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過去の都知事で考える。知事に必要な資質とは?

森本毅郎 スタンバイ!

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7月31日は都知事選ですが、投票する際に見極めたいのが、その候補の資質。果たして都知事に必要な資質とはどんなものか?「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「日本全国8時です」でジャーナリスト・嶌信彦さんが、過去の都知事の功罪を踏まえながら、解説しました。

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★戦後初の都知事、安井誠一郎氏は「戦後の復興」に尽力

戦後、選挙で始めて選ばれた都知事は安井誠一郎さん。安井さんは、1947年、初の都知事選で接戦を制して、初代都知事になった。安井さんを一言で言えば「復興の都知事」。戦前は内務省で植民地管理の他、関東大震災の復興も見た。そして終戦後、初の都知事として、今度は戦災からの復興に関わった。

その後、朝鮮戦争の特需で建設ラッシュとなり、時代は変わっていく。こうして安井さんは、東京五輪の誘致を目指すようになった。

 

★東龍太郎時代は「高度成長のインフラ整備」

こうして1959年に誕生したのが東龍太郎さん。この人は「五輪とインフラの都知事」だが、実は政治経験がない医学者だった。ではなぜ都知事になったかというと、国際オリンピック委員会の委員だったことが大きい。そして東京五輪開催を勝ち取り、五輪の開催に向けて奔走した。

一方、この時代は都市開発でインフラ整備が進み、「首都高速道路」や「都営地下鉄」、「環状7号線」が整備された。もっとも、東さんは政治経験もなく、五輪誘致で忙しい。そこで主に都政を担ったのが副知事で、後に都知事にもなる鈴木俊一さんだった。ただ、急激な開発で、公害など都市問題も発生した時代だった。

 

★美濃部亮吉時代は「公害防止の革新都政」

そして3人目は、1971年に知事になった美濃部亮吉さん。経済学者で、所得倍増計画の池田勇人総理のブレーンの1人だった人。社会・共産の推薦を受けて当選した。今の「野党連合」の元祖のような人。

この美濃部さんは「公害防止の革新的都知事」だった。公害を問題視して「ストップ・ザ成長」を掲げた。「東京に青い空を取り戻そう」と、青いバッジをつけて選挙活動した。「老人福祉手当」や「老人医療費無料」といった「福祉政策」も充実。ほかにも「高齢住民の都営交通無料化」など「無料化」を色々実施した。さらには「公営ギャンブル」も廃止するなど革新路線を徹底。最後は、当時自民党推薦だった石原慎太郎さんを破り、3選を果たす人気だった。

しかし、公営ギャンブルによる財源を失った上、無料化政策が負担となり、オイルショックで財政が悪化してしまった。

★鈴木俊一時代は「財政再建と新都市開発」

4人目は、1979年に知事になった鈴木俊一さん。この知事は「財政再建と伸都市開発」だった。美濃部さんを「バラマキ福祉」と批判して当選すると、まずは、職員削減、退職金引き下げ、福祉見直しなど、行政改革で財政再建。その後は、東知事時代、副知事として都市開発を手がけた経験を生かし、80年代のバブルに向かう流れの中で、再び、都市開発に取り組んだ。都庁を新宿に移転して新宿を開発、さらに臨海副都心を開発した。

この鈴木さんで、印象的なのは、4期目の都知事選。自民党本部(小沢一郎幹事長)が、NHKの「磯村尚徳」さんを擁立。自民党の都連は、鈴木俊一さんを担いで、自民の分裂選挙となった。80歳の鈴木氏は「高齢批判」をかわすために「柔軟体操」をしてみせたり、磯村さんも「庶民性」をアピールするために「銭湯」に入ったり…なんとも痛々しい選挙戦だった。思えばこの頃から、選挙が少し、変質していった。

 

★青島幸男時代でタレント知事が始まった

5人目は、1999年の選挙で勝った、タレントの「青島幸男」さん。バブル崩壊後の時代に合わなくなっていた鈴木都政のハコモノを批判。臨界副都心の「都市博覧会の中止」を訴えて、実施した。このあたりから「タレント候補」「人気投票」になっていく。

 

★環境問題に対応した石原慎太郎時代。しかしその後は・・

6人目は、石原慎太郎さんで、この人は「環境と国際化」。有名な「ディーゼル規制」のほか、羽田空港の国際化などに取り組んだ。

ただ7人目の猪瀬さん、8人目の舛添さんとなると、功績もないまま、政治とカネで途中辞職となってしまった。

 

★振り返れば都知事は時代のテーマに取り組んできた

過去の実力のある知事は、時代のテーマに取り組み、東京を変えてきた。戦後復興、高度成長、公害・福祉、財政再建と成長、環境、国際化など、キーワードがあった。では今の都知事に求められるキーワードとは?

今は、都民の暮らしの改善「格差解消」がキーワードでは?待機児童、待機老人、雇用、教育の充実。五輪よりこちらにカネを使うべきでは。また、都民の暮らしという意味では、首都直下地震への備えも重大テーマ。

こうした問題への政策を打ち出し、取り組めるような力が必要。派手なパフォーマンスではなく、地味で地道な仕事ができる人。こうしたこれまでの歴史をふまえ、誰がいいのか、よく見極めたい。

(2016年07月26日放送)