世田谷区内の団地の高齢者の買い物を、昭和女子大学の学生が移動販売で支援

人権TODAY
昭和女子大学の学生たちによる移動販売がこれから始まります。(都営喜多見二丁目アパート)

高度成長期に生まれた近郊の団地では住民の高齢化が進み、日常の買い物のための足の確保や、移動が難しい方もいます。世田谷区にある都営「喜多見二丁目アパート」は住民の約6割が高齢者。2021年の5月から、区内にある昭和女子大学の学生たちが都、区と連携して、野菜の移動販売を始めました。

学生たちは昭和女子大グローバルビジネス学部の高木俊雄准教授のゼミ生です。高木ゼミでは地域活性化の試みをいろいろ実践しているのですが、その一つ、千葉県香取市では、農業従事者の高齢化が進んだため生じた耕作放棄地を借りて、野菜やコメを育てたりしています。また、香取市の他の農家からも仕入れているということで、高木ゼミのアシスタントで、明治大学大学院生の岡田天太さんは「近くの農家さんから、普通の野菜はもちろんそうなんですけれども、とりわけ一般的に売ることができないような規格外と言われるようなものをあえて仕入れています。これによって、これまでは売ることができず、捨ててしまったり、処分してしまっているようなものを経済的な価値を生み出すものに変えるというような取り組みを学生が主導で行うことで、地域活性化につながればいいかなと思っております」と話します。

崎山記者が8月28日(土)喜多見二丁目アパートに取材に行くと、午前11時の販売開始前、準備中から団地住民の方の列がきていました。「野菜は重たいから来て下さると助かる」「お米も少しずつ買えるのがいいんです」といった話の合間に、顔見知りの間では、最近の身体の調子などの話も出ています。

高齢で少人数、一人か二人の世帯が多いので、岡田さんはなるべく手に取りやすい価格と量での提供を心掛けています。この日は前の週に、旬の梨の要望があったので、梨を持ってきていました。岡田さんが丁寧に梨の説明をして、あっという間に売り切れていました。梨の他には、お米、レタス、サツマイモなど。岡田さんが「端境期で、ちょっと品目が少なくてすみません。次週はもう少し増えます」と説明する中、「来週もお願いします」「学生さんたちの感じがよくて、いいよね」と話して、買って帰る人。移動販売が来てて「美味しい野菜を売っている」という評判は聞いてたけど、この日、初めて買ったという人もいました。

野菜は自然に左右されますから、仕入れには苦労もしているようです。一方、新型コロナの流行下、香取市の農家も東京辺りの飲食店向けに作っていた野菜が売れなくなって、「このままでは肥料にするか、 捨てるしかないよ」と相談され、売るようにもなりました。高木ゼミの畑の野菜7割、そのほかの農家さんから仕入れたものが3割ぐらいだそうです。5月に始めた時は、月2回の予定だったのですが、要望もあり、7月からは毎週土曜日となりました。

高木ゼミが香取市で耕作放棄地での野菜栽培を始めたのは2年前、2019年。最初は昭和女子大学からもほど近い、三軒茶屋駅前の区の施設で売り始めました。この日、接客をしていた昭和女子大学4年の滝澤真衣さんもその頃から関わっているんですが、「すごい都会というイメージがやっぱりあったので、スーパーに行くのが大変だとかっていうことが三軒茶屋でもあるんだっていうところを先生からお話し聞いて、じゃあ参加しようかなってなったんです。開店前から並んでくださっているお客様であったり、リピーターの方がいらっしゃったりして、ごく嬉しい変化だなという風に思います」と話していました。

世田谷区内の、スーパーなどが遠い他の団地からもお願いしたいという話が昭和女子大には来ているそうです。都市の高齢化の課題と、野菜などの生産地の地域活性化、両方を若い学生の力で結びつけ、そして、学生にとっては学びになっています。

 取材報告/TBSラジオ・記者 崎山敏也

 

 
 
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