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いま求められる「いのちの電話」

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

いま求められる「いのちの電話」

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警察庁のまとめによりますと、去年1年間で自殺した人は3万2552人。
8年連続で3万人を超えたということでニュースになりました。
その状況は、30年以上前から精神的に危機に陥った人からの
電話を受け付けている「いのちの電話」にも表われています。

「いのちの電話」は東京で1971年に始まり、全国に広がりました。
現在はおよそ50カ所にセンターがあり、ボランティアが相談を受けています。
東京や大阪のように24時間受け付ける所もあります。
(電話で相談できない人のためにFAXでの相談も受け付けています。)

「いのちの電話」は「少しでも気軽に電話をかけられるように」
という配慮から相手の名前も年齢も住所も聞きません。
当然相談内容の秘密は厳重に守ります。相談員も自分のことは明かしません。

相談員になるには、心理学や社会学、精神医学などの専門家による
研修を2年受け、さらに面接などを受けることが必要です。
このように厳しい研修や認定制度があるのは、相談相手に対する
適切な言葉の使い方や伝え方が大事だからです。

東京の「いのちの電話」の事務局長、三崎由美子さんは
「私たちのしていることはかなり人の心の奥深くに
 知らないうちに入り込んで影響を与えてしまう。
 無意識に相手を傷付けてしまうことが一番怖い。
 特に電話は声だけのやりとりなので、
 相談員には向き不向きがあります。」
と話します。

こういうこともあり、東京の「いのちの電話」では最近、
相談員の研修の前半を有料の公開講座にしました。
これは、講座の段階で仕事の難しさをよくわかってもらうことが目的です。

その一方で、公開にすることで、広く「いのちの電話」を
知ってもらうことも目的にしています。

鳥山穣記者が取材した東京の「いのちの電話」には
300人以上の相談員がいて、交代で詰めています。

電話を受ける部屋の前には連絡事項を伝えるために
ロッカーがずらりとならび、中には札が黄色くなるほど
長くやっている人(30年以上)もいるそうです。
夜中でも電話を受けるため、仮眠するソファーも見かけました。

机の上には電話とメモと筆記用具だけ。
あらかじめ用意された応対マニュアルはありません。
交代すると、すぐに呼び出し音が鳴るという状況で、
「いのちの電話」を必要としている人が多いことを実感させられます。

三崎さんは、「自殺に関する相談件数は実際に増えている」と話すなかで、
相談してくる人の環境に変化が生じていることを指摘します。

問題が起きたり、悩みを抱えた人たちが、誰かに相談できる環境がない。
つまり、悩んでいる人の相談に応える力を持った相手が
少なくなっている、ということです。

加えて、昔から若者からの相談件数が大半を占めているのですが、
最近では40・50・60代、中高年の自殺の相談が増えてきたそうです。
環境の変化は年齢を問わず現れているのでは、と話していました。

また、若者からの相談の割合は変わりませんが、
件数はここ10年くらい毎年減ってきています。
このため、「いのちの電話」ではeメールで相談を受け付けようと、
準備中です。

三崎さんは
「メールでは自殺を思いとどまらせることは難しいかもしれませんが、
 悩みをメールの文章にすることで、自分の心の中を整理して理解すれば、
 次には直接電話をかけて、相談するようになるのでは」
と話していました。
今年中に受付を開始したいということで、
相談員の「メールを書く研修」も進めているということです。

このような民間の対応もある一方、最近では「自殺対策基本法」が
成立するなど、行政も力を入れています。

「自殺対策基本法」は自殺を単に個人の問題として終わらせるのではなく、
社会全体で取り組むべき課題として位置づけています。

そのうえで、「自殺可能性が高い人の早期発見の体制作り」や
「自殺防止活動を行う民間団体への支援」、
「自殺未遂者への適切な支援」などを柱としています。

三崎さんは、
「法律が出来たからといって、今後すぐに自殺者が減るようなことは
 あまり期待しないほうがいいと思います。 長期的に考えなくては」
と指摘する一方で、「いのちの電話」等に対する
社会的な理解が変ってくることを期待もしているようです。

自殺者が先進国の中では割合として多いのに、日本社会は
これまで自殺者の問題に目を向けて来ませんでした。
自殺防止活動が広く行われるようになることで、
自殺者が少しでも減って行くことが期待できるかもしれません。

東京の「いのちの電話」:03-3264-4343
(混雑しているときもありますので、
 かかりにくいときは、時間を置いてかけ直してください。)

「日本いのちの電話連盟」のホームページには全国のセンターの番号が載っています。

担当:鳥山穣