ストーリー分岐、やり込み要素、音楽……。声優の梶裕貴さん、「クロノトリガー」の素晴らしさを語る

プレイステーション presents ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ

PlayStation®初の公式ラジオ番組として、2016年4月からレギュラー放送しているプレイステーション presents『ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ』(毎週木曜日 夜9時~)。

寝食を忘れてゲームにのめり込むほどのゲーム好きで知られるライムスターの宇多丸と、ゲームをこよなく愛する著名人をゲストにお招きし、「人生におけるゲームとの出会い」や「あのゲームとの思い出」「今オススメのゲーム」など、ゲームについて楽しく熱く語り合うトーク番組です。

第232回:声優の梶裕貴さん後編

 

■当時僕たちが夢中になっていたゲームのすべてが詰まっているた世代

「マイゲーム・マイライフ」232回目の放送も生放送! 先週に引き続き、「Spoon presents 梶裕貴 声のひとさじ」とのコラボということで、ゲストに梶裕貴さんにお越しいただきました。今回は梶さんのマイベストゲームのひとつ「クロノトリガー」お話。全国のクロノトリガーファンの皆様、必聴です。

 

宇多丸「先週、時間がなくて入りきらなかった、ベストゲームね、マイベストゲーム、もう一個あって」

 

梶「そうなんです。先週の『ぼくのなつやすみ4』に続きまして、『クロノトリガー』!」

 

宇多丸「出ました」

 

梶「僕もね、小さい頃から色々なタイトルをプレイしてきましたけど、やっぱりこれなんですよ。マイベストは。1995年発売なので、今からすると、かなり時間の経っている作品ではあるんですけれど、それでも、いまだに自分の中で間違いなくナンバー1だろうなっていうくらい大好きなゲームで」

 

宇多丸「ドリームチーム中のドリームチーム」

 

梶「そうなんです! ドラゴンボールやドラクエでおなじみの鳥山明さんによって生み出されたキャラクターたち。加えて、ドラクエの生みの親である堀井雄二さんだったり、FFシリーズの坂口博信さんだったり。そういった夢のメンバーで構成された"ドリームプロジェクト"という企画だったんです。その当時、みんなが夢中になっていた遊び心のすべてが詰まっているような作品で」

 

宇多丸「普通こういうメンツが集まって、ハードルが最大限に高まると、『まあ……意外とそうでもなかったな?』みたいななってもおかしくないじゃないですか」

 

梶「ははははは! いや、まあありがちですよね」

 

宇多丸「ありがちですけど、でも、その遥かにそのハードルを(超えていったゲーム)」

 

梶「そうなんですよ! もともとはスーパーファミコンでしたが、もう今までにも何回もハードを移植して、常にプレイできる環境を用意してくれていて。僕も新しく発売される度に、何度もクリアしてきました。やっぱりタイムトラベル…"時を超える"って、男のロマンじゃないですか?ずっと憧れがありますし、もちろん、ただ時を超えるだけじゃなくて、そこにキャラクターたちそれぞれのバックボーンがしっかりと描かれていて。ロールプレイングなので、自分の選択次第で、当然未来もかわってきますし、それだけじゃなくて、過去を変えることで、そこからまた現代・未来も変化してきて…みたいな。この感覚がね、もう最高なんですよ。最初にプレイしたのは小学生の時でしたが、今でも変わらずワクワクドキドキできる作品です」

 

宇多丸「うんうんうん」

 

梶「エンディングにも色々なルート分岐があるので、一回クリアしただけじゃなく、『こういう歴史を作り出すと、こういう最後を迎えるのか…!』みたいな発見が沢山あるんですよね。まあメインストーリー的には、最後にラヴォスという敵と戦うわけですけど、その敵との向き合い方も、選択したドラマによって大きく変わってくるんです。…あ、この番組って……ネタバレとか大丈夫なんですよね…? 大丈夫?であれば、話します。(笑)クロノにも"魔王"という、まさにいわゆる僕らがイメージするファンタジー作品の一番の敵キャラクターがいるんです。魔王って、魔の王ですからね」

 

宇多丸「いわゆるラスボス」

 

梶「…なんですけど、その魔王が仲間にもできちゃうんですよ!それが当時、本当に衝撃的で。勇者側である"カエル"というキャラクターがこちらにはいるわけなんですけれどこのドラマ以降は、そのカエル含めて旅のパーティーが構成されていくというのか、最初ちょっと信じられなかったですね。え、いいの!?みたいな(笑)」

