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横断歩道の「通りゃんせ」が「ピヨピヨ・カッコー」に変わっていた。なぜ?

森本毅郎 スタンバイ!

森本毅郎・スタンバイ!ロゴ

 

横断歩道で目の不自由な方を誘導する音響信号機。”故郷の空”や童謡の”通りゃんせ”、また”ピヨピヨ”とか”カッコー”といった鳥の鳴き声があります。今この音響信号機が、メロディー式からピヨピヨ・カッコー式に、全国でどんどん変わっているそうで、全国に1万9千基ある音響信号機のうち、なんと96%がピヨピヨ・カッコー式。(たとえば、東西方向の横断歩道がピヨなら、南北方向はカッコーで青を知らせています。)いつの間にかこうした状況になっていました。そこで・・・。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日10月11日(火)は、レポーター近堂かおりが『横断歩道の”通りゃんせ”が、”ピヨピヨ・カッコー”に変わっていた。なぜ?』をテーマに取材しました!

現場にアタック(近堂かおり)

現場にアタックレポーターの近堂かおり

なぜ、ピヨピヨ・カッコーが増えているのか?このピヨピヨ・カッコー式の信号の改良に長年取り組んできた方にお話を伺いました。岡山県立大学・特任教授の田内雅規さんのお話。

★ピヨピヨ・カッコー式は方向も示す!

田内雅規さん
古い時代には21種類ぐらいメロディーがあったんです。”赤とんぼ”とか”赤い靴”とか”乙女の祈り”とか。その時から鳥の鳴き声の”ピヨ”と”カッコー”もあったんです。そこからだんだん今は鳥の声のほうにシフトしてきたというのは、いくつか理由があるんですが、”ピヨピヨ・カッコー”は方向を示すことができるというところが大きいと思います。メロディーはずっと鳴っているんですが、青か赤かを知らせるためのものであって、方向を知らせるものではないんだなということに気がついたんです。

交差点の音響信号は、信号が青になっていることを知らせるだけでなく、視覚障害者にとっては、進む方向の目標になる非常に重要なものだった。音がする方向に向かえば、横断歩道の向こう側にたどり着ける。その時、音がずっと鳴っている状態よりも、音の立ち上がり(鳴り始め)を聞くほうが方向をつかみやすいのだそうです。音の立ち上がりが何度も聞こえるピヨピヨ・カッコーだと方向が分かるのはそのため。(ただし、音楽の方がいいと思う人もいるそうです。)

実はピヨピヨ・カッコーの鳴き方も改良されていました。昔は横断歩道の向こうとこちらで同時に”ピヨ”とか”カッコー”と鳴いていたが、それだと音が大きくなるだけで、方向はあまり分からない。そこで、横断歩道の向こうとこちらで、タイミングをずらして、交互に鳴らしてみたが、今度は横断歩道の真ん中あたりに来ると、両側の音が同じくらいの大きさになって、やっぱり方向が分かりにくく横断歩道の半ばで立ち往生してしまう人があった。そこで、両側の鳴き方を変えることにしたのだそう。再び岡山県立大学の田内さんのお話です。

★横断歩道の”カカッコー”聞き分けられる?

田内雅規さん
ピヨについては、”ピヨ”と”ピヨピヨ”を鳴らして交互に鳴らしてみたところ、割と短い音なのでまあ大丈夫だと。カッコーは、最初”カッコー”と”カッコーカッコー”とやったんですけど、これがちょっとうるさいんですね。それで”カッ”と”コー”を分けて、手前が”カッ”なら向こうが”コー”と鳴いて、合わせて”カッコー”みたいにした。ところがこれは、静かな環境だと問題ないんですけど、実際に町で鳴らしてみると何か騒音が重なるとかき消されてしまうんです。悩んで試行錯誤した結果、”カッコー”と”カカコー”となりました。実際のカッコウはこんなふうには鳴かないんですが、苦肉の策でこの音で実験した結果、評判がよかったということで、現在はこの音が採用されています。

では、この音が街の中だとどのように聞こえるか。東京・新宿区、高田馬場駅前の交差点で実際の音を録音して聞いてみました。きのうは体育の日で、クルマも人も比較的少なめでしたが、結構、クルマのノイズに”カッコー”がかき消されているように聞こえます。実際に交差点の風景を見ながら音を聞いていると感じなかったが、音だけにしてみると、かなりまわりのノイズが大きく感じ、反対に、”カッコーの音”は意外と小さいと感じました。

これで”カッコー、カカコー”を聞き分けたり、音の出ている方向をつかむのは、私にはちょっと難しく感じられたのですが、どうなのでしょうか。そこで日本盲人会連合・常務理事の橋井正喜さんにお聞きしました。

★音響信号は灯台なんです!

橋井正喜さん
目が不自由になると町の中を歩いていても、音には敏感になってすごく聞こえてくるんです。(ピヨピヨ・カッコーが聞こえていると違いますか?)もうそれはすごく違います。安心感というか。船でいえば真っ暗なところを灯台の光を見つけることによって安心がある。同様に、私たちは音を頼りに歩きますので、雨の時とか風が強い時は音が流れてしまうんですけれど、音が鳴っているだけでだいぶ違いますね、目標に向かうということでは。

場所や天候によって、ピヨピヨ・カッコーが聞き取りにくいこともあるが、音がしていることの安心感はとても大きいと話す橋井さん。そんな橋井さんは、最近の”信号機の改良”の動きについて少し不安に思っていることがあるそうです。再び橋井さんのお話です。

★ここ新しい信号機に変わったの?

橋井正喜さん
歩車分離型の信号機というのがあります。車だけが右折左折して、人は渡ってはいけないんですけど、音響信号機がついていないところですと、僕たちは車の音とか人の動く音によって信号を渡りきりますので。エンジン音がうわっと吹いたりしますよね、そうすると渡っていいんだなと思うんです。そうすると今までみたいに車が動いたから渡るとケガのもとです。そういうところには、より積極的に音響信号機を設置していただければと思っております。

歩車分離型の信号への置き換えも最近進んでおり、交差点での歩行者巻き込み事故を減らすことにも効果をあげ始めているところなのです。実際に横断歩道を渡るときには、車歩分離だと安心だな、と私は思っています。しかし、一方で、我々もおや?いつの間にか信号が新しくなったな、とか、渡り方が変わったな、とそこに行って初めて気がつくことも多いように、今までとは違うタイプの信号機、違うルールの横断歩道について、視覚障害の方に十分知れていないので、そのあたりは課題と言えそうですね。