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裁判員の心の負担に特化した初のアンケート調査

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

裁判員の心の負担に特化した初のアンケート調査

今日は、「裁判員経験者の心の負担に特化したアンケート」について
TBSラジオの中村友美ディレクターが取材しました。

裁判員制度は「裁判に市民の視点を取り入れる」ということで
およそ6年前始まった制度ですが、
例えば、介護疲れの殺人の場合に刑がこれまでより軽くなってきている
という分析もあり、一定の効果も見受けられます。
一方で、指摘されているのが「裁判員の心の負担」です。
裁判員経験者が集まる市民団体「裁判員経験者ネットワーク」が、
この「裁判員の心の負担」に特化した初めてのアンケート調査を行っています。
調査の目的について、「裁判員経験者ネットワーク」共同代表世話人の
牧野茂弁護士に聞きました。

牧野茂弁護士
『元々裁判員制度が始まった時に、素人の方がいきなり、
 裁判官の方が今までやってきたような重大な刑事事件をやることによって、
 多分すごいストレスも感じるし、困るだろうということで、
 心の負担だけに特化したアンケートがないんで
 それを是非やってみて、実態を把握することによって
 その軽減策を見つけようと。現在での集計では約8割の方が
 心の負担を感じている。かなりの割合の方が負担を感じているのは
 間違いないことは確かですね』

これまで「裁判員経験者ネットワーク」は、裁判員を経験した方同士が、
弁護士など専門家の立ち会いのもとで、その当時の様子を語り合う
「交流会」を、全国各地で行ってきました。
その中で、裁判員から心の負担に関する話も多く出てきたので、
牧野さんは、交流会や、ホームページを通じてアンケートを集め
こころの負担を感じたことがあるか、あるとしたらどのような負担か、
また負担を感じた時期など、詳しい実態を把握しようとしていますが、
まだまだ母数が少ないので、これからさらにアンケートを集めていきたいと
話していました。

裁判員の心の負担といってもいろいろありますが、
たとえば、裁判で、残酷な表現の証拠を見せられることが挙げられます。
2年前に裁判員を務めた方が、血だらけの遺体の写真や、
被害者が「助けて!」と叫ぶ声の録音テープなど、
生々しい証拠に触れて急性ストレス障害になったことから、
その方は福島地方裁判所に対して国家賠償訴訟を起こしました。
請求そのものは棄却されたのですが、この訴訟を機に残酷な証拠は
必要性が高くなければ採用せずイラストなどで代用する。
またやむを得ず残酷な証拠を使う場合は事前に知らせて、
耐えられない場合は辞退できるようにするなど、
一定の配慮が行われるようになりました。
また、罪の重さなどについても負担を感じる人がいます。
5年前に強盗致傷の裁判員を務めた会社員の
小田篤俊さんに聞きました。

小田篤俊さん
『例えば私が参加した裁判は、8年6月という判決が出るわけですけども、
 裁判長から手紙が来て、被告人は控訴をしましたと。控訴が棄却され、
 上告し棄却され、再審請求をして、自分で取り下げるという。
 その行動をする被告人のことを考えると、
 どう考えても納得してるとは思えないんで、
 8年6月という判決が本当に正しかったのか、ということを考えますね。
 今でもそれは続いてます。』

牧野弁護士の話では、例えばアメリカの陪審員制度では、
有罪か無罪かを決めるだけで、罪の重さまでは決めません。
日本の裁判員制度については、プロの裁判官も立ち会うとはいえ
罪の重さまで決めさせるのは負担が重過ぎるのではないか、という
意見もあるということです。
このように心の負担といっても様々ですが、
今、裁判員経験者から一番多く挙げられている心の負担について、
牧野弁護士はこのように話しています。

牧野茂弁護士
『一番多いのが、誰にも話せなくて辛かったと。
 守秘義務に触れるか分からないので一切喋らないから、
 ラクにならないと。我々弁護士がいるのでレクチャーしてあげると
「ここまで話していいんですね」と。そのことを、同じ経験者で集まると、
 それだけでうれしいと。こういう交流の場を開くことは、まず1つの
 心の軽減に役立つと思いますし、軽減策として守秘義務の範囲を
 明確にして欲しいとか、そういうのもいろいろ出てきてるので、
 非常に参考になってます。』

「裁判員の心の負担」に関するアンケートは
「裁判員経験者ネットワーク」のホームページなどで3月いっぱい
受け付けています。そのあとグループワークや公開シンポジウムを経て
5月に調査結果のまとめと、心の負担の軽減策の案をまとめる予定だそうです。
もし、裁判員を経験したことのある方でその当時の事を誰にも話せずにいる
方は、ぜひ「裁判員経験者ネットワーク」に相談してみてください。

担当:中村友美

<関連情報・お問い合わせ先>
裁判員経験者ネットワーク
http://saibanin-keiken.net/