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心の病で休んでいた会社員の復職を支援する

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

心の病で休んでいた会社員の復職を支援する

「うつ病」と診断され、治療を受けている人は年々増えています。
働き盛りの人が長い期間休むと、本人だけでなく、
家族や会社にも影響があり、社会的な問題にもなっています。

中村愛美・情報キャスターが取材したのは東京・港区にあるMRC
=「メンタルヘルス・リサーチ&コンサルティング」社です。
MRCはうつ病で休職していた人が職場復帰に向けて訓練をする場
を提供しているんです。

主治医が「仕事に戻っても良い」と判断し、本人も「大丈夫だ」と思っていても、
職場に戻るとうまくいかないケースが実際には多いそうです。
MRCの業務推進担当、林俊秀さんは

林俊秀さん
『 何度も休職を繰り返してしまったり、あるいは復職すらできなかったり
 という方もいますし、会社内で色々対応する時も、一度経験したから
 2度目3度目もスムーズにその経験を生かしてできるかって言ったら
 そういうものでもないですね』

と話します。

個別個別に難しい対応を迫られる例が多く、企業の人事の方もそういうことを
何度も経験することはなかなかないので、専門の人のアドバイスをもとに
対応したい、という声に応えているんです。

MRCは港区虎ノ門のオフィスビルが建ち並ぶ一角のビルの5階にあります。
MRCの「リワークトライアル」はいわば「お試し出社」。

契約を結んだ企業の社員で、主治医から「復職可能」と診断された方が、
月曜日から金曜日まで毎日続けて4週間、MRCのオフィスに通ってきます。

MRCの「オフィス」にはパソコンなどが備えられている。

MRCの「オフィス」にはパソコンなどが備えられている。


最初は午前中だけ、次は午後3時まで、と勤務時間は徐々に伸ばしてゆきます。
そして最終的には、朝9時から夕方5時まで仕事ができる状態になるまで
回復しているかどうか、生活のリズムを取り戻して、実際に
仕事につけるかどうかを見極めるんです。

スーツ姿で出社して、まずはタイムカードを押します。
中村キャスターが「職場」に入ると、16人分の机と青い椅子があって、
パソコンや印刷機も備えられ、壁には時計やカレンダーなどが掛けてありました。

MRCのスタッフで保健師の三上京子さんは

三上京子さん
『 ほんとに、普通のオフィスのような感じです。
 療養中は仕事に関連した資料を見たくないという時期もあるので、
 この時期にちょっとずつ、こういうことをやってたな、
 と思い出していただくことにもなるんです』

と話します。

また、休んでいる期間が長いと会社の中も変化してしまうので、
新製品に対する情報がなかったりすると、
この時間を利用して勉強をしたりする方もいるそうです。

リワークトライアルの目的の1つはこのように復職後の業務を想定した内容で
仕事の勘を取り戻してもらうことです。

内容は人事担当者や上司と話し合って決め、MRCにいる間も上司や同僚と
連絡を取り合って進めます。
時には打ち合わせで本当の会社に行くこともあるそうです。
ただ、あくまで勘を取り戻すのが目的なので仕事の完成度は関係ありません。

2つめは仕事に関係する本を読むなど、本人が希望する内容で集中力を
発揮してもらいます。

3つめはMRC独自の様々なプログラムで、グループディスカッションを行って
コミュニケーションスキルをあげてもらうことなどが含まれます。

作業中は保健師や心理士のスタッフが見守ります。
そして、週1回、この1週間の体調はどうだったか、面談をします。
また、本人には自己評価シートをつけてもらって、
自分でも振り返ってもらいます。

保健師の三上さんから説明を受ける中村キャスター。

保健師の三上さんから説明を受ける中村キャスター。


三上さんは

三上さん
『 リワークトライアルに参加する前は、皆さんなんとなく大丈夫だ
 と話すんですが、実際に毎日、通勤時間帯に電車に乗って通勤していると、
 非常に自分の体力が落ちていることを感じたり、
 といった自分なりの発見があります』

と話します。

つまり、具体的に自分の体調に向き合うことで、大丈夫である、
という確認もできるし、回復が足りないということがわかったりするんです。

去年の2月から取り組んできて、三上さんは

三上さん
『 自分に自信を持つという意味でも、また職場に戻った時の
 再発を予防するという意味でも、 自分に向き合う時間でもある
 MRCでの4週間は必要な時間だとあらためて感じました』

と話していました。

4週間が終わると、複数の精神科医が面談して、復職できるかどうか
総合的に判断することになります。
会社には復職後に配慮すべき点なども伝えます。
本人にどう接すればいいのか、声の掛け方などのアドバイスもするそうです。
また、復職後も定期的にフォロー面談をします。

体調が戻っていないと判断され、途中でやめた方以外は皆さん復職し、
そのまま仕事を続けているということです。

MRCの他にも、病院で復職支援を行っているところもありますし、
リハビリ出勤制度がある会社もありますが、まだ少ないのが現状です。
復職支援への取り組みは始まったばかり。
取り組む医師の間で情報交換や方法の研究、啓発等を行う研究会が今年になって
生まれたりしているそうです。

試行錯誤はまだまだあると思いますがこういう取り組みは増えていきそうです。

担当:中村愛美