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下町の勉強会「えんぴつの会」

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

下町の勉強会「えんぴつの会」

今回は東京・墨田区で行われている「勉強会」を紹介しました。

この勉強会は、約9年前に廃校となった墨田区の「旧曳船中学校」の
教室で行われていて、その名も【えんぴつの会】と言います。

校舎に1歩足を踏み入れると、下駄箱、黒板、机、掲示板、、、
とても懐かしい空間が広がっていました。

この【えんぴつの会】で教えている先生は元教師の方たちで、
生徒は20歳から80代後半まで約30人です。
様々な年代が一緒に学ぶという点では、夜間中学校のようですが、
この勉強会は平日の昼間に開かれているんです。

【えんぴつの会】を始めたきっかけについて、副会長の見城慶和さんはこう話します。

見城慶和さん
『 夜間中学校の卒業生、まだまだ勉強したいという高齢な人たちですね。
 それから夜間中学校に入りたいけど、卒業証書を貰ったために入れない人、
 例えば不登校だとか登校拒否と言われる人たちですね。
 形式的な卒業証書でも、持ってる人は夜間中学に入れてもらえない。
 どこか学べる所はないかなってことで、新しい勉強会を開こうと
 始めたのがこの会なんです。』

卒業証書をもらうと、学びたくても学べないということもあるわけなんです。

さて、この勉強会【えんぴつの会】の「えんぴつ」の意味ですが、、、
副会長の見城さんが子供の頃は第二次世界大戦で、えんぴつも貴重品だったと。
短くなって使えなくなったら笹に刺してまで使っていたそうです。
そんな思いで勉強したことを思い出し【えんぴつの会】という名前にしたそうです。

授業は毎週火曜日と木曜日の午後2時から4時に行われています。
5つの教室に分かれていて、教科は「国語」「英語」「歴史」「数学」「日本語」
この中から自分で好きな科目を選びます。
休み時間もあり、皆で1つの教室に集まりお茶を飲みながら談笑します。
しかし休み時間が終わる前に、皆さん自主的にそれぞれのクラスへ戻っていくんです。
皆さん本当に楽しそうに勉強をしていました。

授業に参加していた生徒の皆さんに、学ぶ理由を聞くと、
80代女性
『中国から帰ってきて夜間中学校で4年間勉強してこの言葉が出来たんです。
 夜間中学を卒業してからすぐにここに来たんです。』
70代男性
『戦争中は小学校も中学校も勉強していかなった、
 仕事をする上では特に不便はなかったけど、心残りだったから今勉強しています。』
80代女性
『戦争中は、今日生きるか明日死ぬかの中で。
 それが今は、景色を眺めたり他のことに
 心を向けられるように先生に教えてもらっています。』
など、戦争で昔学べなかったから、今学びたいという方が多かったです。

他に最近増えてきているのが、20代後半から30代40代の
学生時代にひきこもっていたという人たちです。
学びだけではなく、人との付き合い方がわからずにいたのですが、
【えんぴつの会】で先生たちと触れ合ううちに社会復帰出来た人もいます。

皆さんと【えんぴつの会】の出会いの多くは、墨田区の紹介によるものでした。
「勉強したい!」と思い立った時、区役所の教育課へ連絡をしたそうなんです。

年代もバラバラですが、ここで出会った人たちは、
今では授業が終わってからご飯を食べに行ったり映画を観に行ったりして、
勉強以外にも付き合いが広がっているようです。

学ぶのは生徒だけではありません。
教える側の先生たちも学ぶことが多いようです。

見城さん
『 読み書きが出来なかったから子育ての時には子供が具合悪くても
 医者へ連れて行けなかった、問診票が書けなくてね。
 回覧板が来るたびにドキドキしたとか、大事な手紙が読めなくて
 あとで大変な思いをしたとか。
 どうしてこの力が昔本当に必要だった時に自分には無かったんだろうって。
 そういう人たちがこんなに生き生きと楽しく学んでいるということは
 関わる私たちの生きた勉強になるんです。
 誰が教えて誰が教わってという関係じゃなく、お互いに学び合う、
 来る人どの人にとっても素晴らしい学びの場になっているんです。 』

と話していました。

「生きることは一生勉強なんだと、毎日生徒から学んでいます」という言葉が
取材をして、とても心に残っています。

ただ、こうした場所は少なくて、【えんぴつの会】と同じような
市民がボランティアで開いている勉強会は、全国に約30校程度。
関東では江東区や、千葉県の松戸、柏、埼玉県にあります。

読み書きが出来る識字率は日本が極めて高いと言われていますが、
当たり前と思っていることが、当たり前ではない人がいることを
忘れてはいけないと同時にこうした学びの場を
大切にしていかなくてはいけないなと感じました。

担当:楠葉絵美