デビュー50周年!洋楽視点で聴く郷ひろみ(高橋芳朗の音楽コラム)

ジェーン・スー 生活は踊る

高橋:本日のテーマはこちらです! 「デビュー50周年! 洋楽視点で聴く郷ひろみ」。今年でデビュー50周年、先日には計555曲のサブスク解禁も実現した郷ひろみさんの作品を洋楽的な切り口で紹介します。内容としては海外アーティストとのコラボや欧米ポップスのカバー/オマージュなどを聴いていただきたいなと。

駒田:楽しみ!

高橋:まずは1979年リリースのアルバム『Super Drive』より「入江にて」。この『Super Drive』は演奏をニューヨークのフュージョンバンド、24丁目バンドが務めています。バンドメンバーは、ハイラム・ブロック、クリフォード・カーター、ウィル・リー、スティーヴ・ジョーダン。彼らはスティーリー・ダンやマイケル・フランクス、ローリング・ストーンズのバッキングをやっているような凄腕集団で。そんなこともあって発売当時から洋楽リスナーのあいだで結構評判だったみたいですね。ちなみにベースのウィル・リーはSMAPが1995年にリリースしたアルバム『007~Gold Singer~』にも参加していますが、まさに90年代に海外の名うてのミュージシャンを起用してアルバムをつくっていたSMAPのアプローチの先駆けといえるのではないでしょうか。

これから聴いてもらう「入江にて」は、ここ数年のシティポップのリバイバルを受けて再評価の気運が高まっている曲。作曲は松原みきさん「真夜中のドア~Stay With Me」でおなじみ林哲司さんが手掛けていますが、おそらくアース・ウィンド&ファイアーの「That's The Way of the World」をモチーフにしているのではないかと。

スー:なるほどー。

駒田:すごく食べたい、早く!

スー:順番順番。並んでください(笑)。

M1 入江にて / 郷ひろみ

スー:駒田さんが「ヘッドホンを持ってくればよかった!」って。

駒田:めちゃくちゃおしゃれですねー。

スー:ホントに!

高橋:この『Super Drive』はジャケットのアートワークを横尾忠則さんが手掛けていて。トータルでクオリティの高いものを届けようという制作側の志が感じられますよね。

では、続いては郷ひろみさんの洋楽カバーを聴いてもらいましょう。郷さんと洋楽というと、やっぱり一連の欧米ポップスの日本語カバーが真っ先に思い浮かぶのではないかと。

スー:「Livin' La Vida Loca」とか?

高橋:そう、リッキー・マーティンのね。郷さんは「GOLDFINGER '99」と改題して歌っていました。

スー:「アーチーチーアーチー♪」って。あとは「I'm never gonna dance again~♪」。

高橋:うん、ワム!/ジョージ・マイケルの「Careless Whisper」もありました。ほかでは「哀しみの黒い瞳」のタイトルで知られているフリオ・イグレシアスの「黒い瞳のナタリー」だったり。

こうした郷さんの洋楽カバーの歴史は意外に古くて、1975年にはすでにベイ・シティ・ローラーズ/フォー・シーズンズの「Bye Bye Baby」をシングルの表題曲として取り上げているんですよ。そんな郷さんの洋楽カバーのなかでもいま聴くとおもしろいのが、先ほど紹介した『Super Drive』の前のアルバム、1979年リリースの『Lookin' for Tomorrow』。このアルバムはアナログレコーでのB面、後半がすべて洋楽のカバー曲で構成されていて。たとえばビリー・ジョエルの「My Life」や「Honesty」を歌っていたりします。

BGM: My Life / 郷ひろみ

スー:へー!

駒田:おおっ、これは! 海外のスタジオで収録した演奏で歌っているような感じですね。

高橋:そう、演奏がすごくしっかりしているんですよね。そんな『Lookin' for Tomorrow』のカバー曲のなかでも目を引くのが、イヴリン・シャンペン・キングの「Shame」のカバーで。

BGM: Shame / Evelyn "Champagne" King

高橋:ブラックミュージックやディスコミュージックが好きな方にはおなじみの曲ですよね。90年代にはR&Bデュオのジャネイがカバーしてリバイバルヒットしています。

スー:『A Low Down Dirty Shame』のサントラに入ってたやつだ!

高橋:そうそう。「Shame」は1977年に全米チャートで9位にランクインしているヒット曲なんですけど、この曲を郷さんに当てたディレクションがすごいですよね。心憎い選曲だなと。

M2 Shame(クイーンを口説け) / 郷ひろみ

 

高橋:なにを歌っても郷さんのものになってしまう「郷ひろみ力」!

スー:歌の強さ、歌唱の強さですよね。

高橋:郷さんは洋楽カバーだけでなく洋楽ヒットのオマージュ楽曲も多いんですよ。たとえば「Careless Whisper」のカバーが収録されいてる1984年のアルバム『Allusion』にはレイ・パーカー・ジュニア「Ghostbusters」をモチーフにしたと思われる「I Feel My Love With You」があったり。

BGM: I Feel My Love With You / 郷ひろみ

スー:こんなブラコンっぽい曲も歌っていたんですね。

高橋:それから渡米して二谷友里恵さんとご結婚された1987年には全編英語詞のアルバム『Love of Finery』をリリースしているんですけど、ここにはプリンスの1984年の全米ナンバーワンヒット「When Doves Cry」をモチーフにしたと思われる曲があるんですよ。

BGM: When Doves Cry / Prince & The Revolution

スー:おおーっ!

高橋:この「When Doves Cry」をモチーフにしていると思われる曲が「Doctor L-O-V-E」。プリンスに加えて、ちょっとインエクセスのエッセンスも入ったようなイメージでしょうか。

M3 Doctor L-O-V-E / 郷ひろみ

高橋:最後に聴いていただきたいのは「マイアミ気分」。これは1983年リリースのアルバム『Tailored Song』の収録曲で、先ほど触れた「黒い瞳のナタリー」をカバーしたことで交流が生まれたフリオ・イグレシアスがアルバム全体の監修を務めています。アルバムはこの「マイアミ気分」で始まるんですけど、実際にレコーディングはマイアミで行なっていて。いまの季節にぴったりなリゾート感/トロピカルムード満点の仕上がりになっています。セルジオ・メンデスあたりと並べて聴くと相性いいのではないかと。

M4 マイアミ気分 / 郷ひろみ

駒田:いやー、郷さんの歴史はすごいですね!

高橋:50年間、ずっと一定のイメージを維持していますもんね。本当に稀代のシンガーだと思います。郷さんについてはジェーン・スーさんとお届けしているアマゾンミュージック独占配信のポッドキャスト『生活が踊る歌』でも特集を組んでいるのでぜひ。題して「シティポップ感覚で聴く郷ひろみ」厳選プレイリストと併せてお楽しみください!

▼AmazonMusicにて、高橋芳朗&ジェーン・スーによる podcast番組 「TBSラジオ 生活が踊る歌」が配信中!詳しくはコチラ

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