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アルコール依存症の人たちが集まる『断酒会』

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

アルコール依存症の人たちが集まる『断酒会』

今日はお酒に関係する話題です。
取材をしたのは、「アルコール依存症」の人たちが集まる『断酒会』で、
「NPO法人 東京断酒新生会」が行っている『例会』の様子です。

会はまず、全員での「断酒の誓い」の唱和で始まります。
一つ、私たちは酒に対して無力であり、自分ひとりの力だけでは、
どうにもならなかったことを認めます。
一つ、私たちは断酒例会に出席し、自分を率直に語ります…

「アルコール依存症」の人は増えているといいますが、
この日は依存症の人や・家族・ケースワーカーなど合わせて
70人以上が参加していました。
唱和の後は、参加者全員が、飲酒の体験などのスピーチをします。

参加者(男性)
『 家に帰ると小さな子どもたちがいますので、飲んじゃいけないの
 はわかってる。じゃぁなんで飲むんだ?いや飲まずにいられないんだ。
 とにかく酔わないと。
 まあそんなことを繰り返しながら、毎日毎日、
 涙を流しながら酒を飲んでいました。』

と、参加したある男性は、こう話していました。

「アルコール依存症」の人は「飲んではいけないことをわかっているのに
飲んでしまう」といいますよね。

この会には特徴があるんです。
それは、基本的に毎晩、都内にある25の支部のどこかで
1カ所以上は開かれていることです。
多くは夜に2時間ほど、区民会館の会議室などで行われています。

「断酒会」について、NPO法人 東京断酒新生会 理事長の西田実さんのお話です。

西田実さん
『 お酒をやめる会じゃないんです。やめ続けるための会だと。
 1日やめるのは誰だってできるんです。
 やめ続けるためにはやめている仲間のところに顔を出してください。
 一緒にやめていこうという考えをもっている仲間と一緒にやめていくと楽ですよ
 というのが、この会の趣旨なのかな。』

「やめ続けるため」には一人ではなく、仲間と続けるということなんですね。

各地の会に参加するため、毎晩「例会まわり」をしている人は何十人もいるそうです。
アルコール依存症は一度なると、簡単には治りません。
ですから断酒を始めたばかりの人も、30年以上続けている人も、立場は同じなんです。
参加している人は20代~90代までサラリーマン、歯医者、酒屋、主婦、学生
それから家族とさまざまです。

この会のもう一つの特徴は、意見交換は一切しないこと。
会の原則は「言いっぱなし、聞きっぱなし」で、
発言者に対するコメントやアドバイスは禁止されています。
それは、あくまで参加者のいろんな体験談を自分自身に当てはめて、
何がいけないのかに「気づく」ことが大切なんだそうです。

更に参加をしていた35歳の男性はこう話します。

35歳 男性
『 初めは、違和感だらけです。なんだこの集まって、みんなお酒の話
 ばかりしているし・・・参加してみるとお酒だけではなくて、やはり
 家族のお話とかですね、みんなそれぞれお酒をやめていることによって
 得ているものと。皆さんおっしゃってるのがしみじみ感じるというか。
 名目は断酒会なんですけど、自分の心の癒しの場と感じていますね。』

「言いっぱなし、聴きっぱなし」でも、皆が集まれば「癒しの場」になるようです。

ひと言では語れない、悩みを積み重ねてきた人が多いんです。
ですから、自分の体験を黙って聞いて、受け入れてくれる環境は
ほっとできる場所になっているようです。

ただ、なかなかうまくゆかないことがあるのも現実です。
再び、理事長の西田さんのお話です。

西田さん
『 本人次第なんですよね。もう、俺はみんなと違うんだ。例会に出なくても、
 ここまできたらやめられるよ、やめ続けられると判断した人は退会してきます。
 私たちは医者じゃないから、本人がもう俺はもう大丈夫だよって言ってる以上、
 まだだめだよ!とは言えないでしょ。
 ただ残念なことに9割以上の方がそういう方は再飲酒なさっています。』

東京断酒新生会では、無理なく、誰もが断酒会に参加できるように、
今年の春からは、若い世代を対象にした会やシニアのための昼の例会を始めました。
同じ依存症の悩みを抱えた人を救うためには、こういった新たな試みを
依存症である自分たちが提案し、続けていくことが非常に大事だと西田さんは話していました。

断酒の方法はほかにもいろいろありますが、
今回の方法は同じ悩みをもつ人が協力し合ってからこそ、
できることのように感じ、「協力し合う」ことの大切さを改めて感じます。

担当:岡本祥子