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外国籍の子供たちの高校進学を支援する

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

外国籍の子供たちの高校進学を支援する

「たぶんかフリースクール」はJR三河島駅のすぐ近くにある

「たぶんかフリースクール」はJR三河島駅のすぐ近くにある


東京・荒川区、JR三河島駅の近くにある「たぶんかフリースクール」。
NPO法人「多文化共生センター東京」が運営するこのフリースクールには、
中学校に通いながら、夜などに日本語の補習を受けている子供たちもいますが、
昼間通ってきて、高校入試に必要な科目を勉強する子供もいます。

親の仕事の都合などで、15歳を過ぎて日本に来ると、
日本の中学校には原則入れません。
一方、高校に進学しようとすると、母国では中学レベルの数学や英語の勉強を
済ませていても日本人と同じ5教科の入学試験を受けなくてはならないので、
日本語を学ぶ必要があります。

様々な日本語学校はありますが、日本語以外の教科は教えませんし、
高校進学に関する情報は入ってきません。
そこで、「たぶんかフリースクール」では、日本語を特訓しながら、
他の科目の授業も行い、願書の書き方から面接の要領まで指導しています。

「たぶんかフリースクール」が開校したのは2005年。
元都立高校教師の、王慧槿さんが、「外国籍の子供が日本語が十分できないまま
大人になるのは大変なことだ」と考え、始めたんです。 王さんは

王慧槿さん
『 日本の場合は、読み書きまでできる日本語の力があるか、
 ということが、職業選択に大きく関わっていくので、
 高校に行けないまま大人になってしまうと、新たな、外国から来て
 日本で育った貧困層というのを作ってしまうだろう、
 という危機感を持っています』

と話します。

澤田大樹記者が取材した時点では、昼間のクラスで、
15歳から20歳までの16人が学んでいました。

日本語の授業にお邪魔すると、その日は、生徒の好きな料理のレシピを
作文にしていました。
うまく表現できないところは、先生に直してもらったりして、
最後に前に立って発表していました。

中国から来た、17歳の金泰龍君の作文は、「カップラーメンの作り方」。
作り方は簡単ですが、来日前から日本語は勉強していた、ということで、
作文は上出来でした。
苦手な科目は英語、という金君は

王慧槿さん
『 日本のアニメが大好きで日本語に興味がありました。
 音楽部のある日本の高校に入りたいです。
 入試は難しいと思うけど、頑張って見せます』

と意気込みを語ってくれました。

一方、先生に日本語の表現を色々と教わっていた、
17歳のパンガン・デニスさんのレシピは、家でよく作るフィリピンの郷土料理を
自分なりにアレンジした、というものでした。
英語は得意で、苦手な科目は数学、というデニスさんは将来、
ファッションデザイナーになりたいそうです。
「来年高校の試験を受けます。頑張ります」と抱負を語っていました。

様々なルーツを持ちながら、日本の文化を身につけていけば、
「日本と海外の架け橋にな成りうる」彼ら、彼女らです。

「多文化共生センター東京」代表の王慧槿さんに澤田記者がインタビュー

「多文化共生センター東京」代表の王慧槿さんに澤田記者がインタビュー


ただ、小さなNPOのフリースクールには限界もあります。
一人一人の進路サポートでは、学校を探すところから受験するところまで
全てを引き受けているので、先生達の労力はかなりのものです。
2010年の4月から「高校の授業料無償化」は始まっていますが、
その高校に入るまでにかかる様々な費用には公の助成などないのが現状です。
寄付金と、元教員などのボランティア頼みですが、
財政は厳しく、できることには限界もあります。
また、フリースクールなので、定期券は「通学定期」扱いにならず、
親の負担も無視できません。

「たぶんかフリースクール」に昼間通う子供達は母語がしっかり話せます。
「学びの場や、社会を認識する場があれば、バイリンガルとかトリリンガルとして
活躍できると思います」と王さんは話します。

しかし、小さなNPOだけで支えるには限界があり過ぎる、と考えています。

王慧槿さん
『 自治体なり、政府がこの子達をどう育てるか考える社会、そして、子供たちも日本に来てよかった、自分たちは日本で育てられたんだ、と思えるような社会、そういう社会になって欲しいと思っています』

と王さんは澤田記者のインタビューで強調していました。

学びたいのに、学ぶところがない子供たちにどう学びの場を保障するか、
社会全体で考えていくべきなのでは、と取材を通じて感じた澤田記者でした。

担当:澤田大樹