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放送中

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薬物の怖さを一人芝居で伝える

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

薬物の怖さを一人芝居で伝える

内谷正文さんの一人芝居のパンフレット

内谷正文さんの一人芝居のパンフレット


覚醒剤や大麻など、違法薬物の乱用は大きな社会問題になっています。
「一人芝居」を演じて薬物の怖さを伝えようと、俳優でモデルの内谷正文さんが
活動しているということで、岡本祥子・情報キャスターが取材しました。

一人芝居の脚本は内谷さんとその家族の実体験に基づいています。
内谷さんは16歳でシンナーを覚え、マリファナなどにも手を出し、
やめるまで17年かかりました。
また、内谷さんの影響で覚醒剤などの薬物を始めた3歳下の弟は
ひどい依存症に一時は陥りました。

上演の依頼は、中学や高校など学校からが多く、2009年10月6日には
埼玉県立松山高校で特別授業として上演されるということで、
岡本キャスターも松山高校を訪れました。

体育館に集まった全校生徒約1100人を前に、
内谷さんは白い布をかぶって現われました。
白い布は、シーツをかぶって自宅にこもる依存症の人と
薬物の白い粉を表現しています。

内谷さんの影響で薬物を始めた弟は徐々に幻覚や妄想がひどくなり、
家族は対応に苦しみます。

幻覚を起こして、いない誰かに向かってナイフを振り回したり。
急に子供のような言葉遣いになって、覚醒剤が欲しいとねだったり。
両親はお互いを責め、家族が壊れていきます。
依存症の治療施設での体験など様々なシーンが繰り広げられます。
薬物依存症の人とその家族の苦しみがリアルに演じられました。

講演ではなく、芝居で伝える理由について、内谷さんは

内谷さん
『 見た人の頭の中で、怖かったとか気持ち悪かったという印象だけ残って、
 それが薬物の怖さをわかることに繋がってくれればいいかな、
 と僕は思っています。それが演技にできる最大の強みなんです』

と話します。

内谷さんにインタビューする岡本キャスター

内谷さんにインタビューする岡本キャスター


弟は5年たってやっと治療施設を出ます。
内谷さんたち家族にも日常の生活が戻ってきます。
それでも、弟は時折、幻覚や妄想の再発に苦しみ、薬物への誘惑も絶えません。
一度薬物に手を染めると、いつまた戻っていくかもしれないんです。

一人芝居は、薬物への誘惑が続く中、次のようなセリフで終わります。

「白い悪魔はいつでも、誰かのそばにいて、地獄に引きずり込む奴らを探している。
 負けるな。白い悪魔なんかに負けるな。今日1日を必死で生きろ」。

タイトルは「ADDICTION~今日1日を生きる君」。
ADDICTIONは「依存症」という意味。
副題には「今日は薬物をやめることができた、
という1日1日を積み重ねていくしかない」
という思いが込められています。

内谷さんは

内谷さん
『 薬物経験者の自分が、やめろ、と言っても説得力はないんです。
でも、やったらこうなるよ、という現実を見てもらうことはできるんです』

と話していました。

授業の後、話を聞くと、ある2年生は

生徒
『 最近ニュースでも増えていると思うので、やっぱり身近にどんどん
 迫ってくるという恐怖があります。
 実際に体験している人なので、生の声が聞けるのは
 新鮮なものがあると思います』

と感想を話していました。
また、ある3年生は

生徒
『 前回授業で聞いたのは、プロジェクターを使った説明だけだったのですが、
 きょうは芝居で、結構周りの子とかも、ちょっと怖いなとか、
 みんな言ってました。怖いというか、弟さんが子供みたいになってしまうのが、
 こんなになっちゃうんだ、と、怖い印象を受けました』

と話していました。

松山高校では毎年、薬物防止の特別授業を行っていますが、
先生方が最近、内谷さんの芝居を見る機会があり、
「生徒に訴える力がある。一つの言葉でも印象に残れば」と感じ、
すぐ内谷さんに連絡をとったそうです。

内谷さんが1人芝居を始めて5年近く。
口コミで評判は広がり、これまでに全国各地で70回ほどの公演を行ってきました。

内谷さんは

内谷さん
『 色々なところで上演の機会はありますが、
 学校公演というのが一番力をいただきます。
 アンケートを書いたりとか、あとから連絡くれたりとか、
 いろんな悩みを聞いたりとか。
 僕もいろいろ話したりするんです。
 学校公演でいただく勇気というのが続けていく糧にもなるので』

と話していました。

元々は、同じ苦しみを抱えている薬物依存者の家族と出会ったことで、
「自分も何かできないか」と始めた一人芝居ですが、
「ライフワークの一つにしたい」と内谷さんは話していました。

担当:岡本祥子