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「さいごの一滴までむだにしない」でロングセラー

森本毅郎 スタンバイ!

新型コロナウイルスのワクチンは一滴たりともむだにできないということで特殊な注射器が取りざたされていますが、今回は「さいごの一滴までむだにしない」ということで人気となっているロングセラー商品をご紹介します。

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日2月23日(火)は、『「さいごの一滴までむだにしない」でロングセラー』というテーマで取材しました。

 

現場にアタック 2021年2月23日(火)放送http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20210223074025

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

★シャンプーを一滴残らず使い切る

家庭で使っているシャンプーやリンス。いくらポンプを押してもボトルの底にどうしても残ってしまいます。また詰め替え用の別売りのパックもボトルに移し替えるときにやはり少し残ってしまいますよね。これをさいごの一滴までむだにしないグッズがロングセラーになっています。グッズを開発し製造している株式会社三輝の3代目社長・阿部拓也さんにお聞きしました。

阿部拓也さん(株式会社三輝・代表)
お風呂場用のシャンプー、リンス、ボディソープのポンプ式ボトルは最後の一滴まで使えず、40ミリリットルぐらい残ってしまうんです。男性だとシャンプー8回分ぐらいの量です。それでボトルの中身がなくなったら詰め替えパックを注ぎますが、その詰め替えパックをそのまま使っていただいて、切り口に直径3センチくらいのポンプを取り付けて、逆さまににして詰め替えパックそのものを使っていただく「詰め替えそのまま」というグッズを開発しました。使い切ってから詰め替えパックを切って中を見ると一滴も残っていないという便利グッズです。

これは2つのパーツで一組になっています。一つは長さ3~4センチのポンプで、これを詰め替えパックの切り口を切ってそこに差し込みます。もう一つのパーツはハンガーのフックのような形で、根本の方はパチンとはさめるようになっています。これを詰め替えパックの底に取りつけて、浴室内の手すりなどにパックをつるします。詰め替えパックを逆さにつるすとパックの切り口に取り付けたポンプが下にきます。このポンプは先端近くがゴムのような素材でちょっと膨らんでいて、そこを指先でつまんだり、手の平で軽く握ると、詰め替えパックの中身が出てきます。

でも逆さに吊るしただけでは、最後の一滴までは使えません。このポンプは押しても中に空気が入らない仕組みになっていて、詰め替えパックが真空になっていくのです。だから最後の一滴まで使えるというわけです。

「詰め替えそのまま」を製造している三輝は、東京・大田区でガスなどの配管に使われる流体継手という部品を作っている町工場。日本で初めて流体ガス用のワンタッチ自動開閉継手を開発した会社なんです。その高い技術力が生かされているんですね。

この「詰め替えそのまま」は、高価なシャンプーやリンスは一滴も無駄にできないという女性たちから熱い支持を得て、2009年の発売開始以来、売上はずっと右肩上がり。年間40万個も売れているそうです。

★水産高校の生徒たちが開発した魚醤

さいごの一滴までむだにしないということで人気になっているロングセラー、もうひとつは「魚醤」。商品名はずばり「最後の一滴」。製造販売している新潟県糸魚川市の水産加工会社、株式会社能水商店の代表・松本将史さんにお聞きししました。

松本将史さん(株式会社能水商店・代表)
私たちの会社がある糸魚川市には毎年サケが産卵のためにたくさん返ってくるんですけど、川に帰ってきたサケは脂肪が落ち切っていて、私たちが普段食べている北海道産やチリ産、またノルウェーで養殖された脂ののったサケとは違って市場価値が高くないんです。そこでそのサケにどうやって付加価値を付けていくかを県内唯一の水産高校・新潟県立海洋高等学校の子たちと研究する中で、魚の醬油(魚醤)がいちばんいいということで、商品化に踏み切りました。当時、商品開発した生徒たちと考えたんですけど、川に帰ってきて一生を終えるサケを最後の最後まで大事にしてうま味を取り出したという意味と、料理の最後にひとさじ加えると普段のお料理がもうワングレード、アップしますよという意味を込めて「最後の一滴」と名付けました。

魚醤といえば、ハタハタから作る秋田のしょっつるや、カタクチイワシを原料とするタイのナンプラーが有名ですが、こちらは地元に遡上してくるサケを地元の貴重な資源として考え、さいごの一滴までむだにしないというものだったんですね。

魚醤は魚に塩を加えて2年ほど発酵させて作りますが、この「最後の一滴」はサケに塩と醤油麴を加えることによって2週間ほどで発酵するそうです。また、クセがそれほど強くないので、魚醤はちょっと苦手という方でもおいしく食べられそうです。

和洋中と料理を選ばず、チャーハンや野菜炒めなどの炒め物にも、ラーメンやスープ、鍋などの汁物にも、肉じゃがや魚の煮つけといった煮物にも、どれもよく合うそうです。特にオリーブオイルとの相性がばつぐんなので、松本さんのおすすめはペペロンチーノだとか。

★水産高校の授業が会社へ発展

お話を伺った松本さんは元々「最後の一滴」を開発した海洋高校の先生でした。食品科学コースの生徒たちと商品開発・製造販売実習の一環として取り組み始めたものが大評判になったため、高校の同窓会や糸魚川市の協力で会社を設立。松本さんは教員から社長へと転身。生徒たちと一緒に製造する「最後の一滴」は、今では地域の産業や環境に大きく関わるようになっています。

松本将史さん
開発に取り組み始めたのは2011年で、2015年から3年間、学校外の施設で製造販売してきたんですけど、メーカーとして取り引き先が増えてくる中で、しっかりした責任体制・管理体制をとらなければいけないですし、まだまだこの醤油を販売していけば地元に帰ってくるサケの資源を有効に利用できる。そういった事業拡大を考えると教員という立場ではなかなか展開できないので2018年3月に退職して、その翌日に株式会社をつくり今に至っています。ゆくゆくは自分たちがサケを養殖して放し、返ってきたサケを加工して販売する。サケを増やして維持・管理するというところから、その資源を使いつくすというところまで完結する会社として、地元に根付いていきたいと思っています。

「最後の一滴」の売上金を使って、水産高校の生徒たちは全国各地の販売会にも出ているそうです。

このぐらいのむだが出るのは仕方がない・・・そういった固定観念をくつがえして取り組む人たちによって、新しいスタンダードがつくられていくのでしょう。