お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


視覚障害者のためのパソコン教室

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

視覚障害者のためのパソコン教室

東京・杉並区のJR荻窪駅近くのビルの一室に、
視覚障害者のためのパソコン教室「スラッシュ」があります。

代表の圓山光正さんが
「1人でも多くの視覚障害者にパソコンを使って、
より豊かな生活をしてほしい」と考え、
妻のみち子さんと一緒に、1991年に始めました。
98年には区からデイサービス施設として認可されています。

パソコン教室「スラッシュ」。並んで座っているのが圓山光正さんとみち子さん。

パソコン教室「スラッシュ」。並んで座っているのが圓山光正さんとみち子さん。


視覚障害者はパソコンに「音声読み上げソフト」を
入れて使います。

文字を入力すると音声で読み上げられますし、
画面に表示されるホームページやブログなどの内容も
音声になります。
それを聞いて画面の表示や入力した文字を確認しながら、
操作するんです。
操作はマウスではなく、全てキーボード。
本当の意味で「ブラインドタッチ」なんです。

「スラッシュ」では、視覚障害者が視覚障害者にマンツーマンで教える。

「スラッシュ」では、視覚障害者が視覚障害者にマンツーマンで教える。


スラッシュでは基本的に、圓山さんご夫妻も含め、
教える方も障害者。圓山さんの話では、

圓山さん
『 見える人はどうしても視覚に頼ってしまいます。
 だから教える時に、画面のここ、といった指示を
 無意識のうちにしてしまいますが、
 それでは視覚障害者は絶対にわかりません。
 音声を確認しながら、こう言っているから、こうです、
 という形で納得してもらう形にするためには、
 視覚障害者が教える方がいいんです』

と話します。

「スラッシュ」には、画面が見えるボランティアもいます。
例えば、誤動作の理由がパソコンの故障なのか、
自分の操作ミスなのかわからないような時は、サポートします。
画面に表示される文字と音声がどうしてもずれる場合もあり、
そういう場合も見える人が確認します。

「スラッシュ」は基本的にパソコン初心者が対象です。
最初は機械の基本操作や文字の入力ですが、その後は、
教わる人それぞれのニーズに合わせて習うことを決めます。

崎山敏也記者が取材した日は、携帯のメールの
打ち方を習ったり、ネットの通販に挑戦する人もいました。

携帯のメールを習っていたのは、「スラッシュ」に通って
3年という杉並区の菅井孝雄さん。
ワープロ、ネット、メールはすでに一通りできます。
旅行好きの菅井さんは

菅井さん
『 時刻表も駅に電話で問い合わせたりせずに、
 自分でパソコンで調べられるので、ずいぶん便利になりました。
 またインターネットで、きょうはどんな日だろうか、
 とか色々調べるのも楽しみです』

と話します。

まだ携帯のキーの配列はちょっと苦手だということで、
一生懸命キーを音声で確認しながら、メールを打っていました。

一方、パソコンを始めて4年という杉並区の酒井聡さんは、
好きな音楽をネットで集めたり、
競馬のデータベースを作るのに使っています。

失明した当初は家に閉じこもりがちだった
という酒井さんは、パソコンをやってみようかな、
と思うまでもちょっと時間がかかったそうです。

教室に来るのも最初は家族やガイドに付き添われていました。
しかし、今は1人で電車に乗ってきますし、
教室の終わった後は、飲みに行くのが楽しみになっています。
そして、最近、研修生という形ですが、教える側に回っているんです。

これまでに「スラッシュ」ではおよそ1300人が学びました。
また、毎日の教室の他、電話で質問や相談もできますし、
パソコンを買う時に、付き添ってアドバイスもします。

こうした教室や講座は、個人がボランティアで教えたり、
障害者団体などが教室や講習会を開く形で各地に
あることはありますが、まだまだ充分ではないのが現状です。

そういう状況もあって、「スラッシュ」には日本全国から、
そしてベトナムやインドネシアなど海外の
視覚障害者も勉強に来るそうです。

視覚障害者は全国に30万人とも言われますが、パソコンの使用者は
音声ソフトの販売実績などから2万人程度とみられます。

使えば生活を豊かにしてくれるパソコンですが、
使える視覚障害者も、習える場所もまだまだ少ないんですね。

また、ITの技術の進歩に伴って、困ったこともあります。
例えば、ネット上では「画像」の多いものが増えています。
画像の部分では、音声は「イメージ」としか言ってくれません。

そういう時に、画像に内容を表す「文字」もついていれば、
音声を頼りにキーで操作する視覚障害者には使いやすくなります。
「行政機関などではそういうページも増えてきたけど、
 もっと一般にも広がってほしい」と、圓山さんは話していました。

また、教室に1人では来られない人も多いので、
付き添うガイドの養成も大事だということでした。

ITの便利さや楽しさを障害者も含めた全ての人が味わうためには、
まだまだ課題は多いようです。

<関連情報・お問い合わせ先>
目の不自由な方々のためのパソコン教室「スラッシュ」
http://www4.point.ne.jp/~slash/

〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-16-7-101
問い合わせは 03-5397-0644 まで。
予約制で、授業は10時から17時まで。定休日は火曜。
有料だが、杉並区在住の視覚障害者は無料。