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商店街が地域の介護施設で出張販売

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

商店街が地域の介護施設で出張販売

埼玉県秩父市の中心部にある「みやのかわ商店街」。
「ナイトバザール」などで地域には知られていますが、
去年の8月から、「楽楽屋」と名付けた
「介護施設への出張販売」を始めたんです。

「楽楽屋」の開店の準備中

「楽楽屋」の開店の準備中


近藤夏紀記者が取材したのは、5月の中旬に
養護老人ホーム「長寿荘」で開かれた「楽楽屋」です。

長寿荘の食堂には、「楽楽屋」と書かれた黄色いのぼりが立ち、
テーブルの上に商品が並べられました。
買い物カゴやレジも用意されていて、
本格的な買い物気分が味わえるようになっています。

毎回、食品から衣料品、雑貨までバラエティ豊かな
商品を揃えていますが、この日は施設からの要望もあり、
お菓子やお茶、カップ麺など食品が中心の品揃え。
商店街の4つの店が出品しました。

開店は朝10時。入所しているお年寄り約50人は開店と共に
一斉に買い物を始め、「店内」は大混雑。
人気のある「うめこぶ茶」などは早いもの勝ちでした。
また、車椅子での介助が必要な人はヘルパーさんに付き添われ、
ゆっくりと商品を選んでいました。

「このおせんべいだと固いから、やっぱりクッキーにしようか」とか、
「あれもこれも欲しいけど、1000円くらいまでにしなきゃ」と、
皆さんいろいろ考えながら、買い物していましたが、
中には、自宅にいた頃、顔見知りだった商店の方と、
レジで会話がはずむ姿も見られました。

「長寿荘」では「外出」の一環として、秩父の街まで車に乗って
買い物に行くこともありますが、回数に限りがありますし、
体調などもあり、全員が行けるわけではありません。

「楽楽屋」の開店は3回目でしたが、
長寿荘の生活相談員の鈴木貴子さんは、

鈴木貴子さん
『 街中に出るのは不便があるので、お店に来ていただいて、
 “選ぶ”ことで楽しみを持っていただこうというわけです。
 “選ぶ”力が無くなって、『職員さんにお任せします』
 ということが増えてしまっているので、
 “選んで”もらう場を提供しようと思ったんです』

と話します。

「長寿荘」では次の週に、生活雑貨を中心とした
「楽楽屋」が開店しています。

出品する店側も、例えば洋服なら、
サイズや色などの要望を事前に聞いて、
商品を揃える一方で、「衝動買い」を
期待して持っていく商品もあるそうです。

近藤記者が取材した日は食品に限っていたので、
売り上げは3万円弱でしたが、
単価の高い洋服が売れる時など、
多いと8万円も売れる時があるそうです。
施設のお年寄りも商店街も元気になる「楽楽屋」なんです。

カゴを持って、買い物を楽しむ(最初の混雑が少しおさまったところ)

カゴを持って、買い物を楽しむ(最初の混雑が少しおさまったところ)


125店舗が加盟する「みやのかわ商店街」はこれまでも、
商店街に人を引き寄せようと新しい取り組みに積極的で、
ユニークな地域通貨を発案したり、「ナイトバザール」という
夜に開く市を20年間続けたりしています。

「楽楽屋」が始ったのは去年の8月。
高齢者や障害者の「買い物代行」のサービスと一緒でした。
「みやのかわ商店街振興組合」の島田憲一理事長が
ある介護施設の職員から、
「ものを見たり、選んだりするのが買い物の楽しさ。
 それをどうにかできませんか?」
と話があったのがきっかけだったそうです。

島田理事長
『 買い物をする人たちはみんないい顔をしています。
 買い物って楽しいことだったんだと、再認識しました』

と島田理事長は話していました。
「楽楽屋」は今後軌道にのったら、
出店に便利な新しい車を買うなどの 投資もしたいそうです。
また島田理事長は

島田理事長
『 どの施設にいっても顔見知りが1人はいるなど、
 商店街は地域をつなげる力になっている』

と話します。

その力を生かして、「買い物代行」をする商店街の人が
高齢者や障害者を「見守る」役割を兼ねたサービスも
「みやのかわ商店街」では始まる見通しです。

地方の商店街では、地域の高齢化が進み、
お客さんが減っているところが多いのですが、
これなら、商店街の持つ「ネットワーク」
という財産を生かせそうですね。

地方での地域活性化の、1つのヒントになるかもしれません。

担当:近藤夏紀