夏に想うのは、蝉の声だけではない。【夏の葬列】ゲスト:坂井真紀さん

聖教新聞presents ラジオシアター~文学の扉

毎週日曜、夜9時からお送りしている
【ラジオシアター~文学の扉】

今週はゲストに女優の坂井真紀さんをお迎えして、山川方夫の代表作「夏の葬列」をお届けしました。

坂井さん演じる、冒頭のどこか疲れた様子の男は、過去に囚われている雰囲気がとても伝わって来ました。
夏に見た葬列から、「男」が少年だった頃の苦い記憶…自分の行動でヒロ子を死に追いやってしまったというトラウマは、想像を絶するものでしょう。
生々しくくも、それを感じさせるような演技に聞き入ってしまいました。

坂井さんは、少年から成人の女性まで幅広い役どころを演じられましたが、特に少年の役が印象的で、幼い声色から放たれる残酷な言葉は、情景と相まって心を締め付けられました。

中嶋さん演じるヒロ子ですが、冒頭の様子と後半の少年を助けに行くところで、明らかに声色が変わります。
窮地の中で成長した様子を表現されていて、必聴です!
短い時間の中でも、ヒロ子の表情から、赤く染まるワンピースまでの全てが目に浮かびました。

今回のラジオドラマ「夏の葬列」は、学生向けと言うより大人向けな感じがした作品でしたが、国語の教科書に掲載されていた事があったそうです。
学生の柔軟な感性では、この作品とどの様に向き合っていたのでしょう。
残念ながら私は学生の頃に出会う事が出来ませんでしたが、成人し、この作品に出会えてまた、一つ学びが深まりました。

男が背負ってゆく罪の意識はこの夏を機に更につもり、逃げることはできません。
その残酷なまでの現実が突き刺さってくる「夏の葬列」は、記憶に残る作品になること間違いありません。

そして来週も、また違う作品でお二人の演技を聴くことが出来るので、とても楽しみです!
 

by 西村成忠

 

 

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