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虐待から逃げてきた子どもを守る子どもシェルター

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

虐待から逃げてきた子どもを守る子どもシェルター

今回は、TBSラジオの澤田大樹記者が「子どもシェルター」を取材しました。
DVでパートナーによる暴力から逃げてきた人のためのシェルターは
知られていますが、今回取材したのは「子どもシェルター」という施設です。

厚生労働省の調べで全国の児童相談所が2010年度に相談を受けた
児童虐待の件数はおよそ5万5000件で、20年連続で増えています。
そうした子供たちを守ろうというのが「子どもシェルター」なんです。

運営している社会福祉法人「カリヨン子どもセンター」
理事長・ 坪井節子さんの話です。

坪井節子さん
『 10代後半の子どもたちで、虐待あるいは親子関係の
 いろんな問題を抱えて、家族の元を出なければいけない。
 そうした行き場のない子どもたちが今晩安全に暮らしたい
 といって助けを求めに来た時、避難させる施設。
 そういう場所と思っていただい良いかと思います。』

「子どもシェルター」の特徴は、対象が10代後半の子どもたちだということなんです。
子どもというと児童相談所が窓口になると考えがちなんですが
児童相談所は18歳未満の子どもが対象なんです。

この「子どもシェルター」は長い間虐待を受けながらも
大人の仲間入りが近づいている16歳から19歳の子どもを対象にしています。
子どもたちが逃げられる施設として児童相談所の一時保護所がありますが、
そちらは18歳未満の子が対象な上、東京などの都市部では常にいっぱいの状態で、
16歳より大きい子達は行く場所がなくなることも多いのが現状です。
そのほかにも児童相談所との違いがあります。

『 心と体の安定を取り戻すのが先だと思うんですが
 そのうえで、親とはどうするんだとか、今後の住まいは
 どうするんだとか、そういったことを弁護士が一緒になって
 考えていくということになると思いますね。』

東京弁護士会の澤田稔弁護士はこうはなします。

澤田稔弁護士
『 「子どもシェルター」の特徴は、シェルターに逃げてきた子どもたちに弁護士が関わることなんです。』

そもそも「子どもシェルター」誕生のきっかけは弁護士会が行っている
演劇「もがれた翼」で取り上げたことからでした。
そのため、虐待から逃れてきた子どもたちには
必ず担当弁護士がつき、親や行政との折衝を行います。
カリヨン子どもセンターの場合、東京弁護士会が開設した相談ダイヤル
「子どもの人権110番」からの連絡で来るケースが多く、そういう事例は
実際に年間3~40事例あります。
実は「カリヨン子どもセンター」の坪井さんも弁護士なんです。
なお、弁護士がつくといっても子どもたちには費用がかかりません。

「子どもシェルター」で子どもやスタッフたちはどんなことをしているのでしょう?
とにかく大事なことは「安心してもらう」ことなんです。
安心して寝て、ご飯が食べられるようになることなんです。
長期間の虐待で心に傷を負った子供も多いので、精神科医の治療を受けたり、
ボランティアの大人と運動したり、音楽を聴いたりして
心をリラックスさせることも大事なことだそうです。
シェルターにいることで子どもたちはどう変わるのか、再び坪井さんです。

坪井さん
『 カリヨン子どもセンターの支援は子供を真ん中にしてたくさんの
 大人たちがしっかりスクラムを組んで抱えていくというのが
 私たちの支援。そうしていくと閉じてきた扉をふっと開くんです。
 お金のためじゃなくて自分たちの命のために一生懸命になってくれる
 大人がいると実感する瞬間。こういうときに子供たちがふっと開く。
 もしかして自分って生きてていいのかもしれないなって、
 1人きりだと思ってたけどそうじゃないかもしれないなって思ったときに
 初めて自分の人生を考えてくれるんですよ。』

自分に対して真剣に接する大人たちの姿が「心の扉」をあけさせる訳ですね。
子どもたちが「シェルター」で過ごす日数は平均60日です。
坪井さんによりますと、60日の間でほとんどの子に心を開く瞬間があるそうで
次のステップである自立援助ホームへ移っていく子も多いそうです。
「心を開く」までの「シェルター」の人たちの努力は大変なんでしょうね。

このほか「今後の課題」について坪井さんは、

坪井さん
『 まずは子供シェルターがやっと制度化されたのでせめて都道府県
 各一箇所ずつは子供シェルターが広がっていってほしいな
 というのがまずあります。それから19,20になったからといって
 この形が普通に家庭で育った子供たちと同じようになれるかというと
 長い間ネグレクトされてきている子なのでもう少し時間が必要。
 そういった20を過ぎた後、子ども支援ではなくなったが
 そういう子どもたちを切れ目なく年齢に応じた支援をしていくことが
 必要になっている。そこのアフターケアの問題だがそこはとても大きい。』

と話します。

施設の数の少なさや、20歳を過ぎての支えが課題になっています。
虐待が長い期間にわたっていたので短期の回復が難しいケースも多いので、
20歳を過ぎたら「大人になったから独りで生きなさい」とはゆかないんです。

そして次の課題は施設の少なさです。
「子どもシェルター」はまだ全国に7カ所しかありません。
更に施設の運用も課題です。
「子どもシェルター」は民間の施設なのですが、児童福祉法で特別に認められ
運営資金の一部は国と都道府県が負担しています。
とはいっても、ひとつの施設で維持費が毎年1700万円程度の費用がかかるそうです。

傷ついた子どもたちに対応することはとても大変なことで
多くのスタッフが必要なのだそうですが、国の規定では
「子ども何人あたりスタッフは何人」と決まっていて、
十分な対応をするためにはボランティアに頼っている部分も多くあります。

そのため、補助金だけではすべてをまかなうことができず
寄付金に頼っているのが実情です。

子どもへの虐待というと、つい「もっと年齢が下」の子どもを
イメージしてしまいますが、こうして聞いてみると
「10代後半の子ども」のケースも深刻ということがわかります。

そして、こうした「シェルター」の大切さもよくわかりました。

担当:澤田大樹

<関連情報・お問い合わせ先>
・社会福祉法人カリヨン子どもセンター
http://www.carillon-cc.org/
・東京弁護士会子どもの人権110番
http://www.toben.or.jp/bengoshi/madoguchi/children.html