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刑務所出所者のためのおしゃべり会

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で08:15頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・刑務所出所者のためのおしゃべり会

今回は、ある『集まり』を取材してきました。
それは『刑務所出所者』
つまり刑務所を出た人たちが集まっておしゃべりする会です。

法務省によると、刑務所を出た人の半数以上が行き場がない、居場所がない、と言います。また、出所後2年以内に、3人に1人が再び罪を犯して刑務所に戻っているんです。
そこで安心して自分のことを話せる場として「おしゃべり会」を始めました。
会を開いているNPO法人「ま~る」の代表理事で弁護士の小竹広子さんに話を聞きました。

小竹広子さん
「刑事事件の被告人被疑者に接していて、やっぱり社会に戻る時に、刑務所にいたとかそういう事件起こした過去があるっていうのは皆隠さなきゃいけないし、仕事するには当然隠すし、そうすると、過去に空白があるので、自分の話とかを友達に話すことが出来なかったり、人としっかり繋がれないっていうのはとても大きな問題としてあるんですよね。安心安全な場で、自分の感情を人に伝えても、批判されたり貶められない場を作りたいなっていうのが1つ大きかったですね。」

「ま~る」は2011年に活動を始め、おしゃべり会は月に2度ほど、東京・飯田橋にある市民センターで行われています。
毎回10人ほどが参加していて、代表の小竹さんを囲んで話をします。

そのおしゃべり会の内容ですが、私が取材した日は「好きな食べ物、音楽、時間」の話をしました。例えば誰かが「アボカドが好き」と言えば、「こういう食べ方があるよ!」など話がふくらみます。本当に普通の話をします、刑務所に関わる話をするわけではないんです。

小竹さんによると、刑務所を出た人は、自分の過去を隠すことに必死で、人と関わること自体をやめてしまうといいます。

まずは普通の会話をして、仲良くなって、徐々に自分の言いたいことを相手に伝える訓練をします。おしゃべり会はおよそ2時間半で、その後半には誰か1人、話せる人が自分の過去の話をします。誰かが話すことで、聞いていた人もここでは話して良いんだなと思えるわけです。
参加していた人の話です。

参加者
「なかなか出所者っていうのは前科を明らかにしたら、今居る居場所を追われるんじゃないかっていう恐怖があるんですけど、ここでは本名を名乗る必要もないし、居場所になってます。」
参加者
「もともと出てきたら暴力団の方に行くつもりだったんで、でもおばあちゃんが脳梗塞で倒れてしまって今寝たきりの状態なので、これじゃいけない!って思って、こっちに来ました。人と人との繋がりで自分が助けられていくんで、今日来れて良かったです。」

みなさん、居場所が出来たということを嬉しそうに話してくれて、おしゃべり会が終わってからもまだ話し足りないと、ご飯を食べに行っていました。中には、こんな方もいました。

参加者
「僕は元犯罪者で暴力団員で、最後は死亡事故起こして刑務所行ってってそういう状態だったんで、世界の中で自分の居場所はないと思ってました。
でも自分が居ていい、同じ仲間の助けになれるとか。死ぬ方が楽っていう状態から、ああ自分には、やっぱり生かされてる意味があるんだって。」

話す相手がいることは大きいんです。
ここで仲間が出来たおかげで、再犯せずにいられると話していました。
小竹さんは、再び罪を犯してしまう原因には周りの反応もあると話しています。

小竹広子さん
「職場で、自分が刑務所に行ってたことがあるってことをバラされてしまって
とても居づらいと、こんなだったらもう一回犯罪した方が楽じゃないかっていうことで、そういう風にすごく孤立してしまっている人はたくさんいるのかなと思います。」

今回取材に行く前は私も「怖いのかな」という先入観がありましたが、実際に会って話を聞いていると「優しくて繊細」な印象を受けました。
「ま~る」では回りの理解を広げるために、おしゃべり会以外に、刑務所出所者による講演会なども開いたりしています。

こうした刑務所出所者が集まれる場所っていうのはまだ少なく、小竹さんによると、仕事のサポートや自立支援をしている場所は多いのですが、仲間作りの場所というのはほとんど無いそうです。

小竹さんは、ゆくゆくは、より仲間作りをしやすい場所として出所者が一緒に生活しながらいろいろな話をして、社会復帰に繋がる場所を作りたいと話していました。

担当:楠葉絵美