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避難所の二次災害を防ぐ。水の衛生改革

森本毅郎 スタンバイ!

今週は、「TBSラジオ防災キャンペーン」。東日本大震災から10年を迎えたきょう3月11日は、「避難所の水問題」について、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。

 

「災害避難所の水の衛生改革」田中ひとみの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20210311073739

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

東日本大震災では、震災発生から3日目を迎えたピーク時、約47万人が避難所生活を強いられていました。断水や停電が続き、水道が使えなくなると、衛生環境は悪化します。そこで、水が足りない状況を解決するため、2年程前、あるベンチャー企業が画期的なシャワーを開発し、実際に使われ始めています。どんなシャワーか。ウォータ株式会社の代表、前田瑶介さんに聞きました。

★水道いらずのシャワーを避難所で

WOTA株式会社・代表 前田瑶介さん
「WOTA BOX(ウォータボックス)」という製品で、水循環型のシャワー。本当は水道がないと水が使えないが、使った水をその場でフィルターを通したり、塩素を添加したりして、限られた水でずっと使い続けられる。要はどこでも入浴を実現。今まで2万人以上の人が使用。去年の九州豪雨や、一昨年の台風15、19号など。喜ぶってレベルじゃない。ドロドロ、めちゃくちゃ臭う。その状況下で1〜2週間を過ごしている人が「やっと入浴できた!」と。
森本毅郎スタンバイ!

WOTA株式会社の前田さんに聞きました

よくニュースでも見る光景ですが、ふつう避難所では、自衛隊や米軍が、屋外に大きなテントを張って、仮設の銭湯を組み立てます。ですが、たっぷりの水を、現地までタンクで運び入れなければならないので、道路が寸断されていたら、辿り着けません。前田さんによると東日本大震災では、56箇所で入浴支援が行われましたが、実際に入浴を必要としていたのは、10倍の500箇所。当時、全然足りていなかったんです。

そこで、使える水がわずかでも、多くの人が、繰り返し水を使える技術を開発。「ウォータボックス」は箱型の装置で、エアコンの室外機ぐらいの大きさ。屋外に一人用のテントを張ってシャワーを浴びます。

森本毅郎スタンバイ!

水循環型シャワー「WOTA BOX」

このボックスを通過した水は、ろ過→殺菌→塩素が添加され、再び、きれいになって循環。100リットルの水(2人分のシャワーの湯量)があれば、100人がシャワーを浴びられる。きれいになった水は、WHOの水質基準も満たしていて、シャンプーや石鹸を使っていても、ろ過殺菌の処理で飲んでも問題ないほどの水質になります。

1台500万円しますが、現在全国20の避難所で導入済みで、設置が広がっているようです。

★移動トイレ、自治体間で貸し借りの動き

さらに、避難所の水問題といえば、深刻なのがトイレ。10年経って何か変わったかなと思って調べてみると、新しい動きがありました。千葉県君津市・危機管理課長の石原誠さんのお話。

千葉県・君津市・危機管理課長 石原誠さん
「災害用トイレトレーラー」を導入。箱型のトレーラーに、洋式の個室トイレが4つ。全てのトイレが水洗式で、トレーラーを牽引する車が1台必要になるが、避難所や拠点になる場所に持っていける。令和元年・房総半島台風(台風15号)で、倒木や家屋の損壊があり、停電や断水も長引いた。この時にトイレトレーラーを配備していた3つの自治体から実際に派遣。使用した人からは、感謝と喜びの声、私たちも導入を決意した。
森本毅郎スタンバイ!

千葉県君津市の「トイレトレーラー 」。2月に納車したばかり

2年前の大きな台風で、君津市でも避難所が開設されましたが、そこで使われたのが、トイレトレーラー。トレーラーの中は4つの個室の水洗トイレで、換気扇や掃除用の排水溝があるなど明るく衛生的で綺麗。

このトレーラー、1台1500〜1800万円と高いのですが、そこをカバーする仕組みも広がっています。それが一般社団法人「助けあいジャパン」が推進している「みんな元気になるトイレ」というプロジェクト。

プロジェクトに参加している自治体が、クラウドファンディングで寄付を集めてトイレを1台購入。そして購入した自治体は、他の自治体が被災したら、そのトイレを応援に貸し出という仕組みです。

すでに、12の市町村がネットワークに参加し、300程自治体が検討中ということで、先ほどの君津市も、台風の時は、静岡県の富士市、西伊豆町、愛知県刈谷市から応援を受けたそうです。

ただ、学校や公民館には、備え付けのトイレがあるはず。なぜトイレトレーラーが必要なのかというと、水が止まる、排水が止まる、電気が止まるなどあると、水洗トイレはただの器になってしまい、使えなくなってしまうからです。数百人が身を寄せる避難所では、災害発生直後から、悲惨な状況になり、二次的な健康被害につながります。

★トイレは命につながる

そこで最後に、避難所のトイレ問題に詳しい、NPO法人日本トイレ研究所の加藤篤さんに、トイレの重要性を聞きました。

NPO法人日本トイレ研究所・加藤篤さん
人はトイレに行くのが嫌だと思うと、水分摂取を控えてしまう。ただでさえ極度のストレス下で水分摂取を控えると物凄く悪化する。脳梗塞、心筋梗塞、脱水、エコノミークラス症候群、膀胱炎。最悪、「関連死」に繋がる。だからこそ、快適なトイレを整備することは贅沢じゃない、当たり前。やらなきゃいけないんです。でもどうしてもそこに気づかない、知らない。イメージできない。ちょっとタブー視されていてデリケートがゆえに、声にならないので、問題なしってなっちゃうんですよ。声に出しづらいテーマなんです。
森本毅郎スタンバイ!

日本トイレ研究所の加藤篤さん

断水などで避難所のトイレが使えない場合、仮設トイレが設置されることがありますが、暗くて、汚くて、あまり使いたくない。そうなると、水や食糧を我慢する人も大勢いるそうです。特に体力のある若い世代、女性が我慢して、体調を崩す。災害時の関連死には、トイレが遠因という指摘もありました。

というわけで、避難所のトイレ問題解決が少し動き出していたことが見えてきました。

ちなみに、家庭内避難でもトイレは問題になるので「携帯用トイレ」は必ず備えておくようにと、加藤さんは強く指摘していました。