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障害者がパソコンを学んで、就労を目指す

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

障害者がパソコンを学んで、就労を目指す

働いて、地域の中で自立したいという障害者は大勢います。
一方、「障害者を雇いたい」という企業も少なくはありません。
しかし、仕事に見合った能力を持つ「人材」を育てたり、見つけたりする場、
つまり「就労を支援する場」は充分とはいえない状況です。

東京・世田谷区が2007年の10月、障害者自立支援法に基づく
「IT特化型就労移行支援事業所」をオープンしました。

世田谷区千歳台にある「さら就労塾@ぽれぽれ」

世田谷区千歳台にある「さら就労塾@ぽれぽれ」


「パソコンの能力を身につけて就労活動を行おう」とういうもので、
こういう事業所は全国で「初めて」だということです。

パソコンを使ってデータを入力したり、ワードやエクセルといった
ソフトを使って、頼まれた文章や表を作ったり、
それを決められた時間までにメールで送ったり。

実際の仕事で使えるレベルの「正確さ」と「速さ」を身につけます。
「自己流」や遊びではなく、仕事で使う能力をきちんと身につければ、
「就職先を広げ、就労する」ことを目指します。

運営を委託されているのはNPO法人「さらプロジェクト」。
事業所の名前は「さら就労塾@ぽれぽれ」。(略称「さらぽれ塾」)
「ぽれぽれ」はアフリカのスワヒリ語で「ゆっくり」という意味で、
「あせらず、ゆっくり学ぼう」ということです。

「さらぽれ塾」では、10月中旬の時点で、世田谷区に住む精神障害の方が16人、
知的障害の方が1人、身体障害の方が5人と、あわせて22人が週3日通って
パソコンの「基礎」を学んでいました。

また、「パソコンの基礎」と並行して、電話の応対の仕方や、
あいさつなどの礼儀、さらには、職場の人間関係や、
企業活動とはどういうものか、といった企業で働く「心構え」なども学びます。

障害者はなかなか社会経験が持てないために、就労しても、
能力よりこういったところで失敗することがあるんだそうです。
こういった授業にも十分時間を割いています。

また、不活発な生活をしていた方が多いので、
身体をリラックスする方法を会得してもらおうと、
2週に1回ぐらいストレッチやリズム体操もしているそうです。

「独学で、パソコンはけっこう使えるけど、基本的な所から勉強し直したかった」
という一人の女性は通う理由について、

女性
『 学校に通って、生活リズムを整えたいのも理由の一つです。
 まだ開講して2週間目なので、リズムはどうなったかわかりませんが、
 食事ができなかった私の場合、
 食事はきちんと取れるようにはなってきています』

と話します。

この女性は「将来、例えば、身体障害者の外出をITの技術で助ける、
といったような仕事に関わりたい」と話していました。

また、精神障害と身体障害がある一人の男性は心臓が悪く、
デスクワークしかできないので、パソコンの能力を上げて、
就労につなげようと考えています。
若い頃就職したこともありましたが、
当時はパソコンが一般的ではなかったそうです。

男性
『 当時は書類というと手書きでした。
 そんな自分が使わなくちゃいけない、と思うと正直言って、
 これからやるのはちょっと厳しいかな、とは思いました。
 でも自分でやらなくてはいけない時代になっているので、
 つらいだろうけど頑張って、自分のものにしなければ
 いけないな、と思います』

と意欲的でした。

10月に始まった「基礎」のカリキュラムは翌年の2月の中旬まで。
その後は、就労のために企業での実習に入る人もいますし、
一方で、資格取得やウェブのデザインなどより進んだ
コースも予定されています。

インタビューに答えてくれた男性は
コンピュータで設計をするCADを学びたいということでした。

「さらぽれ塾」の施設長、佐藤智恵さんによりますと、
学びたい意欲に加えて、「自信」が大事だということです。

佐藤智恵さん
『 特に精神障害の方は、短期の就労を繰り返して、結局体力が続かなかったり、
 人間関係がストレスになってやめた方が多いので、
 自分に自信が持てない、自分の判断にも自信が持てなくなっています。
 自分を信じる能力をここでつけていただいて、
 自分はやれそうだ、と思っていただく。
 そうなれば私たちも、やれるよ、と言って送り出せます』

と佐藤さんは話していました。

そして、佐藤さんたちの仕事も「パソコンを身につけたところ」
で終わりではありません。
実習の場、就労の場となる「企業」を開拓するのも
「さらぽれ塾」の仕事です。

佐藤さんは

佐藤智恵さん
『 企業側も採用意欲は高いのですが、実際に雇った時、
 どの職場でどういう仕事をやってもらえばいいのか、
 まだ手探り状態なので、企業側と一緒にこれから考えてゆきたいす』

と話していました。

障害者の働く場を広げるためには、それに対する企業や、
私たちの社会全体の理解、関心もより深まる必要があるようです。