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放送中

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視覚障害者が挑むクライミング

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

視覚障害者が挑むクライミング

視覚障害者のスポーツというと、何を思い浮かべるでしょうか?

例えばパラリンピックには陸上や水泳、柔道にサッカーと
様々な競技がありますが、中村愛美・情報キャスターが
取材したのは「フリークライミング」です。

ビギナークラスで壁に挑戦するモンキーマジックのメンバー

ビギナークラスで壁に挑戦するモンキーマジックのメンバー


岩場に手と足をひっかけて登っていくフリークライミング。
確かに目が見えないと、登る前に岩場の状況を確かめることはできません。

しかし岩を手や足で触って、体重をかけてもいいか
確かめながら登るのは目が見えなくてもできます。
岩を目で確認するか、直接触って確認するかだけの違いです。

視覚障害者のフリークライミングに取り組んでいる東京・武蔵野市の
NPO法人「モンキーマジック」のメンバーがクライミングジムで
練習している所に中村キャスターはお邪魔しました。

安全のため、ロープにぶら下がりながら、垂直の壁をあちこちに
突き出している「でっぱり」=「ホールド」を頼りに登ってゆきます。
ホールドを探すのにちょっと時間がかかる以外は
健常者の練習風景と変わりありません。

子供の頃から運動は苦手という川嶋一広さんは

川嶋一さん
『 温泉あるよ、とかそそのかされて、のこのこついていったのが
 だんだんはまって行きました。
 外で登った時の爽快感とか、達成感とかよかったし、
 またやってみたい、登ってみたいと思ったので、続けてます』

と話します。
川島さんは始めてから3年。
今では腕が太くなり、体つきが変わった、
と周りからも言われているそうです。

一緒に練習していた岩本謙司さんも学校の体育の時間は見学ばかり。
「なんでスポーツなんかみんな一生懸命やっているんだろう。
苦しい思いをして」と思っていたそうですが、
クライミングを始めてからその気持ちが分かってきたと話します。
また、

岩本謙司さん
『 クライミングでできた友人は、同じ課題に挑戦している
 ということもあって、私にとっては特別な人たちです。
 それに見える、見えないっていうのは関係なくなってきます。
 挑む課題はみんな一緒。わけ隔てなく一緒に楽しめます』

とクライミングの面白さについて説明していました。

障害者スポーツというと、ハンディをつけたり、全く違うルールで
行なったりしますが、クライミングはそうではありません。
確かに、登る速さを競う大会などでは、目が見えないと差がつきます。

しかし、「モンキーマジック」代表理事の小林幸一郎さんは

小林幸一郎さん
『 競争が重要ではありません。自分のペースで登って、
 前はできなかった岩場を登れるようになることが
 クライミングの楽しみ。
 そういう本質的な部分では障害者と健常者の違いはないんです』

と強調します。

ミドルクラスに挑戦した代表理事の小林幸一郎さん

ミドルクラスに挑戦した代表理事の小林幸一郎さん


中村キャスターが取材した直後、11月の下旬には佐賀県多久市で
「クライマーズチャレンジカップ」(長崎県フリークライミング協会主催)
が開かれ、モンキーマジックのメンバーも参加しました。
佐賀県で開かれたクライマーズチャレンジカップに参加したモンキーマジックのスクールメンバー。壁を前にちょっと緊張気味。(以下3枚の写真は長崎県フリークライミング協会提供)

佐賀県で開かれたクライマーズチャレンジカップに参加したモンキーマジックのスクールメンバー。壁を前にちょっと緊張気味。(以下3枚の写真は長崎県フリークライミング協会提供)


視覚障害者が大会に参加するのは国内では初めて。
健常者とほぼ同じ条件で参加しましたが、残念ながら予選落ち。
でも「少しでも高く登りたい」という気持ちは
満たされたのではないでしょうか?

代表理事の小林さんは10年程前から難病で視野がだんだん
狭くなっていますが、そうなる前からクライミングは楽しんでいました。

病気になった時はショックですごく落ち込んだそうですが、
「モンキーマジック」を2年ぐらい前に設立。
教室を開いたり、講演を行なって、その楽しさを広めています。

活動を始めた理由について

小林さん
『 クライミングがあるからこそ、自分が元気でいられる
 ってことがあって、その元気を自分以外の視覚障害の人にも
 持ってもらえたり、それで笑顔を持ってもらえたら、
 という思いが強くなったんです。
 また、クライミングジムに、白い杖をついた人が来るってこと自体、
 視覚障害者でもこんなことができるんだっていう驚きから
 理解につながれば、モンキーマジックが存在する意味になるんじゃないかな』

とも話していました。

取材した日は室内の練習でしたが、モンキーマジックは
伊豆半島などの岩場で月4回ほど教室を開いています。

「自然の岩場」を登ると、自然の空気に季節を感じたり、
とにかく「登ること」に集中するので、ストレス解消にもなるそうです。

小林さんに手伝ってもらいながら、初めて壁を登る中村キャスター(国分寺市のクライミングジムで)

小林さんに手伝ってもらいながら、初めて壁を登る中村キャスター(国分寺市のクライミングジムで)


中村キャスターも簡単な壁を頂上まで登ってみたのですが、
その時、クライミングの魅力をちょっとだけ感じることができたそうです。

モンキーマジックのメンバーの話を聞くと、
「今度は自然の岩場を登りたい」と思う中村キャスターでした。

担当:中村愛美

関連情報・お問い合わせ先
モンキーマジック
http://www.monkeymagic.or.jp/