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被災地の心のケアについて

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

被災地の心のケアについて

今日は東日本大震災の発生直後から被災地を取材してきた澤田大樹記者が、
被災地の心のケアについて取材しました。

大震災から1ヶ月以上がたち、被災された方々の負担は本当に大きくなっています。
今回の震災はよく言われることですが、すべてが「想定外」の震災でした。
物的な被害からくる負担も相当なものですが、震災発生から1ヶ月以上になると
被災者の心のケアの問題も深刻です。

今回の震災で自宅だけでなく、家族が亡くなられたり
行方不明となっている方の辛さは想像できるものではありません。
そうした中で震災から1ヶ月が経過し、被災地でも心のケアが必要だ
という声が出始めています。
そのため避難所によっては、自主的に精神科医や臨床心理士に
心の相談をさせる場所を作ったりしています。

専門の医師を配置するという対応は必要ですが、ある避難所ではそういう
相談の機会を作っても避難者がなかなか利用してくれないそうなんです。

どうしてかというと、これまで悩み事や心の負担になることがあったとしても
医師などに相談することがなかった人がほとんどなので、
相談の機会を作ってもなかなか利用するというところまでは
ゆかないようなんですね。

このため、日ごろから相談に乗っている民生委員に
避難所を訪問させている自治体もあります。
ただ、その民生委員も津波で亡くなったり、あるいは避難者であったりすることが
珍しくないので、すべてカバーできていないのが現状です。
そういった面でも想定外だと言えます。

そんななかで興味深い実践をしていた避難所がありました。
東松島市の避難所だったんですが、そこはお寺だったんです。

このお寺のまわりは小学校などの公的な避難所に避難していた人が
亡くなるほど深刻な津波被害を受けた地域でした。
そして、お寺に避難していた人のほとんどが、家族や知人をなくした方でした。
そこでは、女性看護師と住職さんが活躍しました。

この看護師の女性はご家族二人を亡くしました。
最初の3日は泣きはらしたそうですが、3日目になった段階で
「そのままではいけない」と思ったそうなんです。

この看護師の女性は看護学校の先生だったので「ある知識」をお持ちだったんです。
それは「グリーフケア」というものなんです。

「グリーフケア」とは家族や知人が亡くなったときにする
「死を受け入れるためのサポート」のことです。
その看護師さんはグリーフケアに関する知識を実践していきました。

まず、避難所が寺であることを利用して、3日目の法要と、
初七日の法要をしたそうなんです。
それによって高齢者の方はすこし落ち着いてきたそうなんです。
また、お寺では毎朝早起きをして掃除をします。
掃除をすることでひとつのことに体を動かしながら没頭できて、
その間は忘れられるということも聞きました。

お寺という環境を最大限に利用した支援というわけですね。
でも、そういった場所ばかりではないですよね。

1ヶ月たって落ち着いてきた状況なので、少しずつ精神的なケアに
目を向ける必要があります。
例えば民間のボランティアで「傾聴ボランティア」というのがあります。
これは被災者の話をとにかく聞くボランティアです。
話を聞くことによって話す被災者は自分の内面が整理されていきます。
そのことが家族などの喪失体験を乗り越えるきっかけになると考えられます。
ただ聞くだけなのに大きな効果があるんですね。

ただ、問題は他にもあります。
現在問題になっているのは避難者だけでなくそれを支えた人たちの心の問題です。
東日本大震災では学校の先生などが自分の家族の安否もわからないまま
避難所の運営に力を尽くしました。
ただ、そういった人たちが1ヶ月たって、目の前の仕事に忙殺される状態から
解放されて、ほかの被災者から一歩遅れて喪失感を感じているそうなんです。

私が取材した石巻の先生は、去年まで勤めていた学校で
多くの方が亡くなったことを知り、自分がいたら助けられたのではないか
と悔いていました。

また、ある病院では、ご家族が行方不明になり、目の前の状況に集中しなければ、
ならない中で苦しい思いをした職員がいたという話もありました。
警察官や自衛隊員、消防隊員の中にも、家族や自宅が被災人もたくさんいるはずです。

震災から一ヶ月以上たち少しずつ復興に向けて歩み始めています。
そこには自分のことを控えてほかの被災者に奉仕した方がいたということを
思っていただければと思います。

担当:澤田大樹