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戦争をしたら評価が高い?! 歴代米大統領

森本毅郎 スタンバイ!

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月尾嘉男

11月10日(木)は「戦争をしたら評価が高い?! 歴代米大統領の評価」

★トランプ大統領誕生へ!

アメリカの第45代大統領選挙で大番狂わせと言っては失礼ですが、ドナルド・トランプ氏が選ばれました。フィリピンのドゥテルテ大統領と共通するような強烈な個性をもつ人物で、これからどのようなアメリカを作っていくのかに興味がありますし、クリントン氏が何度も言及してきた「ガラスの天井」も今回の2度目の挑戦でも破れなかったこともアメリカ社会を象徴しています。トランプ氏についてはメディアが書き立てていますので、今日は歴代アメリカ大統領の評価を紹介しながら、トランプ氏の特徴を考えてみたいと思います。

★強い大統領の評価は高い

これまでの大統領については数多くの評価結果が発表されていますが、現職のオバマ大統領を除く過去43人の評価を平均してみると、上位5位に入るのは初代ジョージ・ワシントン、第3代のトーマス・ジェファーソン、第16代のエイブラハム・リンカーン、第26代のセオドア・ルーズベルト、第32代のフランクリン・ルーズベルトで、ときに第35代のジョン・F・ケネディや第40代のロナルド・レーガンが入るというところです。これらの人気ある大統領に共通する特徴は何かを考えてみると、強い大統領ということだと思いますし、さらに言えば戦争をした大統領です。

★先住民全滅を命じたワシントン

ワシントン大統領は言うまでもなく、アメリカ独立戦争の司令官として8年間、独立戦争を戦い、1783年にイギリスから独立し、その後、初代大統領に就任することになります。また、ニューイングランド一帯の先住民を絶滅させる命令を発するなど、現在では批判されるような行動もしています。

世界全体でも、独立を獲得した国家元首は崇拝されています。オスマン帝国からの独立戦争を指揮してトルコ共和国の初代大統領となったムスタファ・ケマル・アタチュルクは、現在でも空港、ダム、街路などに名前が付けられている英雄です。中華人民共和国を建国した毛沢東、インドを独立に導いたマハトマ・ガンジー、ケニアを独立させたジョモ・ケニヤッタ、シンガポールを独立させたリー・クアンユーなどは神格化されているほどです。

★リンカーンは先住民と戦争

リンカーンが大統領を勤めた1861~65年までの4年間はアメリカの南北戦争の期間と重なり、リンカーンは北軍の指揮官でした。また、現在では否定的な評価ですが、ナバホ族やダコタ族など先住民との戦争も任期中に実施しています。そして南軍の司令官のリー将軍が降伏した6日後に、暗殺された最初の大統領になるという悲劇でも人気があるのだと思います。

トーマス・ジェファーソンは独立宣言を起草したことで有名ですが、独立戦争では敵前逃亡を非難され、その反動で大統領になってからは富国強兵政策を推進しています。

★戦争を仕掛けた2人のルーズベルト

セオドア・ルーズベルト大統領は非常に戦争が好きで、前任のウィリアム・マッキンリー大統領のときに海軍次官に任命されますが、1898年に米西戦争が始まると海軍省を辞任して第一合衆国義勇騎兵隊を結成し、キューバでのスペイン軍との戦闘では先頭に立って何度も戦うという好戦的な人物でした。1900年にマッキンリー大統領の副大統領になりますが、翌年、大統領が暗殺されたため第26代大統領になり、その時期に世界各国を仮想敵国とする戦略の検討を命令し、日本についても「アメリカの太平洋制覇のために日本を完膚なきまでに打倒する計画(オレンジ計画)」の作戦立案を軍に命令しているほどです。そして先住民に対してもきわめて冷酷な態度をとった大統領でした。退任後はアフリカやアマゾン川の奥地で狩猟も楽しんでいます。日露戦争を終結するポーツマス条約の締約に貢献したことで1906年にノーベル平和賞を受賞していますが、平和主義者ではなかったと言えます。

そのオレンジ計画を実行して日本と戦争をしたのが、セオドア・ルーズベルトの遠い従弟にあたるフランクリン・ルーズベルト大統領です。1929年に勃発した世界大恐慌から脱出するニューディール政策の立案者としても有名ですが、やはりアメリカにとっては第二次世界大戦を仕掛けて勝利した大統領として名高い人物です。

★ノーベル平和賞の2人は低評価

戦後のケネディ大統領はベトナム戦争への介入、レーガン大統領は実際の戦争は引き起こしませんでしたがスターウォーズ計画を推進してソビエト連邦を解体させることに成功して評価されています。

その一方、エジプトとイスラエルの和平協定を締結させてノーベル平和賞を受賞したジミー・カーター大統領や、核兵器廃絶を目指すプラハ演説でノーベル平和賞を受賞したバラク・オバマ大統領の評価が低いのとは対照的です。

今回、トランプ候補が勝利したのも「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」という言葉で、強いアメリカの再現を強調して大衆に訴えた効果かも知れませんし、かつての大統領が先住民を敵視したのと同様に、メキシコ人を強烈に非難していることも、過去の人気のある大統領と共通しています。