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放送中

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高齢化進む寿町を、若者が変えていく ~横浜ホステルヴィレッジ

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

高齢化進む寿町を、若者が変えていく~横浜ホステルヴィレッジ

日雇い労働者が多く住む町、横浜市の「寿町」。
「ドヤ」=簡易宿泊所が立ち並ぶ寿町の風景は変わりませんが、
今は住民の半分が高齢者。日本の高度成長を支えてきたドヤ街には、
かつてのような活気はなくなっています。

坂本麻子・情報キャスターが寿町を訪れたのは2月の第3土曜日の夜。
寿町の一角にある「横浜ホステルヴィレッジ」のフロントで
パーティが開かれていました。

2月の誕生パーティ

2月の誕生パーティ


「横浜ホステルヴィレッジ」は3年前にオープンしたバックパッカー向けの宿です。
誕生パーティは月一回開かれていて、ドイツやアメリカからの旅行者に、
スタッフやボランティアの大学生も加わり、とても賑やかでした。

横浜ホステルヴィレッジは「3年前にオープンした」といっても、
新しく建てられたわけではありません。

高齢化で住民の数は減る一方のため、簡易宿泊所には空き部屋が増えています。
その空き部屋をバックパッカー向けに改装したんです。
「ドヤ」を「ヤド」に変えたんです。

パーティには取材中の坂本キャスターもしっかり参加

パーティには取材中の坂本キャスターもしっかり参加


建築家の視点から、寿町の街作りに関わってきた岡部友彦さんは

岡部友彦さん
『 このままでは寿町は人が減る一方です。今何か手を打たないといけない。
 寿町は岐路に立っていると思うんです。
 街をもう一度盛り上げるための一つのやり方として、
 新しく外の人達がこの街の中に入る仕組みを作っていくことが
 必要じゃないかと思って始めたのが、バックパッカー向けの宿なんです』

と説明します。

今は95パーセントが単身者の男性、という寿町を、旅行者が入ることを
きっかけにして、様々な世代、そして様々な文化を持つ人たちが住む街に、
少しずつ変えていきたいというのが、岡部さんたちの考えです。

「横浜ホステルビレッジ」を運営する「コトラボ合同会社」は予約や宣伝、
フロント業務などを引受け、収入を簡易宿泊所のオーナーと分け合って、
利益をあげています。

「コトラボ」の代表でもある岡部さんは

岡部さん
『 今までの社会活動はボランティアベースでやっているところが多いんですが、
 それでは持続するのは大変だし、若い人が加わるためには
 それなりに食べていける仕組みがないといけないと思うんです』

と話します。

ビジネスとしての枠組みを使って、
街を元気にすることに取り組んでいこうというわけです。

寿町では、街作りに取り組むNPOが、環境の改善や食事や医療、介護といった
高齢者のケアやホームレスの自立支援などに取り組んでいますが、
補助金や寄付なしではやっていけないのが現状です。

そういう「今の住民へのケア」は続けながら、
街作りに取り組むためにもビジネスとして始めたんです。

標準的な3畳の部屋

標準的な3畳の部屋


「横浜ホステルヴィレッジ」には現在、3つの簡易宿泊所に合わせて
60の部屋があります。JRの石川町や関内の駅からもすぐ。
横浜の主な観光スポットを徒歩や自転車で回れる場所にあるのも利点です。

ほとんどの部屋は一泊3千円で、ドヤによくある3畳一間です。
坂本キャスターも見学させてもらいましたが、
明るい壁紙が貼ってあって、狭苦しさは感じません。

観光や仕事に 出かけるわけですから、寝るだけだったら十分という感想でした。
また廊下には、様々な絵が飾ってあって、おしゃれな雰囲気を漂わせています。
共用のシャワーやキッチンなどの水回りも清潔に保たれてます。
スタッフは20代、30代の若者が中心です。

誕生パーティが開かれたフロントは
別の建物の1階にあって、自由に利用できます。
フロント業務だけでなく、旅行のための色んな相談ができますし、
インターネットも使えます。
誰かが自分の国の料理を作っていて、それがいつのまにかパーティに
なることもありますし、サッカーの国際試合の時はサポーターでごったがえして、
宿泊所の屋上には応援の横断幕がひるがえるそうです。

バックパッカー向けとして始まりましたが、利用客は、日本人6に
外国人が4ぐらいの割合。日本人は旅行や出張で泊まる人だけでなく、
受験や就職活動の若者もいます。
国際会議の出席者とか美術展に参加したアーティストも泊まっていきます。

2月から3月にかけて、岡山県の倉敷芸術科学大学の学生たちが
研究活動のため長期滞在しました。

外国人の旅行者と春節の中華街を訪れたりと、観光も楽しんだという
2人の女子学生に聞くと、1人は
「昼間なのにおじさんがわらわらいて、何してるんだろうって思いました。
全然知らなかったから、最初はただただ驚きました」
と話します。

1人では抵抗あるけど、何人かで来れば安いし、全然便利で良いですよ、
というのが泊まった感想でした。

もう1人は
「思ったより狭いなって思ったんですけど、住んでみると、1人だったら
結構快適かも、と思って、ちょっとツボにはまった感じはありますね」
ということです。
「だんだん慣れてきて、おっちゃんがおるのも当たり前と思えるようになってきたし、
おっちゃんも話しかけたらすごい挨拶してくれはるんです」
と長期滞在した感想を話してくれました。

元々、学生達の研究テーマは
「アートで街作りに加わることで、アーティストの自立を考える」
というもので、驚いたり、なじんだりと「充実した」長期滞在の間に、
フロントのとてもおしゃれな看板を作っていったそうです。

フロントの入り口

フロントの入り口


そうやって、積極的に街に関わっているのは若者達だけではありません。
岡部さんの話では、街のオジサンが道に迷っている外国人を
フロントまで案内してくることもあるそうですし、
建設土木系の仕事はお手のものの人が多いので、フロントの内装は
学生ボランティアとオジサン達が協力して行ったそうです。
住民と若者の交流も少しずつ生まれているんですね。

岡部さん達は、旅行者がこれからもっと増えれば、旅行者向けのカフェや
クラブなど新しいビジネスが生まれ、さらに街が盛り上がるだろうと考えています。

また、「横浜ホステルヴィレッジ」だけでなく、他にもいろいろ街作りを
しかけたいと考えています。
今いる住民のケアは続けながら、寿町が若者パワーで
再生しつつあるのかもしれません。

いつかは家族連れなど様々な人が住む町になるかもしれない、
と思った坂本キャスターでした。

担当:坂本麻子