ローソンで医薬品の販売拡大。ドラッグストアの秘策はアパレル?

森本毅郎 スタンバイ!

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」。今回は、コンビニでお薬が買えるようになる、と言うお話です。

これまで、コンビニでも薬を扱う「登録販売者」と言う資格の人がいれば、薬を売ることができる、というルールになっていますが、実際に売っているコンビニは、まだまだ少数派。時々、ドラッグストアとコラボした店舗を目にする程度というのが現状です。それが今月から、規制緩和で、「コンビニで医薬品の取り扱いが拡大する」と報じられました。一体、どう変わるのか。

株式会社ローソンの、犬塚 毅さんに聞きました。

 

ローソン 医薬品取り扱い店舗倍増へ

今までは、店舗の営業時間の「2分の1以上の時間」は薬を売っていないと、販売の許可が下りない制度だったが、これがなくなり、1日1時間でも開業できるようになった。私共は年中無休なので、シフトを考えると、少なくとも3名以上の登録販売者を確保していないと開業ができなかったが、少ない人数でも、医薬品の取り扱いが可能になり、今後、取扱店が増える。ただ、行ってみたら売ってなかったということがないように、あらかじめ、このお店は、何曜日は何時~何時という風に、販売時間がわかるように掲示します。」(株式会社ローソン・理事執行役員 犬塚 毅さん

▲ローソン店内で、医薬品の販売が広がる

ローソンでも2009年から、一部店舗で医薬品を置いていましたが、厚生労働省の省令で、

● 営業時間の「半分以上の時間」薬を売ること。
● そしてその時間帯は、資格を持つ「登録販売者」が常駐すること。

が、ルールとして定められていました。

でも、このルールがネックで、24時間営業の半分の時間(12時間)は、登録販売者の常駐が必須となります。販売登録者は、調剤したり、リスクの高い薬を扱うことはできませんが、それ以外は薬剤師と同じように薬を売ることができる資格なので、人材を育てたり、採用したりするのは簡単ではなく、そのため、取り扱い店舗を増やしたくても増やせなかった事情があったんです。

ただ今回、通称「2分の1ルール」が撤廃されたので、ローソンは取り扱い店舗を一気に拡大。2023年をめどに、現状の2倍近い450店に増やすという目標を示しました。

セブンイレブンやファミリーマートも、医薬品の取り扱い店舗の導入を検討中ということで、急に頭が痛い・お腹が痛いときに、コンビニで薬が買えると便利だなとも思いますが、こうした「コンビニのドラッグストア化」が進む一方で、「ドラッグストアのコンビニ化」も見逃せません。

 

ドラッグストアでアパレル販売。激安シャツ1枚300円

最近では、薬以外にも食品を扱うドラッグストアが増えてきましたが、調べていくとさらに独自路線で進化するドラッグストアを見つけました。石川県で展開する「コメヤ薬局」の取締役副社長、長基 健人(ながもと・たけひと)さんのお話。

去年の12月末に店舗改装し、「アパレル衣料」なんかも取り扱い始めました。Tシャツ、ズボン、婦人服など、一通り全て揃ってる。流通の中での売れ残りや、作りすぎたもの、いわゆる流通過剰な在庫を安く買い取っておりますので、定価ですと5千円~1万円近いものも、千円~千円以下で買えるということで、とにかくお宝探し的な感じでびっくりしながら買い物してもらっている。今まで来なかったお客様も来ている。店舗は増やしていきたいなと考えているような状況ですね。」(コメヤ薬局・取締役副社長 長基 健人さん

▲「コメヤ薬局」の衣料品売り場。奥に「処方せん受付」の看板も見えます

「コメヤ薬局」は、金沢市の隣、白山市(はくさんし)に、22店舗展開するドラッグストア。そのうち、1店舗を改装し、店内の3分の1ほどのスペースで洋服の販売を始めました。独自の仕入れルートで、靴下1足60円、Tシャツ1枚300円など、とにかく激安。店内には、医薬品、雑貨、食品も並びますが、洋服目当てに来店する人が、全体の1割ほどいるそうです。

でも、なぜドラッグストアで服なのか。実は、石川県はドラッグストア激戦区で、人口あたりの店舗数は、全国でもトップクラス。つい先日も、新しく病院が建ったのをきっかけに、向かい合わせに3軒、ドラッグストアが乱立するなど、生存競争が特に激しい地域だそうです。お肉や野菜を取り扱うスーパー並みのお店が増えるなか、どうしたら生き残れるか。長基さんが辿り着いたのが「洋服」でした。

さらに、同時に本業のお薬にも力を入れていて、ドラッグストアとしては珍しい、「配置薬」のサービスも。月に一度、薬剤師や登録販売者が、お客さんの自宅を巡回して薬を補充し、体調の相談に応じたり、地域密着の独自路線を展開しているそうです。

 

コンビニは、ライバルではなく商売相手。ノウハウを教えていく

なんだか「ドラッグストアのコンビニ化」どころの話ではなくなってきていますが、では、ドラッグストアは、強力なライバル出現、となるコンビニをどう見ているのか。長基さんに聞きました

やはり、お薬を選んであげたり、安全性というところで言うと、単純な知識だけではなく、お客様の症状を聞いて判断しなければならないので、「経験」がすごく大事になってくる。コンビニの店舗数をカバーできる経験者を一気に増やすのは、非常に難しいのではないか。我々としては逆にチャンスとも捉えていて、ノウハウを教えてあげられるようなビジネスも、可能性の一つかもしれない。ライバルにするか、商売相手にするか。どんどんこういう形で地域の方が利用しやすくなる環境自体は、すごく良いことなのかなと思う。」(コメヤ薬局・取締役副社長 長基 健人さん

ローソンが目指す「2023年度中に450店舗」という目標ですが、この数字、実はローソン全体の店舗数の3%程度にすぎません。医薬品を取り扱う登録販売者になるためには、2年間の実務経験も必要。そのため時間はかかるのですが、ローソンは将来的には9割の店舗で薬局を売る方向で、人材育成に力を入れていくということでした。

コメヤ薬局としては、そこに目を付け、むしろビジネスチャンスと捉えていましたが、人材の奪い合いではなく共生の道を探るため、コンビニとドラッグストアの試行錯誤が続きそうです。

 

取材:TBSラジオキャスター 田中ひとみ

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