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起業して障害者の働く場を作る

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

起業して障害者の働く場を作る

障害者の雇用など社会の様々な問題を、ビジネスを通じて解決しようという
「社会起業家」が増えています。
そんな社会起業家の一人、東京にある有限会社「フォレスト」の代表
田辺大さんを取材しました。

田辺さんは、自分の妹が、盲ろう者と結婚したことをきっかけに、
障害者が努力してマッサージの国家免許をとっても、
現実にはなかなか働く場所がない、という現状を知りました。

そこで、田辺さんが起業したのが、「オフィスマッサージ手がたり」です。
「オフィスマッサージ」とは、 障害者のマッサージ師が企業のオフィスを訪問して、
社員にマッサージを行う、というものです。
企業が職場で働く人の健康問題に取り組む動きが広がっている中、
需要はあると田辺さんは確信して始めたそうです。
「手がたり」という名前には、マッサージ師の繊細な指先と
お客さんの身体が語り合うというイメージを込めました。

では、「手がたり」の現場はどんな感じなのか、さいたま市の
NECソフト北関東支社に行って取材してきました。
午前9時過ぎ、マッサージ師の男性と介助者の女性が訪れ、
職場の隅にある会議室に入りました。
前の日に宅配便で送っておいた折りたたみ式のベッドやタオルをセットして
準備完了です。
午前10時から1人30分のマッサージが始まるのですが、
この日は朝の時点で、夕方まで予約ですでに一杯になっていました。

マッサージを受けた人に話を聞くと、
「 気持ちよかったです。パソコンずっと見続けているので、
 頭痛がしたりするので、マッサージ行きたいなあ、と 思いますね」
「 はじめて受けてみて、すごく気持ちよかったし、会社の中で気軽に
 受けられるというのもいいな、と思いました」
「 社内で勤務中にできるという手軽さもよく、時間もけっこう長かったので、
 満足感がありました。」
といった声が返ってきました。
仕事の合間に、リフレッシュできたようです。

NECソフト人事総務部の江川啓子さんに話を聞くと、

江川啓子さん
『 IT業界は、社員が肩こりを慢性的に持っていたり、頭痛がひどかったり、
 腰痛がひどかったりと訴えている社員が多くて、そういう社員が
 自費でマッサージに通っているという声を聞いたものですから、
 社員向けの福利厚生のサービスとして社内に導入できないか、
 というきっかけから始まりました。』

ということです。

また、企業内で障害者を雇用してより一層活躍する場というのを会社としても
設けたいという意味もあって、そういう意味で、障害者を雇用させていただく
という面でもメリットが あるということでした。
会社の福利厚生と共に、社会貢献という側面もあるようです。

NECソフトの東京の本社も以前、
「手がたり」のオフィスマッサージを利用していました。
その時も、ものすごく評判がよくて、社員の健康増進のためにもぜひ続けてほしい
ということになったので、本社では社内に常設のマッサージ室を開設し、
視覚障害者のマッサージ師を社員として採用したそうです。

「手がたり」をこれまでに利用した企業は15社ですが、そのほかに、
障害者のマッサージ師を雇用してみようという5つの企業に対して、
様々な相談にのってきた実績もあるそうです。

現在、手がたりに在籍しているマッサージ師は、視覚障害者2人と
盲ろう者1人の合わせて3人です。
私が取材した野間哲史さんは全盲で、資格をとって7年。
「手がたり」で仕事をはじめて2年弱となります。

現在は実家暮らしという野間さんですが、「各顧客企業様の方で、
施術終わった後に じゃまた次回もお願いします、と言われると、
あ、よかったな、という爽快感を感じます」と話します。

これまで積んできた経験を生かしながら、 しっかり稼いで行って、
一人暮らしをしたいなというのもあるし、結婚して、
独立した形で家庭を築いていきたいな、というのもあるということでした。

「オフィスマッサージ手がたり」は起業して7年。
田辺さんは「障害者ならではの繊細な技術や集中力」をもっと伝わる形にして
広めてゆきたいと話していました。
また、「手がたり」のサービスは関東地方だけですが、「手がたり」が
蓄積してきたノウハウを各地の福祉団体に提供するという形で、
障害者のオフィスマッサージは 名古屋や大阪、宮城などでも
始まっているということです。

担当:崎山敏也

<関連情報・お問い合わせ先>
オフィスマッサージ「手がたり」
http://www.officemassage.jp/