お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


「ALS患者が書いた絵本の朗読会」

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で08:15頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・「ALS患者が書いた絵本の朗読会」

絵本「三つ子になった雲」の朗読劇

先月、都内で行われたイベント「生きる。心のバリアフリー」を永井洋満ディレクターが取材しました。

イベント会場

イベント会場

会場の江戸川区葛西区民館には、子供からお年寄りまで口コミやインターネットでこのイベントを知った200人が集まりました。
注目の集まった企画は「三つ子になった雲」という絵本の朗読劇でした。

絵本の作者はALS患者の船後靖彦さん

この絵本は、異染性白質(いせんせいはくしつ)ジストロフィー (MLD)という難病で亡くなった少女と、その家族がモデルになっています。『治療法の開発があまり進んでいない難病に苦しんでいる人がいる。この現状を知って欲しい』との想いから書かれました。
この絵本の作者は、全身の筋力が衰え、体を自由に動かせなくなる難病 ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者である舩後靖彦さんです。体が動かせない舩後さんは、口の中にセンサーをつけて、歯を動かしながらコンピューターを操作して書き上げました。

絵本「三つ子になった雲」

絵本「三つ子になった雲」

朗読したのはフリースクール「とれぶりんか」

「三つ子になった雲」を朗読したのは、大阪にある『みんなでつくる学校「とれぶりんか」』というフリースクールの皆さん。7年前に舩後さんの事を知り、親交を深めているそうです。「とれぶりんか」ができたきっかけについて代表の中川雄二さんは過去の経験を話してくれました。

「とれぶりんか」代表:中川雄二さん
「中学の教師をしていて、不登校・ひきこもり・リストカット・卒業後に自殺未遂の子を見てきて、心が弱くなっている若者たちが生きていく力になる事が体験できる場所を作ろうとしたのがきっかけです。」
舩後さんと中川さん(右)

舩後さんと中川さん(右)

「とれぶりんか」は、自主制作の演劇や、ライブ活動でメッセージを発信しながら、障害のある人といっしょに働くカフェを運営するなどして、若者が自立できる場所を作っています。13年前に、中川さんが私財を投じて設立しました。今回5人で行った朗読劇において、演技指導をしながら出演していたのは、東京で女優や歌手活動をする一方、若い子の育成も行っている加藤優香さんです。

加藤優香さん(右端)

加藤優香さん(右端)

加藤さん自身も、友人の自殺が原因で、ひきこもりの日々を送った事がありました。パニック障害の薬を服用していましたが、そんな時に中川さんから「お前は、薬をともだちと思わないといけないよ」「それが悪いと思ったらストレスになる」「しんどい時に飲んで助けてくれるから、うまくつきあえ」という言葉をかけられて気持ちが楽になり、ひきこもりを克服したそうです。そして自身がひきこもりを克服した経験や、身近な人を失った悲しみを乗り越えた経験を、これからの活動や、後輩の育成に活かしていきたいと語りました。

この日のイベントは、絵本の朗読劇の他に、舩後さんの言葉をコンピューター音声で読み上げる講演や、「とれぶりんか」の仲間による詩の朗読、ミニライブなど、およそ2時間行われました。

イベントの様子

イベントの様子

お客さんからも感想を聴きました。

22歳の娘さんを乗せた車イスを押していた母親
「この子が未熟児で生まれ、いろいろ悩んだこともあったけど、みなさんの手を借りて、この子たちも生きていけるんだっていう力をいっぱい頂き、楽しみながら人生を生きていって欲しいと思います」
福祉関係の仕事をしている女性
「舩後さんからの「明日、難病になったら?」とい問いかけがすごく心にしみました。普通に生きていれば考えないことですけど…。今日は、涙がとまりませんでした」

そして舩後さんは短歌を詠い、イベントを締めくくりました。

セミ七日  われらいっとき示すのは  あなたにまさる「生きる」炎よ

意味は…セミが7日間で示すのと同じように、私たちが今日の一瞬で示したのは、「あなた」は太陽を敬った言葉でして、太陽よりあつい「いきる炎です」というものでした。

(担当:永井洋満)