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下町の古い長屋を今に生かす

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

下町の古い長屋を今に生かす

楠葉絵美・情報キャスターが取材で訪れたのは
東京・墨田区京島にある築70年ほどの木造長屋です。

長屋の玄関で楠葉キャスター

長屋の玄関で楠葉キャスター


この木造長屋は区内の特別養護老人ホーム「はなみずきホーム」が
3年程前から借りているもので、入所している高齢者の方たちが
介護のスタッフと一緒に、週1回やってきて、昼間の時間を過ごしています。

老人ホームでは部屋にドアを開けて入りますが、長屋では、
戸をガラガラと開けて入ると「畳とふすまの生活」です。
お昼ご飯を食べたり、テレビを見たり。ベッドではなく、
布団にくるまって昼寝をしたりと思い思いの時間を過ごします。

「はなみずきホーム」の入所者は、狭い路地や長屋が今でも残る
墨田の街で暮らしてきました。
老人ホームでの生活は快適ですが、慣れ親しんだものではありません。

はなみずきホーム介護課長の永井都也子さんは

永井都也子さん
『 人は色んな刺激を受けてそこで初めて、反応が出てくる
 というところがあります。雨が降れば雨音がする。風が吹き込む。
 ちょっと寒かったリ暑かったりする。そういった生活上の
 当たり前の刺激を普通の家で感じていただきたいんです』

と説明します。

認知症があったりするとはいえ、まだまだできることもあるのに、
老人ホームではつい介護スタッフが手を出してしまいます。

長屋でも介護は必要ですが、普段は目の前に何が置いてあっても反応しない方が、
ここでは自然に台拭きをとって、ちゃぶ台の上を拭いてくれたりと、
ちょっとした変化が見られるそうです。
住み慣れた環境がそうさせたのかもしれません。

古い長屋なので、耐震補強工事はしてありますが、工事を計画した時、
永井さんは「雰囲気を壊さないようにお願いします」と注文を出したそうです。
コンクリートの基礎を新しくしたり、外壁を取り替えたりしたのですが、
外観からはその跡は全くわかりません。

取材した日は、「はなみずきホーム」と「くらぶミッキー」の合同誕生日会でした。

取材した日は、「はなみずきホーム」と「くらぶミッキー」の合同誕生日会でした。


また、長屋は、はなみずきホームで使うだけでなく、
地域の住民にも開放されています。

知的障害のある子供と保護者のグループ、「くらぶミッキー」は
大体週一回、放課後に集まり、遊んだり、ご飯を食べたり、
保護者同士でおしゃべりしたりしています。

楠葉キャスターがおじゃました日は、はなみずきホームの入所者も一緒になって、
5月生まれの人のお誕生会を開いていました。

「ハッピバースデイ」を歌い、クラッカーを鳴らし、みんなで誕生日を祝いました。
88歳の女性は子供からお祝いのレイを掛けてもらい、とても嬉しそうでした。
また、また、9歳の誕生日を迎えた男の子は美味しそうにケーキをほおばっていました。

その子のお母さんに話を聞くと、

お母さん
『 私はいわゆる団地育ちなので、こういう家に住んだことないんですけど、
 落ち着きます。子供たちも場所をすごい選ぶというか、
 入れない場所がいっぱいある子供たちなんですけど、
 みんな始めからすんなり入れたので、不思議な空間だなあという気がします』

と話していました。

子供達はみんな腕白ですし、障害のためコントロールが
きかないところもありますが、入所者の方達は自然に
受け入れていったそうです。

子供達が焼きそばを作ろうとした時、最初は見ているだけだった
1人の女性が「貸してごらん」と言って、上手に鉄板を使い、
焼きそばを作ってくれたこともあるそうです。

またこの日は、路地を歩いていた近所の方が
「今日はお誕生日会なんですね。おめでとう」と声をかけてくれて、
このお母さんはとても嬉しかったそうです。

はなみずきホームの永井さんは

永井さん
『 長屋というのは、長い間、戦火もくぐり抜けて、
 色んな人の生活を見てきました。
 そういう歴史を感じられるような家で様々な活動をすると、
 人が共感するというか共鳴するような何かが
 醸し出されるんじゃないかと思っています』

と話します。

長屋の使い道はまだいろいろありそうです。

永井さんは、はなみずきホームの入所者だけでなく、地域に暮らす高齢者の
会食の場にもしたい、と考えています。

家に閉じこもりがちな高齢者が外に出て、交流する場にしようというわけです。

また、様々な国の外国人も墨田区には住んでいるので、
「国際交流の場にしよう」というアイデアもあるようです。

6月6日(土)には、11時から15時まで、「長屋オープンハウス」と名付けて、
新鮮な産地直送の野菜の販売や、特別支援学級の生徒達が作ったお菓子、
スタッフの作る大判焼きの販売、介護相談など、様々なミニイベントが行われます。

どんな新しい交流が今後、
下町の古い長屋で生まれてゆくのか、楽しみな楠葉キャスターでした。

担当:楠葉絵美