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放送中

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歌を通じて人の輪を広げる~高次脳機能障害者のボーカルグループ「哀愁ぼぅいず」

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

歌を通じて人の輪を広げる~高次脳機能障害者のボーカルグループ「哀愁ぼぅいず」

東京・世田谷区を中心に活動する「コージーズ」という
「高次脳機能障害者」の自主グループがあります。

「コージーズ」は区内の施設利用者を中心に結成、社会参加を目標に、
それぞれの得意なことを活かし、シューマイやちまきを作ってイベントで販売したり、
施設でカフェを開いたりしています。

高次脳機能障害は脳卒中などの病気や交通事故などで
脳にダメージを受けたことによって起こります。
症状は一人一人様々で、「失語症」や「記憶障害」、「文字が読めない」
「計算ができない」といった症状の方もいますし、「やる気が出ない」
「感情のコントロールが難しい」といった感情に関わる部分に障害がある方もいます。

自分の家や施設に閉じこもりがちになることも多いのですが、
「コージーズ」の皆さんは「積極的に外にでたい」と考えています。

岡本キャスターが「自由が丘マルディグラ」のライブを取材

岡本キャスターが「自由が丘マルディグラ」のライブを取材


岡本祥子・情報キャスターは、「コージーズ」の歌好きのメンバーが結成した
「哀愁ぼぅいず」を取材しました。50代~60代の男性6人のボーカルグループです。
メンバーの1人、天野勘一さんは、結成した理由について

天野勘一さん
『 障害を持っていても表に出たいんですが、話すことができない人もいます。
 古い歌だったら知っている、歌いたい、という気持ちが強いので、
 哀愁ぼぅいずを作ったわけです』

と説明します。

2009年5月24日(日)、Live Cafe「自由が丘マルディグラ(Mardi Gras)」に
「哀愁ぼぅいず」が参上しました。
ライブは「僕らは障害者ですが、一生懸命やっています。聞いてください」
という天野さんの挨拶から始まりました。

「哀愁ぼぅいず」のメンバーは、
白いワイシャツに水玉模様の蝶ネクタイとおそろいの姿。
「ソウル・パウダー・コネクション(VO:須田祐一郎)」をバックバンドに、
「有難や節」「高原列車が行く」「愛燦燦」と得意の歌を次々と披露しました。
メンバーの一人、安食剛介さんはハーモニカの腕を見せていました。
マルディグラには家族や友人が詰めかけ、身動きできないほどでした。

「哀愁ぼぅいず」のライブ。真ん中でマイクを持つのが小畠清肥さん

「哀愁ぼぅいず」のライブ。真ん中でマイクを持つのが小畠清肥さん


今回のライブの目玉はメンバーの1人、小畠清肥さんのソロコーナーです。
小畠さんは65歳。「感動の涙を贈る」男です。

ライブには小畠さんの奥さんの清江さんとご兄弟も駆けつけました。
最初は「調子がよくない」「あがってる」と言っていた小畠さんですが、
だんだん調子があがり、「津軽平野」に「酒よ」、「みちづれ」「夫婦春秋」……。
「娘よ」を歌った時は感情が抑えられなくなり、号泣しながらの熱唱でした。

言葉がうまく出ず、筋肉も衰えるといった症状が進んでいる小畠さんですが、
メインで歌えて、ご本人もご家族も大満足だったようです。
ライブ後にご家族は「歌が本当に好きなんでしょうね」
「本当にいい思い出を作っていただいて、感謝しています」と話していました。

「哀愁ぼぅいず」はこれまで、区内のフリーマーケットで野外ライブをしたり、
障害を考えるイベントで大勢の観客を前に大ホールで歌ったりと
様々な場で歌を披露してきました。
山形県の老人ホームまで遠征して、ライブをしたこともあります。

記憶障害などで、どこを歌っているのかわからなくなることもあるので、
ライブではメンバーが利用している施設「ケアセンターWith」のスタッフや
家族が譜面をめくるなどして手伝います。

また、ギターと司会の担当は、「ケアセンターwith」の施設長、植田祐二さんです。
植田さんは

植田さん
『 この会場で30人近いお客さんを笑わせ、その涙を伝え、家族の愛だとか
 友達の愛だとか伝えている姿はとってもいいなあ、と思います。
 皆さんを元気にするような役割を、
 哀愁ぼぅいずの6人は十分果たしているんです』

と話します。

全国で30万人とも言われる高次脳機能障害者は
見た目ではわかりにくいため、周囲から理解されず、
家族と共に悩みを抱えている方も多いのが現状です。

「哀愁ぼぅいず」は、元気を与え、人の輪を広げ、
高次脳機能障害について知ってもらう役目も果たすでしょう、
と植田さんは期待しているようでした。

担当:池田智子