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暗闇ワインバー

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

暗闇ワインバー

今回は『暗闇ワインバー』をご紹介しました。

『暗闇ワインバー』というのは、
名前の通り「真っ暗闇の中でワインを飲む」イベントなんです。

詳しいお話を「暗闇ワインバー」代表の谷口響子さんに聞きました。

谷口響子さん
『 ガイドヘルパーをやっていたんですね、
 その時に就職の面接とかにも付いていったんですね、
 そうするとみんな断られてるんですよ。
 皆さん鍼灸マッサージ師の国家資格を持っているんですけど、
 全盲だと雇ってもらえないのを見て、
 どんな仕事が出来るんだろうとか色々考えていました。
 視覚障害者の人と仕事したいなっていう、そういう思いですね。』

谷口さんは障害を持つ方の外出の手助けをするガイドヘルパーをしています。

いろいろと一緒に行動しているうちに、
一緒に働ける場所があれば良いのになあと思い始めて
去年の2月から『暗闇ワインバー』を始めました。

そこでどうしてワインバーなのかと言うと、
実は、高級なワイン「ドンペリニヨン」を作ったのは
盲目の修道士だったと言われているんです。

そのことを知った谷口さんは
「目が見えなくてもあんなにすばらしいものを作ることが出来る、
香りや他の感覚で感じられることがあるんだ」と思い、
暗闇でワインを楽しむ形にしたそうです。

視覚障害者の方の仕事の内容は
席までの案内や、お酒や料理を席まで運んだりします。

まだ不定期に開催している段階なのですが、
すでに視覚障害者の方から働きたいという応募が来ているんです。

現在「暗闇ワインバー」を手伝っていて、視覚に障害のある松田桂子さんに
働こうと思ったきっかけを聞きました。

松田桂子さん
『 普段私たちって助けてもらったりとか、
 どうしても見えない部分をサポートしてもらったり
 っていうことが多いんですけど、
 このイベントは逆に私たちが、普段視力のある人たちをサポートしたりとか、
 どうやって楽しませられるかなっていうのを考えるのが
 すごい面白そうだなと思ったので参加してみようと思いました。』

お話を聞いていて、なんだか温かくて嬉しくなりました。

視覚障害者の方は、ある意味 暗闇のプロですから頼りになりますよね。

私が取材に行った日は9人の女性が来ていました。
先ほどの松田さんは、暗闇ワインバーで働き出してまだ間もないのですが、
お客さんからは「モモちゃん」という愛称で呼ばれて、親しまれています。

来ていたお客さんの声です。

参加者
「 初めて闇に入ってちょっと恐怖を感じていたので、
 モモちゃんって何回も呼んだら私の手をキュッキュッって握ってくれて、
 ここにいるから大丈夫よって何回も優しく握ってくれて、
 だんだん恐怖が薄れていって、やっぱりそういった方が
 隣にいるっていうのはすごくありがたいなって思いました。」

「 視覚以外の五感がものすごい、普段40%くらいしか働いてないのが
 150%くらいまで敏感になっているような感じで、それがすごく面白くって、
 人の気配とかも普段の300%くらい感じてるんじゃないかなって思いました。」

「 白のワインがすっとわからなかった。
 ワインに限らず普段いただくものは80%以上「視覚」で食べてる
 ようなものなんで、それがちょっと目をつぶるとどうなるのかな
 っていうことにすごい興味ありました。」

皆さん、普段いかに視覚に頼って生活しているかを感じていたようでした。

ここ暗闇ワインバーでいただくものは、
ワイン4種類と食事(チーズやパン、スープなど)です。
4種類のワインは「赤」「白」「スパークリング」など
普段間違えようのないものばかり。
それを、目の見えない状態で飲むだけで
皆さん全くわからなくなっていました。

食事をする時も、最初は暗闇への恐怖心から動きがぎこちなかったのですが、
徐々に慣れてきて会話も弾んでいました。

最初に自己紹介するのですが、
名前と趣味くらいで、普段の職業などは言いません。
そのためいつもとは違ったコミュニケーションがとれるわけです。

真っ暗闇で何も見えないからこそ、年齢・性別・国籍・障害がある人も無い人も
みんな関係なく楽しめるのだと思いました。

最後に暗闇ワインバーのこれからについて、谷口さんに聞きました。

谷口さん
『 どうしても障害者として扱われたりするっていうので、
 やっぱり違うんじゃないかなと思って、
 本当にその人自身と付き合いたいって思いがありますね。
 自分の中でこの思いを何とか形にしたいというのが強くて、
 それを何とかビジネスとして形にしていって利益を出せるようにして、
 その利益で継続していく、
 視覚障害者にちゃんとお給料が支払えるっていう仕組みを作っていく、
 そのためにいろいろ試行錯誤中です。』

暗闇ワインバーの次の開催は10月を予定しています。
また、来年にはお店として毎日営業し、
視覚障害者の方と一緒に働ける環境を作りたいと話していました。

視覚障害者の方の仕事の場としてはもちろん、
コンプレックスとか社会的な立場とか、いつも身につけているものから解放される
新しい形の憩いの場になるような気がします。

担当:楠葉絵美