 

宇多丸「なかなかね、それまでからすると掟破りだし、一時期ドラクエでさ、ボスを仲間にできる裏ワザがあるらしいぜ的な都市伝説が……そんなことはなかったんだけど(笑)。逆にでも、それを取り入れたくらいの感じかもしれないですね」

 

梶「そんな衝撃が色々とありつつ、クリア後の楽しみまでたくさん用意されていて。移植される度に新ダンジョンや新ボスが追加されたり。あ、あと虹装備と言われる最強の武具があるんですけど…まあ、それは集めなくてもクリアはできるんですけど、全部集めきるところにやりがいを感じるというか。やり込み要素も満載でした。あと、個人的に音楽が大好きで!」

 

宇多丸「これ、皆さんね(口を揃えて言います)」

 

梶「そうなんですよ!大好きな方はたくさんいらっしゃると思うんですけど、光田康典さんという作曲家の方で、僕もアニメの現場などで、実は度々お世話になっていて。あるゲームでは、書き下ろしてくださったテーマ曲をキャラクターソングとして歌わせていただいたこともあって…その時は、めちゃくちゃ嬉しかったですね。光田さんは「ゼノギアス」や「ゼノサーガ」の音楽も担当されているんですが、どの楽曲も本当に素敵なんです!で、クロノの話に戻るんですが、さっきタイムトラベルにロマンを感じるというお話をしましたよね。まさにそのテーマ通り、時代ごとに音楽の雰囲気もまったく違うんです!クロノトリガーの続編というか…パラレルワールド・アナザーワールド的立ち位置である「クロノクロス」という作品の音楽も、実は光田さんが担当されていまして。クロノクロスは世界設定をはじめ、キャラクターのアイデンティティなんかも共通するところがあって…トリガーと同じ名を冠するキャラクターが登場した時は激アツだったわけなんですが…それはさておき、楽曲としても、クロノトリガーのメインテーマのメロディーを上手く混ぜ込んだ、こう、なんと言うんでしょう…プレイした者にこそテンションが上がるものがたくさん詰まっているんですよね。なので、やはり音楽という側面から考えても、このクロノシリーズは間違いなく、僕のベストゲームと言えるタイトルだと思います」

 

 

クロノトリガーは、特に今の30代には「教科書」と言えるくらいのゲームでした。各時代に飛んでいって、そこで起こっている事件を解決していくわけですが、梶さんもおっしゃる通り、自分の行動で過去を変えると、その影響によって先の時代の状況も変わる仕組みがそれはそれは面白い。過去をいい方向に変えたのに、結果的にその先の時代では別の問題が起こっている、とあちらを立てればこちらが立たぬ「バタフライエフェクト」的なものを小さな頃に体験できるのは素晴らしいことでしたし、「過去を変える」ことの罪深さのようなことも学べました。もちろん、過去を変えて悪いことばかりが起こるのではなく、仲間のロボを過去の時代に置いていき、ある地帯を植物でいっぱいにする作業をしてもらうと、現代ではその努力が実っている、というイベントもあります。世界を作っていく・影響を与えていく、という体験としては格別なものを味わえるクロノトリガー。私は次世代の子どもたちに向けて、「本を読むのが苦手なら、せめてクロノトリガーをやりたまえ」と言いたいです。

 

■今回のピックアップ・フレーズ

(クロノトリガーの「つよくてニューゲーム」について)

 

梶「『つよくてニューゲーム』という言葉、概念って、今では当たり前のようにゲームライフに溶け込んでいますけど…よくよく考えてみるとすごい文章ですよね(笑)」

 

宇多丸「言葉としてはおかしいだろう(笑)」

 

梶「はははははは!」

 

宇多丸「なんだよ! 『つよくて』って!(笑) つよいままで、とかさ。(中略)でも、クロノトリガーはそれをはっきり打ち出したっていうのは本当画期的ですよね」

 

梶「そうかもしれませんね。それまでにはありそうでなかった、とても画期的な文化でした。でも、それが今では、RPGといえば"二週目を『つよくてニューゲーム』でプレイしてこそ、はじめて本当の面白さがわかる!"くらいに定着しちゃってますもんね。まさに時代を変える素晴らしいシステムの誕生でした」

 

 

文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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