生活困窮者に職「夜のパン屋さん」

森本毅郎 スタンバイ!

コロナ禍で仕事や住まいを失う生活困窮者が増え、支援団体への相談件数も増えてきています。そうしたなか、生活困窮者の雇用を生み出す為に去年10月にオープンしたお店が注目されています。TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」で竹内紫麻キャスターが取材報告しました。

★「夜のパン屋さん」とは

まずは「夜のパン屋さん」について、お店に関わる認定NPO法人「ビッグイシュー基金」共同代表の枝元なほみさんに伺いました。

「夜のパン屋さんというのは、火・木・金、神楽坂の「かもめブックス」という本屋さんの軒先で、夜7時から9時過ぎを目安にオープンしているお店です。パン屋さんが閉店前後に残ってしまいそうなパンを買い上げさせていただいて、そのパンを集めて売らせていただくという形をとっています。それは食品ロスをなくす事、そして生活に困っている方たちの仕事作りを兼ねていくという両方の目的のためにやっています。」

(「ビッグイシュー基金」共同代表 枝元なほみさん)

「夜のパン屋」さんは、生活困窮者の方たちに自立支援を続ける「ビッグイシュージャパン」の新規事業。今は緊急事態宣言に伴いお店はお休み中ですが、来週火曜、21日から営業再開になるとして、改めて注目されています。

▲「夜のパン屋さん」は神楽坂「かもめBOOKS」軒先で(公式Instagram @yorupan2020 から)

「ビッグイシュー」は、日本でもすでに定着しましたが、元々はイギリス発祥で、路上生活に追い込まれた方たちが収入を得る手段として始まりました。オリジナルの雑誌「ビッグイシュー」を作って、路上に立って、1冊450円で販売。そのうちの230円が販売員の方の収入になるという仕組みで、生活困窮者が、働いて、稼いで、自立した生活を、という支援です。

その「ビッグイシュー」が、そんな中、新たに、売れ残ったパンが捨てられている食品廃棄問題にも向き合う支援の形として「夜のパン屋さん」を始めたというわけです。

パンは提携したパン屋さんから仕入れますが、地方のパン屋さんに関しては冷凍で送ってもらい、都内のパン屋さんには販売員の方が営業終わりの時間に売れ残ってしまったパンをピックアップに行く。

そうして安く仕入れたパンを、神楽坂の「夜のパン屋さん」で販売をする。「ビッグイシュー」は雑誌の販売に応じて収入が得られますが、「夜のパン屋さん」では時給1050円が保証されている点が新しいポイントです。(1時間で雑誌を5冊売るくらいの収入になりますね)

▲どこのパン屋さんのパンなのか手書きで宣伝!
 その日に仕入れたパンはSNSで告知!(公式Instagramから) 

★働く人の実感は

際に雑誌の販売と夜のパン屋のお仕事をされている販売員の方にもお話しを伺いました。販売員の西篤近さんのお話しです。

「やはりこのコロナや緊急事態宣言で人が出てない状態が影響して、雑誌の売り上げ的にもやっぱり減ってるところがあるのですが、この夜のパン屋さんは、雑誌の販売と違う時間帯でのお仕事なので、すごい助かってますね。生活的な水準が全然下がることがないっていうのは助かりますね。本当ずっと路上だったんですけども、ビッグイシューと夜パンのお金で、ネットカフェに泊まるようになれて、ネットカフェの回数が増えたりとかですね、最近縁があって、アパートみたいなところを借りてる状態というところに戻ってきてるので、かなりやっぱりおかげさまで良い状態ではありますね。」

(「夜のパン屋さん」販売員 西篤近さん)

西さんは、元々ダンサーでしたが食べていけなくなり、沖縄で路上生活を送っていました。東京に出来てから単発の仕事をするも、なかなか路上生活から脱出できず、食事もロクに出来ずに水しか飲めない時がありました。

そこで継続的に出来る仕事をと、ビッグイシューの雑誌販売を開始。今は、雑誌販売と夜のパン屋さんを掛け持ちして、雑誌販売を行った後の時間に夜のパン屋さんで販売員として働き生計を立てていて、路上生活から脱出出来そうなところまできたそうです。

一度は生きる事を諦めそうになった事もあった西さんですが、今は仕事の仲間も出来、楽しく生活を送れているそうです。

★「夜のパン屋さん」は続けられるのか?

雑誌だけでなく、夜のパン屋さんができたことで、コロナ禍でも困窮者の収入を何とか落とせずに支える仕組みができた形ですが、ただ、この方法は持続していけるのか?コストはどうなのか?再び枝元さんに伺いました。

「固定店舗を持つということはとても無理だと判断して、今の「夜のパン屋さん」にしました。そのためにほとんどお金がかからない状態でやっています。かもめブックスさんも、ものすごく厚意で、安い金額で、例えば休業をしていたら、いりませんよって頂いてくださっています。寄付を頂いた形で何かを進めていくだけだと、持続しにくいのではないかなというふうに思ったので、きちんと循環していけるよう、みんなのギャランティ―を作る、仕事を作るという意味では、ちゃんと循環していけるようにということを大事に考えています。」

(「ビッグイシュー基金」共同代表 枝元なほみさん)

▲本屋さんが閉店した後も営業することも(公式Instagramから)

寄付で運営するという形もありますが、みなさんの協力でコストを抑えることで、ちゃんと働いて、ちゃんと食べていける、そして持続できるということを目指しているという事。現在、パンの売り上げは好調で、1~2時間で売り切れることも多いという事で、コストを抑えた結果、オープンしてから赤字になったことなないそうです。

今後も、販売員の方たちのお給料を確保していけるよう、第一にお店を続けていけるようにと沢山の方の支援に支えられながら、回していきたいということでした。

 

 
 
 
 
 
 
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