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「DVの加害者の更正プログラム」

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

「DVの加害者の更正プログラム」

ドメスティックバイオレンス(DV)について取材しました

警察庁によりますと、2010年に全国の警察が相談を受けるなどして
認知したDVの件数は、およそ3万4千件と、DV防止法が施行された
2001年以降で最も多かったそうなんです。

各地に被害者を保護するシェルターを作るといった対策がとられていますが、
まだ十分とはいえません。

そんな中、「被害者を守る対策」ではなく、
「加害者」に向けた対策に 乗り出す動きがあります。

「加害者」に対して「更正を目的としたプログラム」を始めたんです。
取り組んでいるのは、これまで、DV被害者へ「電話相談」や
「シェルターの運営」などで支援していたNPO法人
「女性・人権支援センター ステップ」です。

この「プログラム」を始めた理由を代表の栗原加代美さんは こう話します。

栗原加代美さん
『 シェルターに逃げてくる人って本当にわずかですね、
 ほとんどの人は我慢して 耐えて生きるわけですね。
 それは子供がいるからとか経済的な理由から なんですけど、
 被害者の支援をするためもうひとつの選択があっても
 いいんじゃないかと考えたんです。
 それが、夫に変わってもらうこと。
 どんなに被害者を守っても、加害者は放置されたままなんですよ。』

被害者を守るだけではなく、暴力をふるう側にも働きかけて
そもそもの「根」を絶とうというわけなんですね。

この「加害者更正プログラム」では、「DV」被害者の体験談などを読んで、
「何がDV行為にあたるのか?」や「被害者の気持ちはどうなのか?」
などを学んでいきます。
毎週土曜日に2時間ほど行われていますが、私が伺った日は、
心理カウンセラーなどスタッフ3人と20代から
50代の加害者の男性7人が集まりました。

こんな様子でした。

『 多いケースじゃないですか?口論でスイッチが入るのは。
 皆さんはどうですか?結構首振ってますけど。
(口論でスイッチは入りますね。たぶん僕みたいな感じだと。
 普段温厚でやさしい、で、何もないときは反省してもうしないと。)
(俺もそう、被害者の本見てもなんでみんな一緒なんだろうと思いますよ)』

体験談を交えながら学んでいくんですね。
発言にもありましたが、参加者は本当に温厚で、凄く真面目だったのが印象的でした。

真剣にじっくり話す場面がある一方で、   
「今後こうしていけば妻が喜ぶかもしれないですよね!」と前向きな発言もでて、
和やかになる場面もありました。

参加者2人に話を聞く事が出来ました。
1人目の加害者の男性は仕事の忙しさやイライラから、
奥さんを殴ったり 暴言を浴びせたりなどのDVをしていたそうです。

男性
『 妻が出て行ってあなたはDV、DVと、そこまで言うなら見てみようと
 で、パソコンの画面を見たときに、まさに俺のやっていたことだな
 という風にわかった瞬間に手が震える感じで俺はまさかのDV夫やと。
 親父から言ってわからなきゃ叩くしかないないとずっと言われていたので、
 それが正しいものだというように恥ずかしながら思い込んでいまして、
 それが間違いなんだという事に今は気づけたので、
 すごく良かったなと思います。』

奥さんが出ていくまで、DVの意識は無かったそうなんです。

取材してわかったんですが「DVだと気づかなかった」
というパターンはすごく多いんです。
「自分がしていたことはDVなんだ」と気づかせることが
最初の一歩になる訳なんですね。

この男性は今別居中なんですが、自分の行為がDVと気づいたことで
少しずつ考え方を変えてゆくことができ、
4月には奥さんと子供とまた一緒に生活できる予定なんだそうです。

2人目の加害者の男性は、奥さんともっとコミュニケーションをとりたい
という気持ちがつのって、どんどんDV行為にエスカレートして行ったそうです。
奥さんに促されて参加して3ヶ月。このような変化があったそうです。

男性
『 ここに来るまでは相手に変わってほしい、相手にこうしてほしい
 という気持ちがすごく大きかったんですけど、ここに来て、
 過去と他人は変えられないけど、変えられるのは自分と未来だ
 というのをすごく心の中で大きく受け止めているので
 妻に対してこうしてほしいというのは無いです。
 子供とゴルフに行ったり、上のお姉ちゃんの音楽の発表会に
 一緒に聞きにいけたりとかそういうことが出来れば十分ですね。 』

これまで25人の男性がこのプログラムに参加して、「未来を変えよう」
としていますが、こういったプログラムを実施しているのは、
まだ全国で6箇所しかないそうです。

しかも参加者がまだ1人という所もあるそうで、
どう加害者に参加してもらうかが今後の課題のようです。

また「女性・人権支援センター ステップ」では
「加害者の妻たちの会」も合わせて行っています。
こちらでは、夫たちの努力の様子を伝えたり、今後夫とやり直すにあたり、
妻側にも「過去を責めない」などの努力をしてほしいと訴えているそうです。

加害者も被害者も変わっていくことが大切なんだなと思いました。
法整備などをもっと進めていかなければいけませんが、
「自分の行為がDV」と気づくこと。「変えられるのは自分」と気づくこと。
こうした「気づく場所」がいかに大切かを感じます。

担当:山崎景子

<関連情報・お問い合わせ先>
NPO法人 女性・人権支援センター ステップ
http://step7787.exblog.jp/i47/
080-5530-8047 (代表 栗原 さん)