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台風の避難勧告を見たら…あなたはどうします?

森本毅郎 スタンバイ!

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8月も終わりに近づき、台風9号、10号と大型の台風が日本列島に上陸しています。そんな台風の時の避難について、「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「現場にアタック」で、レポーター阿部真澄が取材しました。
阿部真澄

★自治体を越えた連携「江東5区大規模水害対策協議会」

去年の9月に起きた北関東豪雨では、茨城県西部の鬼怒川が決壊し、常総市などで大きな被害がでました。これをきっかけに、東京の東側にある5つの区が、いざという時には自治体の境界を越えて連携し、100万人の地域住民を避難させる方針を発表しました。江戸川区危機管理室 高橋博幸さんのお話しです。

高橋博幸さん
「墨田・江東・足立・葛飾・江戸川の5区は、5区とも海抜0メートル地帯のところにあるということで、大きな水害が起きたときには1区だけでなく5区全滅してしまうと、この大水害に対して対応しようということで立ち上げました。何でこういうことをやっているかというと、荒川の氾濫ですとか大きな水害は70年近く起きていないので、多分ほとんどの人が荒川は氾濫しないという気持ちが強いのかなと。だから危ないとは思っていても逃げるところまでにはつながらない。経験がないというのは真実味が少ないのかなと思っています。」

荒川が決壊してしまうと5つの区すべてに被害が出る可能性があるということで、区ごとに対策を取るよりも連携していこうという試みです。避難場所や避難方法などについても、これから細かく決めていくということでした。

ただ、高橋さんの話の中でも出てきた、「70年近く水害が起きていないので、実感がわかないのでは・・・」という話。避難勧告や避難指示を住民に認識してもらうことと、実際に避難する行動につなげることにはギャップがあるようです。

★「避難勧告」が出ても避難しないのは何故?

実は去年の9月の関東豪雨の際、避難勧告の情報は知っていながら避難しない人がいたということが、立教大学教授 長坂俊成さんの現地調査からわかりました。

立教大学教授 長坂俊成さん
「避難所で伺うと、お年寄りになればなるほどテレビを付けっ放しで避難勧告の情報を見ている。ちょっと年齢が若くなるとホームページを見たり、スマホのアプリで情報を取得したり。ドライバーについてはラジオ。ところがみなさんメディアへのリテラシーは高まっているものの、結局自分の側に避難をするときの判断基準を個々に持っていないので、あくまでも『役所が何も言ってこないので、私はまだ安全だと思って避難しませんでした。』という方々が避難所でも多いです。」

防災無線などで役所の連絡が聞こえてくるまでは「避難勧告は出ているけれど大丈夫だろう」と行動しなかったため、被災してしまったケースが多いという話でした。テレビやインターネットの情報も、役所から流れる情報も同じなのですが、テレビなどの情報はどこか他人事で、直接的な連絡を聞いて初めて切迫感を感じる人が多いようです。

★台風9号による「避難勧告」。あなたは避難しましたか?

8月22日に台風9号による避難勧告が出された横浜市の方々に、当日、避難勧告の情報をどう受け止めたのかお聞きしました。

●「(20代女性)知らなかったですね。仕事が忙しくて、もうずっと会社にいたので。
●「(30代男性)会社の中でずっと仕事をしていたので、外に出ていなかったから気づかなかった。ネットは見ているけれど、実際に自分が住んでいるところが避難勧告が出ていたのかというのはもう・・・仕事に集中していたので。
●「(女子大生)家にいたのですが、友達から『横浜ヤバいけど大丈夫?』みたいなラインで言われて知りました。お母さんからもラインが来て、でも全然降っていないよーみたいな。窓を閉めていたから解らなかったのかもしれないですけれど。
●「(70代女性)見ていましたけれど、うちにずっといて、雨戸を閉めて。かえってうちにいた方が良いのではないかと、友達と連絡を取り合っていました。大変だなと思いますけれど、本当のことを言うと、まだ実感がわかない。いけませんね。

まず、お話を伺った半数の方は避難勧告が出されていたことを知りませんでした。また、知っていた残りの半数の方の中でも、実際に避難したという方には出会いませんでした。避難勧告に現実味がなく、切迫感は薄いようです。

★災害情報はもっとピンポイントで細かく!

横浜市でお話を伺った人たちのように、避難勧告という言葉に切迫感が感じられないのは、自治体が発信する災害情報にも原因があると、長坂教授は指摘しています。

立教大学教授 長坂俊成さん
「本来はもうちょっときめ細かく伝えていくことが大事。区市町村全域で考えていくのではなく、相当細かい地域で、それぞれの災害特性に合った形で避難準備情報、勧告、指示を出していくことが必要。今の行政はそういったことが伝えられていない。『勧告』『指示』、またはガイドライン運用されている『避難準備情報』はボケたデータになってしまうので、一般論としての災害情報、気象情報、河川情報は流れてくる。ただそれを『自分のリスク』としては変換できていないわけですね。」

今は「○○市全域」「△△川流域の住民」といった避難勧告が多いですが、その地域でも地形や川の水位、堤防の強さなどかなり細かい地区ごとに状況は大きく変わっていきます。結果、おおざっぱな情報になってしまうため、その情報が必要な住民にピンポイントで響かない要因になっています。「●●市▲丁目の住民」「●川の▲橋付近の住民」など、細かく地域を指定することで、自分たちの住む地域が危険だ!と気づき行動に移す人が出てくるようです。

様々なメディアで色々な情報が見られるようになってきている今、情報を発信する側はそれを「自分のリスク」に感じてもらう工夫が課題となります。また、情報を受け取る側の私たちも、いざ「避難勧告」の指示が出たら、他人事のように思わず、各自治体の指示に従って避難ができるように意識しておきましょう。

(取材・レポート:阿部真澄)

TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」は月~金6:30-8:30放送中。
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番組へのメールは→ stand-by@tbs.co.jp