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視覚障害者向け音声ガイダンスを使わない新しい映画の楽しみ方

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

視覚障害者向け音声ガイダンスを使わない新しい映画の楽しみ方

きょうは、視覚障害者も楽しめる新しい映画の取り組みについてです。

今年9月7日から、全国でロードショーされている「共喰い」という、
作家の田中慎弥さんの芥川賞受賞作を原作した映画なんですが、
この映画、実は今までにない手法を使って、
視覚障害者の方も楽しめる映画になっているんです。

どんな映画なのか?映画を企画したNPO法人ピープルデザイン研究所の
代表理事 須藤シンジさんに伺ったところ、

須藤シンジさん
「 視覚障害者と言われている人たちが映画をみる=耳でみるという事になるが、
 いままでの手法としては、視覚障害者の方のために状況を説明する原稿を
 起こしてその原稿に乗っ取ってナレーターが後付けで音声を収録し、
 音声解説を映画の映像に合わせて展開する音声ガイダンス
 という種類のものだった。
 今回展開した手法は、映画を制作する段階から視覚障害者の
 「こういう風にしたら助かる」という要素をそもそもの映画に
 包含させて作って、後から音声ガイダンスを付けなくても
 そのまま視覚障害者の方がロードショー映画館でみられる
 という事をやったのが今回の企画だったんです。」

ということです。

登場人物の動きや風景などを説明する音声ガイダンスは、
通常の映画とは別に吹き込みで加える必要があるため、
そうすると一般の映画館とは別の場所、
例えば地域の公民館や役所の会議室などで上映される事が多かったんです。
しかし、今回はその音声ガイダンスはないので、
一般の映画館で楽しめるようになった、

つまり、映画を作る段階で、視覚障害者のことを考えて映画が作られたんです。
具体的には、どんな手法なのか?
音声ガイダンスなしで、視覚障害者の方にも楽しめる手法について須藤さんは

須藤さん
「 制作前に上がった、第1稿=脚本を預かって状況描写を
 語っているセリフが、その場面の前後にあるかどうかをチェックした。
 オンタイムで状況を説明しなくても前後でその場面がどんなところなのか
 という言葉がセリフとしてあるかどうかチェックしたり、
 集音のマイクの感度が通常の映画の収録感度の7倍くらいある
 収録マイクを使っているので、映画の中で出てくるウナギをシャッシャッと
 卸す音が比較的リアルな音として拾えている。そんなことなんです。」

また、音だけで分かりづらい表現は、
前後に状況を説明するセリフを自然な形で入れたということです。
須藤さんは、セリフを聞いただけで、
描写ができるように気をつけたといいます。

視覚障害者の方々は、どう感じられたんでしょうか?
去年の12月、視覚障害者100人を招いての試写会を行って、
モニタリングをしたんですが、こんな結果が出たそうなんです。
「全体100人ぐらいいた中での数名がよかったですよ、
という声も20〜30代であった。
他方、圧倒的にご年配の方がブーイング。全然分からないわよ、と。
あなたたち少し勉強しなさいと、いうモニターの声があった。」

今まで音声ガイダンスで楽しんでいた人達にとっては、
わかりづらかったようなんです。

そこで須藤さんたちは、もう1つのサービスを合わせて展開することを考えました。
その名も「アフター・シネマカフェ」。
私たちも、映画を見終わったあと、感想を話したりしますよね。
あんな風に、映画のあとにお茶をしながら語り合う
というサービスを映画とセットで提供することで、
分からなかった部分を補うというものなんです。

須藤さんは、視覚障害者の方に
さらにいろんな映画の楽しみ方をして欲しいとこんな風に話します。

須藤さん
「 楽しさという目線から映画というコンテンツを見直した時に、
 必ずしも視覚障害の方に映画の上映に合わせて解説の音声を付ける
 方法以外にも同じシアターの空間の中で共生して楽しんで頂ける方法は
 まだまだあると思う。
 アフターシネマカフェの様な試作を含めて1年1作品を目安として
 続けていきたい。」

もちろん視覚障害者向けの音声ガイダンスを求められる方、
必要とされる方もいらっしゃいます。
ただ、それだけではなく、今回のようなサービスもあって、
視覚障害者が選べる環境になっていけばいいと思いました。

担当:清水栄志

<関連情報・お問い合わせ先>
NPO法人ピープルデザイン研究所
http://www.peopledesign.or.jp/