東京新聞紙面連動企画『都心版 子育て世帯調査・コロナ影響で困窮』

森本毅郎 スタンバイ!

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」。毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。今日は港区のNPO法人「みなと子ども食堂」が行ったアンケートについて取り上げた都心版の記事に注目しました。

このNPOでは、2016年から行っていた子ども食堂がコロナ禍で開催できなくなり、去年から、子育て世帯に無料で食料を配るフードパントリーをしています。

そのフードパントリーの利用者たちに、この8月に緊急アンケートを行った結果をまとめた記事。

港区民の利用者124世帯が回答しましたが、その9割が、ひとり親世帯。

50%がパートや派遣などの非正規雇用、25%強が失業中。そして、この失業中の人のおよそ半数が、この半年で職を失っていました。

一か月の減収額は3万円以上が50・4%、1~3万円未満が25・2%という結果でした。

 

★食費切る詰める84%、光熱費44・5%、貯金切り崩し60・5%

まずは、このアンケート結果について、取材をした東京新聞の宮本隆康記者に話を聞きました。

『収入が減った分をどう補うか?いうところで、圧倒的に食費を切り詰めてる、84%が食費を切り詰めてるんですが、自分の食事だけ減らすとか、要は子供には影響させないように努力している。

でもそれでも、塾をやめさせるとか、参考書を買わないとか、もう影響は出てしまっているし、貯金を取り崩してる方っていうのが60%いて、で、この貯金だって、子供が高校や専門学校、大学、そういうときのためにコツコツ溜めているお金だそうなんです。じゃあ進学時にはどうするのか、っていう問題が当然でてきますよね。もう今をしのぐしかないので、そのお金に手を付けざるを得ない。

そこまで、今、追い詰められているんだということが、具体的によく分かるアンケートでしたね。』(東京新聞の宮本隆康記者)

かなり追い詰められている実態が伝わってくる数字です。

コロナの影響を受けて、生活が大変苦しくなっている、と答えたのは実に96%!

食費を減らすために、保護者の食事回数を減らす、子供のおかずを一品にする、満腹になるように炭水化物を多めにする、という回答もありました。

また、電気代節約のため、エアコンをつけない、と答えた人がとても多かったそう。このアンケートを行ったのは8月。あの猛暑の最中・・・生命の危機もあります。

そして、宮本記者も話していた貯金の切り崩しですが、これはNPOの方に聞くと、ひとり親世帯の貯金というのは50万未満が大半で、ほとんどがゼロ。しかし、それを切り崩したり、借金をしている人も目立ったそうです。

宮本記者は、行政が困窮世帯だけに聞いたアンケートをやることはなかなかない。結果的に、表に出てこない声なので、とても貴重なアンケートだと思う、ともおっしゃっていました。 

★愕然とした結果。港区長に働きかけも。

アンケート結果について、調査をした「みなと子ども食堂」副理事の阿部浩子さんにもお話を伺いました。
『アンケートしてみて、びっくりすることばかりです。こんなに大変な生活の中で暮らしてらっしゃるんだな、ということが実感として分かりました。子供にも影響がいってる、ということが、ほんとにもう愕然としました。

でも、これが港区の実態だ、というのが、全国の皆さんに気がついて頂きたい。

なぜなら、港区は日本一所得が高い方々が住んでいるんですね。その中でこういった格差が起きている、これは港区だけの問題ではなくて、全国ではもっと厳しい状況だと、私は思っています。それを今回のアンケートで、多くの方々に知って頂きたいなと思いました。

で、今回の調査結果を港区長にお持ちしました。それで、こういった状況なので現金の支給をしてほしい、とお願いをしました。貴重なアンケートなので、これを元に、区の中でも考えてくれる、というお話はされていたんですけれども、まあ、持って行ったのが8月27日なので、これからどう支援してくれるか、ということで、私たちは期待をしております。』(NPO法人「みなと子ども食堂」副理事の阿部浩子さん)

昨年から毎月一回行っている「みなと子ども食堂」のフードパントリーは、回を追うごとに利用者が増えていて、阿部さんは利用者たちの生活の大変さを実感していたそうです。

特に、今年の3月14日に新1年生のランドセルをプレゼントする緊急支援を行ったのですが、そのときに、6人の申し込みがあった。

入学式までおよそ二週間の3月14日に、ランドセルを買えておらず、しかも、就学援助を受けている子供たちには、港区からすでに、入学支度金が振り込まれているのに・・・。そのお金が今の生活、家賃、水光熱費、食費に回ってしまっている、という現実を目の当たりにした。

しかし、そういう声を聞いていた阿部さんでさえ、驚いてしまうアンケート結果だった、ということです。

危機感を抱いた阿部さんたちは、このアンケート結果を持って、港区長に支援をお願いしました。まだ申請したばかりで動きはないですが、今後の支援が待たれます。

★国の不作為がずっと続いてきている

記事を書いた宮本記者も、こうした民間の努力だけでは追い付かない現状について、こう話します。

『子ども食堂であったりフードパントリーという活動は全国的に広まってますし、定着してますけれども、それはとてもいいことですけれども、それだけ需要があるっていうことは、やっぱり社会制度としてどこか欠陥があるんじゃないか。

子供の貧困の問題というのは、もうずいぶん前から言われていて、2013年に国の調査だと13%で7人に一人、その5年後の2018年でも同じ13%なんですよ。なんら改善されてないわけなんですよ。いま、コロナの影響もありますからもっと悪化してる可能性が高いですよね。じゃあ、この間いったい何をしてたんだ、っていう話になりますよね。

まして、ここ数年、経済を建て直したって国のリーダーは言っているわけですよね。じゃあ、この人たちを何とかする余力は全くないのか、って言ったら、ちょっと僕にはそうは思えないですね。

やっぱり不作為がずっと続いてきているんだと、思います。』(東京新聞の宮本隆康記者)

5年経っても変わってない!本当に何をやっていたんだ?と指摘していました。おっしゃる通りです。

港区は、困窮世帯の数、で言ったら少ないかもしれませんが、別の区や地方では、もっとたくさんの人が困窮している、と考えると本当に衝撃的です。まずは、届けたアンケート結果で、港区が動いてくれることを願うばかりです。

そして、 国は今度こそ、この問題にしっかりと取り組んでほしいと思います。

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