ゲームはエンジョイ派のパンサー菅さん。対人ゲームで避けて通れないガチ勢vsエンジョイ勢の問題を考える

プレイステーション presents ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ

PlayStation®初の公式ラジオ番組として、2016年4月からレギュラー放送しているプレイステーション presents『ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ』(毎週木曜日 夜9時~)。

寝食を忘れてゲームにのめり込むほどのゲーム好きで知られるライムスターの宇多丸と、ゲームをこよなく愛する著名人をゲストにお招きし、「人生におけるゲームとの出会い」や「あのゲームとの思い出」「今オススメのゲーム」など、ゲームについて楽しく熱く語り合うトーク番組です。

第228回:パンサー 菅良太郎さん後編

■悔しさ含めて楽しもうよ

「マイゲーム・マイライフ」のゲストは前回に引き続き、パンサーの菅良太郎さんです。今回はゲームにおけるガチ勢、エンジョイ勢の話で盛り上がりました。人と一緒に遊ぶゲームで避けて通れないこの問題、少し真面目にガチとエンジョイについて考えてみましょう。

 菅「エンジョイ、エンジョイなんで、僕はとにかく。ストレス発散じゃないですか、ゲーム」

宇多丸「本来はね。うんうんうん」

菅「やっぱりそこでストレス溜めたくないというか。そういう思いはあるので、楽しくやろうよ」

宇多丸「だから、ゲームの難易度とか、ピリピリした感じを出す出さないとか、普通にスポーツとか、リアルでもそうじゃないですか。だから僕、人生観の差ってあると思うんですよね。根本、同じゲームをやっていても、根本的に考え方が違う。こっちは楽しいと思ってやってる。向こうは向上しようと思ってやってる。あと、勝とうと思ってやってるとかさ。負けても楽しいじゃないですか、こっちは。ゲームだから」

菅「はいはいはい」

宇多丸「向こうは、いやいやいや、ゲームって勝ち負けあるんだから、向上しないとつまんなくない? みたいな。勝つと気持ちいいじゃん、負けたら悔しいじゃん。悔しいから練習するじゃない、みたいな。えー、なんか……」

菅「その、そうなんですよね。悔しさ含め楽しもうよ、と思っちゃうんですけどね」

宇多丸「全部において、この考え方の違いって出るんですよ。仕事とかでも。こっちは、とはいえこれすごい楽しいからこういうことやってるしさ、って。まあ、どんどん次よくしていけばいいし、これはこれで面白ければいいじゃん、みたいなさ。(一方で)『いや……ちょっとなんか……はい、はいはい反省会』。えー、この空気で仕事するの嫌なんだけど……みたいな」

菅「嫌ですよねえ」

宇多丸「真剣なのはいいんだけど、空気悪くしてまでやるのやめようよ派か、いやそれが真剣味なんだ派か、色々な物事にあるんですよ」

菅「そうなんですよ。本当におっしゃってることわかります。それこそシージとかって、リアルな世界観で、本当に撃たれたらやられてしまうし、とかあるじゃないですか。だから、『ちょっとさー』って怒られるの成立している感があるんですよ。ギリね。ギリ。でも、やってることはゲームじゃないですか。それこそ、先週お話した塊魂だって同じゲームじゃないですか。塊魂を後ろで見られてめっちゃ怒られたら、マジでムカつきません?(笑)」

宇多丸「塊魂でさ、違う違う右右右!(笑) ははははは」

菅「なんでお前そっち回ったんだよ! って(笑)」

宇多丸「あり得るけどね。塊魂にも最短の攻略とかあり得るし、効率のいいクリアとかあると思うけど、塊魂ってまさに効率じゃなくてプロセスを楽しむゲームじゃないですか。違う違う違う右右あーもー下手くそ! みたいな。菅さんにとってはシージも本質としてはそうじゃないか」

菅「そう。ゲームとしては。楽しもうよ」

 

この「ゲームなんだから楽しもうよ」vs「勝ち負けがあるんだから向上していこうよ」は永遠の課題だなぁと思います。たぶん、「焦る」「追い詰められる」「負けたときの悔しさがデカい」「チーム戦」といった要素を持つゲームほど、そうなりやすいのではないでしょうか。

私はアナログゲームの人狼ゲームを長年やっているのですが、この問題は人狼ゲームの“あるある”でもあります。正直どちらの気持ちもわかるんですよね。「楽しもうよ」にしても、「ゲームなんだから楽しもうよ」派の「楽しむ」は「その場で起こるすべてに身をゆだねること」が楽しい。一方で、向上派にとっては「勝つこと」「腕を磨くこと」ことが「楽しむ」なわけで。一言に「楽しむ」と言っても、お互いにその言葉の示す意味が違うわけです。

楽しみ方はひとつではないので、どちらかだけが正しいわけでもなく、これはもう「気が合う人と遊びましょう」か「自分と同じくらいのレベルの人と遊びましょう」に尽きます。棲み分けこそが幸せの秘訣。世界中の人、全員と気が合うと思うなよ、と。合う合わないはあって当然、ムカつく奴はいて当然、友達100人なんかクソ食らえです。ただ、オンラインゲームでは、合わない人とマッチングすることもあるのでそこが難しいところですが。

ところで私、もともとアクションが苦手なこともあり、ストイックに向上派とは程遠い人間だったのですが、ここ一年ほどドラクエ10のハイエンドバトル(難易度の高いバトル)をほぼ毎日コツコツ練習していた結果、苦手なりにそこそこできるようにはなりまして。もともとのゲームスキルがへっぽこでも、一年も続けていればミスらない無難な動きくらいはできるようになるものなんですね。で、そうなってくると、ゲンキンなもので、確かにサクッと勝てないときにモヤモヤを感じることも……。また難しいのが、少し直すだけで勝率がぐんと上がるのがわかるんだけど、それを指摘したら不愉快に思われるんじゃないか問題。よかれと思って言ったことが、「負けても楽しいんだから放っておいてくれ」と大きなお世話になる可能性があるわけで。結局ゲームといっても、オンラインゲームについてはコミュニケーション能力がものを言う社会生活と同じなんだな、とつくづく思う次第です。

 

■今回のピックアップ・フレーズ

(ゲームはエンジョイ勢だという菅さん)

宇多丸「レインボーシックスシリーズって、あらゆるFPSシリーズの中でトップクラスにシビアなほうじゃないですか」

菅「そうなんです。そうなんです」

宇多丸「撃たれたらおしまいだし。なので、エンジョイ勢にあまり向かないタイトルじゃないかと思うんですけど」

菅「これがね。僕、600時間やってそう思いました」

宇多丸「ははははは。辿り着いた結論(笑)」

文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)

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