入社2年目で山里さんに言われた「忘れられない一言」 /松重暢洋【#ネクストクラフトマンズ】

これからのTBSラジオを担っていく若手スタッフへのインタビュー企画「#ネクストクラフトマンズ」。

今回登場していただいたのは、『たまむすび』や『CITY CHILL CLUB』のディレクター、『見事なお仕事』のプロデューサーなどを務める松重暢洋さんです。

現在、TBSラジオ入社4年目の松重さん。入社2年目で直面したハプニングを通して、大切なことに気づかされたといいます。その背景には、南海キャンディーズ山里亮太さんの存在があったのだとか。

そんな思い出や、仕事のやりがい、今後の目標などをお聞きしました!

「自分が楽しまなければ、示しがつかない」

現在、僕がメインで担当しているのは、赤江さんと南海キャンディーズ 山里さんがパーソナリティを担当する火曜日の『たまむすび』です。肩書きはディレクターですが、それ以外にも幅広い仕事をしています。AD時代にやっていた音源集めや編集作業、効果音、ジングル作りといった仕事から、本来なら作家さんがやるような原稿執筆の仕事、その日の選曲まで、さまざまです。

ラジオディレクターは向き不向きのある仕事だと思います。自分は不器用過ぎて決して向いている仕事ではありませんが、楽しいことは間違いないです。特に原稿を書く、音声を編集することに関しては、大変といえば大変ですが、楽しめる部分を見つけられるタイプだったのでよかったなと(笑)。原稿作成や音声の編集には“絶対的な正解”がないので、自由に考えて作っていける喜びがあります。

実際、原稿の書き方や音声編集の仕方によって、リスナーさんへの伝わり方は大きく違ってきます。原稿でいえば、主語と述語の繋げ方や、1文の長さ。読み手によって語尾も変えます。音声編集でいうと、サウンドを入れるタイミングなどです。例えば、盛り上がりの繋ぎ目に入れる効果音のタイミングや、ナレーションを入れるタイミングを少し調整するだけで、聴こえ方が全然違うんです。どうやったら良いグルーヴが出るのかいつも悩んでいます。

基本的なことに思えても、こういった勘所を押さえるのは意外と難しかったりするんですよね。

まだ4年目で偉そうなことは言えませんが、「ラジオの力で誰かのためになってるな」と感じられるときはやっぱり嬉しいです。

例えば、たまむすびには東京にまつわる人、モノ 、場所を紹介する「TOKYOもん」というコーナーがあって、僕は原稿作成やリサーチなどを担当しています。そこで何かを紹介したことで、「東京にはこんな一面があったんだ」「たまむすびのおかげでお客さんが来てくれたよ」「実際に行ってみたら楽しかった」といった声を聞けるのは、やりがいの1つです。

こうして自由にディレクターをやらせてもらえる環境があって、自分は本当に恵まれてるなと感じています。採用人数も決して多くはなく、ただ「やりたい」という気持ちだけでできる仕事ではないからこそ、僕が楽しまないと示しがつかないなと思いますね。

ディレクター初仕事での、忘れられない思い出

これまでの仕事で何より印象的だったのが、入社2年目で、初めてたまむすびのディレクターを任された日の放送です。サブ(副調整室)の卓に座って「無事に終わるといいな」と願っていたのですが、まさかのハプニングが起きました。

毎週コーナーを担当している映画評論家の町山智浩さんと、生放送が始まっても全く連絡がつかなかったんです。カリフォルニア州在住の町山さんが寝落ちしてしまっていたそうで、現場はもう大慌て。担当ディレクターが町山さんの対応に忙しかったため、本来なら次のコーナーは担当していない僕が、引き続き卓に座ってトークやメッセージ、曲で繋ぐことになりました。

そんななか、僕は「とにかく繋がなきゃ」という気持ちでタイミングを吟味せず、曲の指示を出してしまったんです。結果、それが赤江さんと山里さんのトークを遮るような形となり、演者さんをさらに困らせてしまいました。そんな僕の行動を見た山里さんが、「1つ1つの指示の意味や意図を説明できないといけないよ」と優しく教えてくださったのを覚えています。そして生放送では、「FMに憧れてるからすぐに曲を出したがる」とおもしろおかしくイジってくださり、これが一流の芸人さんなんだ……と食らってしまいました。

そこで初めて、ディレクターってこういうものなんだと。ディレクターをやる以上は、なんとなくで人に指示なんてできないんだと、痛感した出来事でした。

最終的に、赤江さんと山里さんがなんとか繋いで番組を終えたのですが、これほどの緊急事態は他にないくらいで、この日の放送は本当にヒヤヒヤしました。もうほとんどトラウマですね。怖すぎて、いまだに夢でうなされます(笑)

TBSラジオでしか聴けない音声体験を

今後は、放送局でパーソナリティをすることの価値をこれまで以上に考えないといけないなと思っています。正直、ただラジオをやるのであれば放送局である必要は全くありません。クラブハウスやPodcast、YouTubeだって出来ますし、誰でもどこでもいつでも出来る。ラジオ局に優位性があるとすれば、音楽を自由にかけれることと、プロのスタッフが比較的多いこと。それも5年後にはどうなっているかはわかりません。

昔は、ラジオは“素”が出るメディアと言われていたかもしれませんが、今はあらゆる場所に“素”が溢れすぎていて、最早ラジオの優位性では無くなっている気もします。だからこそ、スタッフ側がしっかりと場づくりや見せ方を考え工夫し、TBSラジオでしか聴けない音声体験価値を高めるのが、今後の僕の役目なのかなと思っています。

とは言いつつ、カッコいい音楽番組が一番作りたいです。
 
 

 

松重暢洋/1995年生まれ。2018年、TBSラジオ入社。「アフター6ジャンクション」「TALK ABOUT」などの番組ADを務めた後、現在は「たまむすび」を中心に「見事なお仕事」「CITYCHILLCLUB」といった番組を担当する。

 

 
Photo:飯本貴子 Text:市川茜

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