網膜色素変性症を助けるMW10。機能も支援も進化していた

森本毅郎 スタンバイ!

今日は久しぶりの登場「HOYA MW10 HiKARI」について、7月15日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。

「HOYA MW10 HiKARI」は、暗いところで目が見え無くなってしまう夜盲症=「網膜色素変性症」を助けるウェアラブル端末。メガネのようにかけると、外側についたカメラが景色をキャッチして、目の前にあるディスプレイに映し出してくれる、暗いところでも見える、という機械です。

この番組では完成直後の2017年10月以来、定期的に注目してきましたが、ニューモデルが出ると、きのう発表会がありましたので、再び取材しました。「HOYA MW10 HiKARI(エムダブリューテン・ヒカリ)」に開発から関わっている「Vixion株式会社」の石塚隆之さんのお話です。

新しくなった「HOYA MW10 HiKARI」

「まず製品面では大きな変更ポイントは二つあります。まず一つがですね、この頭につけるところ。ヘッドマウントというんですけど、ヘッドマウント部のデザインを大きく変えました。二つ目は、リモートチャット機能をつけました。今までのMW10はカメラで写った画像がディスプレイに映って、それを見えていたものなんですが、このカメラで写っていた画像がインターネットで、ご自宅の、例えばご家族とか、スマートフォンと画像で共有ができます。音声も共有できます。チョコッと困ったときにチョコッとつないで、家族の方とかに助けてもらうという新機能です。」(Vixion株式会社 石塚隆之さん)

前回取材したのは2年前。そこから色々な「変化」があったそうです。

これまでは光学機器のHOYAの社内ベンチャーとして開発、生産してきましたが、今年、独立。「見え方を最大限にする」という願いを込めて、「Vision」=視覚のアルファベットの「s」を「x」にした「Vixion(ヴィクシオン)」という社名で新規スタートしたそうです。

そして「MW10」は、これまでメガネのような形でしたが、人気デザイナー佐藤オオキさんがデザインを一新。マラソンランナーがかけるスポーツグラスのようなデザインとなりました。

森本毅郎スタンバイ!

こちらが「旧モデル」(今後も併売予定)

森本毅郎スタンバイ!

こちらが「新モデル」です

私もかけてみたんですが、デザインだけでなく、バランスが良くなっていて、かけやすかったです。

森本毅郎スタンバイ!

(左)旧モデル/(右)新モデル

さらに、「ちょこっとヘルパー」とも呼べる機能もついたそうで、「MW10」で見ている景色と同じ映像を、家族やヘルパーさんのスマホに転送できる仕組み。会話もできるので、道に迷った時の助けや、小さくて読みにくい文字などを読んでもらえる。

今、コロナで接触を控える傾向があるため、歩行ヘルパーをつけにくく、みなさん困っている状況。そのため、こうした機能で、必要な時だけでも、ちょっと助言してもらえれば、ということでした。

自治体の支援広がる

一方で、変わらないのはお値段が高いこと。ただこれについては、自治体の支援が広がっていました。

「助成金の補助が出る「日常生活用具」の認定が加速いたしました。現時点では52の自治体で認定。特に最近では、この数が増えたというのもあるんですけど、内容ですね。定価が39万5000円するわけですけれども、ほぼ患者様負担が約1割負担で助成金が出るような形で、内容的には、良くなってきてると感じております。これもですね、私達の知らないところで、患者様、そして地域のお医者様が、協力して陳情された結果の賜物だと思っておりまして、本当に感謝しています。」(Vixion株式会社 石塚隆之さん)

前回放送した2年前は、熊本の天草市、東京の新宿区だけでしたが、その後、この放送を聞いた方が狛江市に陳情して狛江市が認定に動くなど、今では52の自治体に広がりました。東京では、新宿区、台東区、江戸川区、北区、八王子・立川・府中・調布・小金井・国立・狛江・清瀬など。

これで、暗いところでの見え方に困っている方々が、安く購入でき、生活が改善されるようになったそうです。

若年層に知ってほしい

網膜色素変性症で困る方々の助けとして、順調に広がっているように思えましたが、石塚さんには反省もあるということで、それは「まだまだ知られていない」ということ。これまで中高年をイメージして患者団体などに広報してきましたが、実は購入者は10代から30代など若い方達で、そうした方は、患者団体に入っていないことが多い。本当に必要な人に情報が届いていないとして、今後は若い人と連携してSNSなどで情報発信したいと言うことでした。

そうした中、網膜色素変性症の当事者で、若い声楽家の方が、手伝ってくれるようになったそうです。声楽家の北原新之助さんのお話です。

「この網膜色素変性症、並びに夜盲症のある方にとったら、博物館、美術館では暗かったりして見えなかったりするんですけれども、そこに作品があるのを見たくても見られない。一緒にいる人と、見て共感できるものは見て共感したいし、一緒にいる人と見て感動できるものは見て感動したいっていうのがあるんですよね、患者には。それがこの製品によって見られるわけですよね。これは子供たちとかにとって、学習の面ではもう全然違いますよね、その体験っていうものが。その体験をして欲しいっていう気持ちがすごく強くて、必ずその感動した体験とかは将来に生かされるというか、その子にとって影響があると思っているので、協力できる事があればお手伝いをしています。」(声楽家 北原新之助さん)

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北原さんにお話を聞きました

北原さんはバリトンの声楽家。ご自身は、暗いステージで歌う時、お客さんの顔が見えなかったそうです。それが「MW10」を使ったことで、聴衆の表情が見えて、自分の歌が伝わっているのを感じられたと話していました。

そうした感動体験から、今は製品開発のアドバイスをしたり、SNSで患者のコミュニティを作り、情報発信するなど、お手伝いしているそうです。こうした協力を得た石塚さんは、今後は商品開発だけでなく、サービスを強化したい、まだ助成金が出ない地域でも安く使えるように、月数千円のサブスク利用など計画中と言うことでした。

取材/田中ひとみ

【HOYA MW10 HiKARIの放送回】

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