ラジオにも現場がある/ひらりさ【連載エッセイ「わたしとラジオと」】

インフルエンサーや作家、漫画家などさまざまなジャンルで活躍するクリエイターに、ラジオの思い出や印象的なエピソードをしたためてもらうこの企画。今回は、ライター・編集者として活躍されているひらりささんに、聴くだけじゃない! オタク的ラジオの楽しみ方を教えてもらいます。

 

 物心ついた時からオタクだった。そしてオタクは、意外とラジオを聴く生き物である。声優にハマると、その声優たちがラジオに出ていることがあるのだ。いわゆる「アニラジ」だ。主に、アニメ番組やラジオ番組とのタイアップで出演声優がパーソナリティを務めているタイプのものが多い。地上波で放送されているものだけでなくインターネットで配信されているものも含めると、かなりの数がある。特にハマったのは高校時代。大学受験に向けて、勉強しながらの息抜きだった。好きな作品の情報を仕入れられるだけでなく、キャストたちの役への向き合い方、そして素のじゃれあいが楽しくて、延々と聴いていた。

 アイドルのライブや2.5次元舞台などで普及した「現場」という言葉があるが、ラジオ番組にも現場はある。公開録音だ。とくにアニラジの場合は声優にお金を使いたい!というファンが多いので、大規模に行われることがあった。私が最初にハマったとあるアニラジ「S」は公開収録イベントを日比谷公会堂で開催した。その後ハマった、今でも続く大人気アニラジ「D」のイベント会場は、なんと武道館だった。2013年のことだ。笑いあり涙ありゲストも多彩なそのイベントは、もはや「公開収録」の枠をこえており、全国の映画館でライブビューイングされるほどだった。収録中にパーソナリティ声優2人がドリアンを食べて悶絶するなど、音声だけでやるにはチャレンジングすぎる企画を連発した本番組は、なんと映画にもなった。ラジオがどんどんメディアミックスしていく様子を見守るのは興奮した。自分でお便りを出すことはなかったが、こんな面白いものを毎週作っている人たちがいて、それを聴いて応援している人たちがいて……という一体感に加われたことは、オタク女子たちに浪費事情を綴ってもらった書籍『浪費図鑑」の企画にも影響していると思う。
 

ラジオはいつも、radikoとイヤホンで

 
大人になって、アニメをあまり見なくなり、アニラジからも離れた。仕事柄『アフター6ジャンクション』など、ジャンルを問わずコンテンツを取り上げていくラジオ番組を聴いたり、自分もたまに出演するようになったりした。番組ごとにその番組らしいリスナーがいて、コミュニティがあって、支えられながら日々の放送が行われている。Radikoを使うようになってから、「あ、こんな番組もやってるんだ」とつまみ聴きしやすくなり、あらゆる番組が、コンセプトやパーソナリティだけでなく、リスナーコミュニティによって成り立っているのを実感した。ある番組のリスナーであることは「推す」ことなのだ。ふと、「D」のことを調べたら、なんとまだ放送していた。足掛け14年。いっとき私が支えにしていた番組が、私が聴いていない間にも放送され今も続いていることに励まされた。私のかつての推し番組、もう一度聴きに行こうかな。

 

 

ひらりさ/ライター・編集者。1989年、東京都生まれ。女性、お金、消費、オタク文化などのテーマで取材・執筆をしている。女性4人によるユニット「劇団雌猫」名義での共同編著に、『浪費図鑑ーー悪友たちのないしょ話』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

 

llustration:stomachache Edit:ツドイ

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