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憲法の民間草案の起草者、鈴木安蔵の生家を、南相馬市小高区の原発事故からの復興に活かしたい▼人権TODAY(2021年2月27日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時20分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは、「憲法の民間草案の起草者の生家を、原発事故からの復興に活かしたい」について

担当:崎山敏也

まもなく東日本大震災と福島第一原発事故から10年。原発から約20キロの南相馬市の小高区は一時、無人の街になり、2016年7月に避難指示が解除されました。震災前の人口は約1万3千人でしたが、現在、約4,300人が住んでいます。

JR常磐線の小高駅から駅前の通りをまっすぐ歩いていきますと、右手には、昨年、作品が全米図書賞を受賞した、作家、柳美里さんの経営するブックカフェ「フルハウス」。さらにまっすぐ歩いていくと、左側、魚屋さんの手前に古い木造家屋が見えてきます。憲法学者の鈴木安蔵が生まれ育った家です。

国登録有形文化財「鈴木家住宅」

鈴木安蔵は戦前、小高で生まれ育ち、京都の大学に進学しましたが、そこで、「治安維持法」が適用された最初の事件に巻き込まれて逮捕され、その経験から憲法を研究するようになりました。戦後になって、民間の有識者が作った「憲法研究会」のメンバーになり、中心となって、「憲法草案要綱」をまとめました。「憲法草案要綱」は、GHQ=占領軍と総理官邸に提出され、日本国憲法に、原案として影響を与えました。

ただ、鈴木安蔵のことは最近まで、地元、小高ではあまり知られていませんでした。生家では親族が薬局を経営していましたが、原発事故で廃業、今は誰も住んでいません。2020年に、設立された「鈴木安蔵を讃える会」の会長、志賀勝明さんは「素人は、地元であっても、安蔵さんっていう方自体を知らないんです。学校でも教えられないですから。基本的人権の尊重って大事になってきたけれども、どういう過程で、そういう憲法になったのか、その原案を誰が作ったのか。鈴木安蔵、という方はどういう人生だったのか、っていうことをちゃんと学校で教えなかったら、わからないですよ」と話します。

志賀さんは生家に住んでいた、鈴木の親族とも元々知り合いでしたが、憲法に関わる業績については知らなかったということです。避難指示の解除後、鈴木安蔵に関心のある人たちを案内して回っていた時、その人たちの鈴木安蔵への思い入れの深さをあらためて感じたそうです。

小高にゆかりのある人として、作家では、「死の棘」の島尾敏雄や「死霊」の埴谷雄高がいて、震災前から記念の文学資料館がありました。震災後、南相馬市は、街の復興のためにも、ゆかりのある人や文化財の価値の再発見に取り組んでいます。志賀さんも「小高っていうのはきわめて、いろんな人物がいるんですよ。本当にそういう点では、小高という土地は素晴らしい土地だって、思いますよ。人口わずか1万3千人ぐらいだったですからね。そういう中でいろいろな、歴史に名を残せるような方が輩出されたっていうのは、地域のやっぱり文化なのかね」と話します。

鈴木の生家は誰も住まなくなり、解体するしかないかもしれない、と聞き、志賀さんは地元や福島県内の憲法に関心のある人たちや、南相馬市に保存を訴えました。大正後期に作られた木造平屋のこの家は、伝統的な商人の家の作りの一方、家の中の造作、ちょっとした装飾、建具などに大正から昭和初期にかけての文化の香りがします。その価値が認められ、2018年に国登録の有形文化財「鈴木家住宅」になっています。

実は、元々訪ねる予定にしていた日の一週間前、2月13日に大きな地震があり、小高でも震度6弱を観測しました。鈴木の生家も以前はなかったひびが入った箇所などがあり、志賀さんはまずは補修のことを考えなければ、と話しながらも、「ここで、やっぱりまず、安蔵さんの功績を学ぶ会みたいなのを開きたいなって思っています。あとここには、安蔵さんに関わる資料なんかを展示したいな、というのは思っています。今回のコロナによって、個人の基本的な人権のことがすごく問われているわけでしょ。やっぱりここに来て、いろいろね、自分で確かめてほしいな、と思います」と話していました。

鈴木安蔵が中心になって作った民間の「憲法草案要綱」には、憲法25条の生存権、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」も同じような文言で出てきます。被災地の復興もそうですし、他の私の様々な取材テーマとも関わっています。

志賀勝明さんは「鈴木安蔵を讃える会」で一緒に活動をする人を小高だけでなく、広く全国に募っているということです。

「鈴木安蔵を讃える会」について、問い合わせは、

志賀勝明さん 0244‐26‐4645 まで。

南相馬市 小高観光協会 https://odaka-kanko.jp/