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出所者支援居酒屋プロジェクト

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

出所者支援居酒屋プロジェクト

今日は、刑務所出所者の雇用を支援する新たな取り組みについて
TBSラジオの中村友美ディレクターが取材しました。

犯罪者が刑期を終えて出所したあと、再び普通の生活に戻るには、
仕事と住むところの確保が必要ですが、
なかなか簡単にいかないのが現状です。
こうしたなか、再び罪を犯してしまう「再犯」の割合が
10年以上ずっと増え続けていて、
再犯者のうち6割から8割が職についていない、というデータがあります。

そんななか、「出所者支援居酒屋プロジェクト」という取り組みを
新宿区の歌舞伎町で実施しようという動きがあります。
このプロジェクトの実行委員、玄 秀盛(げん・ひでもり)さんにお話を伺いました。

玄 秀盛さん
「 うちの所で出所者の住むところと仕事を提供したところで、
 離職率が高い、定着率が悪いと。
 結構肉体労働系とか介護系はもう何十人も紹介しているけれど、
 人間馴れしてない。ここのところがネック。
 それだったらいっそのこと歌舞伎町という場所で、居酒屋、
 まして出所者の居酒屋をまずやろうと。
 オーダー受付、いわゆるお運びさん、そういところから、
 頭の下げ方。言葉の交わし方、伝票計算。
 そこで酒を出すという、人馴れという部分で
 俺はあえて居酒屋というところ取り組む。」

玄さんはこれまでも「日本駆け込み寺」で出所者の雇用支援を行ってきたのですが、
刑務所は私語厳禁の場面も多いですから、余計に口数が少なく
コミュニケーション下手になってしまう傾向にあるそうです。

それで職場に馴染めず、離職率の高さにもつながっているようです。
そこで、接客をする中で自然とコミュニケーションが鍛えられる
「居酒屋」に玄さんは着目しました。

実際に雇用を受け入れてくれる居酒屋については今まさに、
賛同してくれそうな企業と話し合いを進めている最中だそうですが、
玄さんは、プロジェクトを進めるためには、地域や企業の
理解が必要だと話していますが、実際に今回のプロジェクトでも、
委員である新宿区の中山弘子区長が
「怖い施設になっては困る。地域から見ても応援できる施設でないと」
と話していて、応援したいものの、出所者に対する地域の不安があるようです。

一方で、出所者も、出所後にちゃんと働けるかという不安を持っています。
そもそも職を探すのも、簡単にはいかないということですが、
実際に、出所者の方が職を探すとなると、どんな困難があるのか。
元受刑者で、現在建設会社の「株式会社マルワ開発」で働いている、
新井 周正(あらい・まさちか)さんにお話を伺いました。

新井 周正さん
「 施設に入る前は普通にデパートの地下の飲食とか、
 そういう料理関係ばっかり。
 で、やっぱ飲食をやりたかったんですけど自信がないわけですよ。
 職安行って普通に飲食とかの会社で、見つけました面接しましたって言っても
 すぐ働けるかなという不安でいっぱいなんですよ。で、更生保護施設から
 「ここの会社の社長さんはすごいいい人だから仕事してみたら」
 っていうので入れたのがここだったんで。
 始めキツイ仕事だなとか思ったんですけど、仕事がいっぱいあるし、
 資格もとって、やればやりがいのある会社です。」

面接で正直に「刑務所に入っていた」と言うと、
普通の企業はなかなか受け入れづらいという現実があるようです。
更生保護施設を通じての職探しなら、
事情を知って受け入れてくれる企業が求人を出していますから、
そういう所が就職しやすいようです。

一方で受け入れる企業側は、どのように受け入れを行っているのでしょうか。
新井さんが働くマルワ開発の代表取締役
佐藤 和義(さとう・かずよし)さんのお話です。

佐藤 和義さん
「 8年、9年ぐらいやってるんですけど、出たり入ったり、
 辞めちゃった人もいますけど、もう300人はいってるんじゃないかな。
 極端な話、身元の引受人の形もとっている。
 中にはもちろん信用を落とした人もいますけど、
 でももちろん残ってる人もいますんで、
 20人ぐらいは更生してしっかりやっています。
 あとは本人たちが頑張ってやるっていうことですよね。」

ただ、マルワ開発のように積極的に受け入れてくれる会社は少なくて、
日本駆け込み寺の玄さんが出所者支援居酒屋への協力を求めてお店に声をかけても、
「刑務所出所者」と言っただけで拒否されてしまうことがほとんどだったそうです。

そんな中で、ようやく協力してくれそうな企業を見つけて
来年春の本格始動を目指す「出所者支援居酒屋プロジェクト」
その最終的な目標について、玄さんはこのように語ってくれました。

玄さん
「 最終的に出所者が自立できるっていうのは、
 最終的には所帯を持たすことやと思ってる。
 そしたら社会参加、家族を持つんやろ。
 やっぱりどうあってもそこのところが弱いから。
 たまたまそれで職と住むとこ与えられて自立した人もおるよ。
 でもそれだけやったら片手間やろ。与えてる側の自己満足ちゃう?
 現実はそこまでもっとってなんねん、手間暇かかるけど。
 だから、居酒屋っていうのはあくまでも入口であってゴールじゃない。
 そこからスタートしたら、そっからいろんな
 多種多様なことができるんちゃうかな。」

玄さんは、「再犯がなくなるということは、被害者も少なくなる
ということを考えると、社会全体で受け入れていくことが
必要なのではないか」とおっしゃっていました。
まずはこの「出所者支援居酒屋プロジェクト」を成功させるために
企業や地域が一体となって進めていってほしいと思います。

担当:中村友美

<関連情報・お問い合わせ先>
公益社団法人 日本駆け込み寺
http://nippon-kakekomidera.jp/