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注目の新素材が、アパレル業界を変える?

森本毅郎 スタンバイ!

新型コロナウイルスの影響を大きく受けた業界の一つが、アパレルです。しかし、そんな中でも引く手あまたという新素材がありました。2月4日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。

 

田中ひとみの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20161010040000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

まずは、「HUMOFIT(ヒューモフィット)」という製品について、三井化学株式会社の西川茂雄さんのお話。

★とろける下着で体にフィット

三井化学株式会社 西川茂雄さん
最初触った瞬間は固い。下敷きを触ったような感触だが、その後、自分の体温が素材に伝わることによって、だんだん柔らかくなっていく。とろける、どんどん柔らかくなって馴染むような感触。私、この素材を触った瞬間に「ひと触り惚れ」。何に使えるかわからないけど、必ず新しいことに使えると直感。引き合いは多い。例えばヘルメット、帽子、カツラ、ヘッドホンのパット、腕時計、ベルト、サポーターなど。要は、体に触れる所ってたくさんあって、ただ不一致とか違和感とかありますけど、そこをこの素材で解消できるのではないか。
森本毅郎スタンバイ!

「HUMOFIT(ヒューモフィット)」。常温だと、しっかりとした固さですが…

森本毅郎スタンバイ!

しばらく手に置くと、28度の「ガラス転移温度」を超えて、とろけるように肌に馴染みます

森本毅郎スタンバイ!

このように引っ張っても問題なし。時間が経つと元どおりになります

「ヒューモフィット」は、人肌でとろける素材。触れた瞬間から柔らかくなり、手に馴染む、クセになる触り心地です。この不思議な感覚の秘密は、「ガラス転移温度」にあります。材質はプラスチックですが、プラスチックにはそれぞれ、「ガラス転移温度」という、ぐにゃりと軟化する温度があるんです。

例えばCDケースのガラス転移温度は100度。100度を超えなければ素材は固いままで、溶け出すことはありません。一方、ヒューモフィットのガラス転移温度は28度。人が触れて28度を超えると一気に柔らかくなります。

帽子やヘッドホンなど、色々例をあげてくれたが、現在、商品として実現しているのは、マタニティ用のブラジャーのパッドと、パンプスのインソール。

森本毅郎スタンバイ!

HUMOFIT(ヒューモフィット)が使われている、マタニティ向け新商品「とろけてバストになじむブラ-産後-」

ヒューモフィットを使うことで、まるでオーダーメイドのように体にフィット。西川さんの「ひと触り惚れ」がなければ、ボツになっていたかもしれない。今後、様々な製品への活用が広がりそうです。

「ヒューモフィット」は、現在『日本ものづくりワールド』に出店中(幕張メッセ)。
企業向けの商談のための展示会で、2月3日(水)〜5(金)まで実施しています。

★伸びる銀の糸で、ストレスを見える化

そして続いての新素材。「とろけるプラスチック」の次は、「伸びる金属」です。「hamon(ハモン)」という製品なのですが、ミツフジ株式会社、代表取締役社長の、三寺歩さんに聞きました。

ミツフジ株式会社・代表取締役社長 三寺歩さん
タンクトップのいわゆる下着。胸の所に電気を通す繊維が入っていて、着るだけで心電図をとることができる。例えば心拍や、自分のストレスが、スマホで見られる。特に私達が作っている糸は、「銀メッキをした糸」で、肌にぴったりと当たる形で、金属の繊維が付いている。さらにその銀の糸を伸ばす技術を作っていて、伸びても正確に情報が取れる。高齢者の見守り、急激な体調変化が起きたときに警報を鳴らしたり、工事現場で建設会社などが現場の作業員に配布して、夏暑いときに倒れたり体調が変化した場合に警告ができる。

見た目は普通のタンクトップですが…

森本毅郎スタンバイ!

hamonのタンクトップ

表面にウルトラマンのカラータイマーのような端末(トランスミッター)がついていて、この端末が心臓の鼓動を拾ってスマホに飛ばします。

森本毅郎スタンバイ!

胸元には、計測した心拍数をスマホに飛ばすための端末(トランスミッター)がついています

重要なのが、カラータイマーの裏側の、肌との密着面。

森本毅郎スタンバイ!

肌との密着面の胸の部分には、「銀メッキ繊維」が縫い付けられています

森本毅郎スタンバイ!

よく伸びてしなやか。感触も普通の糸と変わりません。(200回の洗濯可能)

私たちの心臓は、鼓動を打つたびに、微弱な電流を発生しているそうですが、そのわずかな電気信号をいかに正確に拾い上げるかというのは、「糸」の材質にかかっている。つまり、電気を通しやすい糸ほど、正確なデータが拾えるそうなんです。

その点、この会社が開発した銀メッキの糸は、非常によく電気を通します。しかも、ゴワつきもなく、よく伸びてしなやか。「性質は銀、風合いは糸」、この両立を実現したことで、正確なデータの計測が実現したそうです。

森本毅郎スタンバイ!

トランスミッターから送信されたデータは、スマホの専用アプリで確認できます。「体調」「ストレス」「暑熱リスク」「眠さ」の指標がみられます

現在は法人向けに販売していて、スポーツの分野でも活躍。例えば、ボクシングの村田諒太選手がこれを着て、コンディション管理をしていたり、サッカーJFLの「いわきFC」も、トレーニング中に心拍を計測しているそうです。

★日本の底力は町工場に眠っている

今後は、一般向けにも販売を広げていきたいと話していましたが、実はこの会社、元々、京都の西陣織の帯を作る工場だったそうです。現在、創業64年目で、三寺さんは3代目。先代のお父さんから会社を継ぐ経緯を聞くと、町工場の可能性が見えてきました。

ミツフジ株式会社・代表取締役社長 三寺歩さん
父親は「銀メッキ繊維」の使い道を考えて、なかなか日の目を見なかった。工場を畳んで会社潰そうと父親に言われて、最後の勝負だなと挑戦することにした。その時に電気メーカーさんがこぞって、「この糸すごい。電気を綺通すにも関わらず、普通の糸なんだよ」と褒めてくれた。それでウェアラブルに可能性を感じ、「ハモン」を世に出した。でも、ウェアラブルって非常に先端的な世界だと思われるが、実はほとんどが、父や祖父の代から作られてきた機械で作られている。汗水流して頑張っている町工場に世界最先端の技術があって、もっとそこに目を向けて新しい挑戦をしていけば、世界に勝てる商品作りができるんだと改めて勉強した。

元々、こちらの会社は西陣織の帯を作っていたそうですが、お父さんの代で銀メッキ繊維を開発。当時は銀の抗菌作用に注目し、「抗菌靴下」を販売していたものの、ブームが去って売れなくなってしまった…。

そんな中、外で働いていた息子の三寺さんが会社を継ぐことになったのですが、実は三寺さんは以前、パナソニックやIT企業に勤めていたそうです。今では、その頃の経験が活きて、「糸」や「アパレル」だけでなく、「通信機」や「アプリ」も全て、一貫して手掛ける会社として事業を拡大しているということでした。