ラーメン店やカフェが取り組む「お店の子ども食堂」

人権TODAY

今回のテーマは、ラーメン店やカフェが取り組む「お店の子ども食堂」

シングルファザーの店主がコロナ禍で子ども食堂を開始

お子さんに無償または少額で食事を提供する「子ども食堂」。今日は、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、飲食店が子ども食堂を始めたという事例を紹介します。1つ目は、武蔵野市の吉祥寺駅近くのサンロード商店街で営業している「CAFE&BAR dizzle」です。

「元々自分がシングルファーザーで子育てをした経験があったので、やっぱその大変さがわかるっていうところで、食べ物だけは困らないようにと、そういうのが何かできたらいいなっていうのが一番強いのでありました。1日だいたい10食限定でやってます。お金はいただいてないので、まかないの延長線上で出せる量ということで、一応10食という感じにやらせてもらってます。」(「CAFE&BAR dizzle」店長の浜中明宏さん)

ひとり親の子育ては、収入が不安定で食事代を出すのも厳しいケースや、仕事もお子さんの世話も一人で担うために体力的、精神的に疲れてしまい食事を準備するのも大変といったことがあります。さらに新型コロナの影響で今まで通りの働き方ができず収入が減ってしまうといった問題も起きています。浜中さんは、こういった家庭を支援するため去年12月からカフェの営業と並行して、武蔵野市在住の方を対象に1日10食まで食事を提供しています。テイクアウト形式で、取材した日のメニューは豚肉や野菜の炒め物でした。この10食はほぼ毎回全部品切れになるそうです。毎日のように利用する方もいて、そういうお子さんから手紙や、浜中さん達の似顔絵を描いてもらったことがあり、嬉しかったと仰ってました。

従来の子ども食堂の役割を補完

ところで子ども食堂というとNPOなどが運営するものもありますが、飲食店が子ども食堂を運営することのメリットについて浜中さんに聞きました。

「飲食店が直でやってるっていうところがなかなか少ないので、団体さんがやってるのでどっか場所を借りるとか、そうなると、今場所を提供してくれるところがない。というのでなかなかその子供食堂という会を開けないみたいですね。でもうちは飲食店なので、毎日営業してるので、いつでも提供できるという感じ。だから、そういうところから、うちにコラボレーションをお願いされたりとかそういうのありますね。」(「CAFE&BAR dizzle」店長の浜中明宏さん)

武蔵野市内にはdizzleが取り組む以前からの子ども食堂が複数あるのですが、 実施日に一斉に人が集まることによる感染リスクの懸念、 また、公共施設などで行っている場合、その施設が利用できないために 活動を休止している所もあります。 こうした中、飲食店の傍らの子供食堂であればお店の営業日に安定して開けます。Dizzleでは地域の子ども食堂関係者から提供された 食材を配布するといったコラボレーションも行われたということです。

ラーメン店の子供食堂、周囲も協力

続いてもう一か所、飲食店の子ども食堂をご紹介します。ラーメン店の「石黒商店 神保町店」です。こちらで子ども食堂を始めた石黒友子さんは、シングルマザーとして子育てし、周囲に手助けをしてもらった経験から、コロナ感染拡大後の去年に子ども食堂を始めました。看板メニューの蟹みそラーメンや、チャーシュー丼、柚子そぼろ丼などの丼メニューが、お子さんであれば全て100円で食べられます。石黒さんは、子ども食堂を始めたことで様々なつながりができたと話しています。

「いつもうちの野菜を卸してくれている業者さんとかも周りが傷んじゃった野菜とかを中は全然綺麗だからそういうのに使えない?とか声かけてくれたりとか、あとの自分の友達がシングルマザーだからその友達に声かけてお店に呼んでもいいですかとか、お客さんから結構声をかけてもらえるようになったり、募金をしてくれる人とか、会話が増えましたね。」(「石黒商店 神保町店」石黒友子さん)

食材の提供、そして募金。店内には、子ども食堂の活動支援のための募金箱が設置されていて、今年1月から今まででおよそ9万円が集まったといいます。この募金の使い道について、石黒さんはこう話しています。

「たまった分の募金をお米5キロ、うちで使ってるゆめぴりか美味しいんですけど、それをSNSとかでお米を配送無料でするのでDMくださいっていう形でDMをシングルの方からいただいて、配送させてもらってます。あと個人でシングルの方をTwitterとかで見つけたりすると、こういう活動をやってるのでって、勝手にDMを送らせてもらってます。地道に長くやってくしかないので、根気強くやってみます。」(「石黒商店 神保町店」石黒友子さん)

Twitterのダイレクトメッセージを通じて、ひとり親の家庭などとやりとりし、石黒商店で使っているお米を無料で配送しているということです。茨城や青森からも申し込みの連絡が来たほか、お店の比較的近くのお住まいで、子ども食堂のほうも利用してもらえるようになったケースもあるそうです。それでも、石黒さんは支援が必要な人にまだまだ情報が届いていないと考え、SNSを駆使して、困っていそうな人を見かけたら積極的にアプローチをしているということです。

(担当:中村友美)

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