなどの情報は、以下のサイトでご覧ください。

ツイッター https://twitter.com/cchhii64

インスタグラム https://www.instagram.com/chihiro_midorikawa/

カロスエンターテイメント https://kallos-entertainment.com/?ac=proe&id=276

(担当・フリーライター 藤木TDC)

 
 
 
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