深夜の路上生活者の実数調査

人権TODAY

(画像はARCHホームページより)

深夜に路上生活者の数を調査

ホームレス支援政策を研究する市民団体ARCH(アーチ)が、路上生活者の実数調査を行いました。現在、東京工業大学・特別研究員の河西奈緒さんたちが2015年に設立したARCHは、ホームレス問題の解決に取り組む優しい社会や優しい都市の実現を目指して活動しています。

その主な活動として、深夜に路上や公園で野宿している人の状況を調査する「東京ストリートカウント」があります。これまで深夜の都内の主要な駅の周辺を、ボランティアで集まった人たちが歩いて回り調査してきました。去年の調査では、東京都が昼間に行った調査よりも2倍以上多いことが判明しています。

今回の調査は8月6日と7日の2日間行われましたが、コロナの影響で大勢の人が集まることができなくなり、調査方法が変更されました。主要な駅周辺の調査ではなく、参加者それぞれの自宅周辺の調査になり、出発式もオンラインで行われました。

挨拶する河西さんです。

社会状況が感染症という大きな災いの中、余裕のない社会の中、さらにオリンピック開催という中で、バラバラになるのではなくつながろう、一緒にホームレスの人を心配して本当に大切なものを見つめようという、私たちの呼びかけに答えてくださった方々がこんなにもたくさんいることを、本当に私たち一同うれしく思っております。

――最後にミュートを皆さんはずして「行ってきます」をしたいなと思うのでよかったら・・・

「すごい人がたくさんいる―」「いってきまーす」「皆さん、気を付けて」「いってらっしゃーい」

こんな出発式の後、それぞれ参加者は地元の駅や公園などを見て回りました。

東京近郊で多くの参加者が調査した

深夜の街を歩いて分かったこと

2日間でのべ105人が参加した今回の「ストリートカウント」には進藤記者も参加し、自宅周辺を見て回りました。オリンピック期間中の深夜0時、出歩く人はあまりおらず、気温26度の中、歩き回るので汗が止まりません。高速道路や電車の高架下や住宅街の公園などを見て回った結果、ホームレスらしき人1人を道路の向こう側で見かけたほか、段ボールハウス1つを確認しました。 昼間はたまに自転車に空き缶をいっぱい積んだ男性を見かけるので、近くにいるのではと思いましたが、この日は見当たりませんでした。

他の参加者の結果はどうだったのか、参加者の感想をいくつか紹介します・・・

  • 「今回の調査ではホームレスの人を見かけることはなかった」という人も多い一方で、
  • 「短時間で3人にも出会ったことが意外だった。見かけた場所は暗くて虫が多く、そんな場所で生活しなくてはいけない人がいることに問題意識を感じた」とか、
  • 「駅の構内で見かけた。駅構内の空調や衛生面による快適性や人目に付く安全性がホームレスの方が拠点として選ぶ際の重要な項目であるように感じた。ホームレスの方々が私たちの日常生活の隣で生活している身近な存在に思えた」などという声がありました。

調査の結果は

今回の調査では、野宿をしている人が289人確認されました。主要駅周辺や大きな公園だけでなく、一般の住宅地などにもたくさんの行き場のない人がいることがわかりました。

ARCHの杉田早苗さんは

これが主要駅のカウントでさえも東京都の調査の2.2~3倍の数があって、さらにこの人たちが寝ているということが分かったので、私たちが思っていた以上に住宅街の小さな公園とか、そういった所で寝てる方が多い。相談業務等を行っているARCHのメンバーがいるんですけど、若い相談に来た人とかに「どこで寝てたの?」と聞くと「街なかの公園で一晩過ごしてました」とか、そういった声が結構聞かれたそうなので、もしかしたらコロナ禍でそういった人が増えていることもあるのかなと考えています。

この人数は、あくまで今回調べた住宅街などにいた人の数字であって、都内全体の路上生活者の人数ではありません。なお、詳しい調査結果はARCHのホームページで公開される予定です。

ARCHとしては、ホームレス問題は「私たちの都市が、多様な人々に居場所を提供することのできない都市であることを示している」と考えていて、今後もストリートカウントなどの調査を通じて、ホームレス問題を研究していくということです。

(担当:進藤誠人)

■取材協力:ARCH(https://www.archomelessness.org/)

『人権TODAY』は、TBSラジオで毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8:20頃に放送。人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

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