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大学生が考案。高齢者と楽しみながら対話ができるカードゲーム▼人権TODAY(2021年1月16日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…『大学生が考案した、高齢者と楽しみながら対話ができるカードゲーム』です。

商品企画のインカレで優勝。アイディアが商品化

法政大学経営学部の同じゼミに所属する学生3人(加藤歩さん、木村光希さん、山下遥さん)は、一昨年、ゼミ活動の一環で産学連携の商品企画大会(Sカレ:Student Innovation College)に参加。「社会課題を解決する印刷商品」をテーマに商品企画を行い、実際に商品化されました。

当初、コミュニケーション促進商品をベースに考えていたものの、いまいちコンセプトが定まらず壁にぶつかっていたそうです。そんなとき、ふと、メンバーの祖母が軽い認知症だと話したことがきっかけで、「高齢者」「認知症」というテーマを軸にしようということに固まっていきます。
学生チームのひとり、木村光希(きむら・みき)さんはこのように話します。

考案した学生メンバーのひとり、木村光希さん

家族のコミュニケーション不足をテーマに掲げて進めていて、家族が話すきっかけって何だろうということをずっと考えていたんです。高齢者の方は結構ゲームが好きで、施設にもゲームが置いてあったりするんですね。やっぱり、カードゲームって負けたら悔しくて、「もう一回やりたい!もう一回やりたい!」となるんです。

ゲームの力を借りて会話を楽しむ

たどり着いたのが、「懐話ふだ」というカードゲームでした。「会話」という言葉をもじり、「懐かしい話」と書いて「懐話ふだ」。
自分の過去・思い出話を話すことで脳の活性化を促す「回想法」という方法が活かされているといいます。

どのようにして遊ぶのでしょうか?
裏返しになっている複数の「時代カード」「思い出カード」をそれぞれ1枚ずつめくって、組み合わせたエピソードを話すというのが基本的な遊び方です。
同じ言葉が書かれているカードは4色あり、トランプの神経衰弱の要領で同じ色が揃ったらカードが獲得できると同時に、そのエピソードについて話すことができるというルールで、短期的な記憶力を試すゲーム的な要素も盛り込まれています。

懐話ふだ(10cm×10cmの大きさ)

たとえば…
▶「時代カード」をめくると  → 「学生時代」と出ました。
▶「思い出カード」をめくると → 「褒められた話」と出ました。
▶同じ色だったので、「学生時代の褒められた話」をテーマにトークをスタート。
…色が違えば、カードを戻し、次のプレイヤーの順番になる…という具合です。

時代カードには、「学生時代」「幼少期」「大人になってから」「ここ最近」の4つの時代が用意されています。
一方、思い出カードには、「趣味・特技」「旅の思い出」「恥ずかしい出来事」など、異なる12のエピソードが用意されています。

カラフルかつシンプルなデザイン

企画大会の賛同者でもある印刷会社(明成孝橋美術)のアドバイスを受け、見やすい大きな文字や、カードの大きさ、厚さ、目に優しい色、過度に幼稚ではないデザインにするなど工夫を凝らしました。また、心理学の専門家にアドバイスをもらったり、高齢者介護施設にも何度も足を運んで、内容についてもリサーチを重ねたそうです。
学生メンバーの加藤歩(かとう・あるく)さん、山下遥(やました・はるか)さんはこのように話します。

オンライン取材の様子。加藤歩さん、山下遥さん、木村光希さん、指導教官の本條晴一郎さん

【加藤歩さん】 実際にいろんな施設に話を聞きに行って、レクリエーションはどんな感じでやっているか、どんな感じで遊んでいるのか、現場の目、現場の声をたくさん聞きました。トランプみたいなカードゲームを楽しんでやっているという話を聞いて参考にしました。
【山下遥さん】 カードの精査にも協力してもらいました。当初、「好きだった映画」というカードがあったのですが、映画が浸透していない時代を生きてきた人もいるし、「社会人時代」というカードがあったのですが、すぐに家庭に入ったというおばあちゃんもいたので、広く汎用的に、みんなに使ってもらえるような言葉遣いに直したりしました。

「思い出カード」の中に、「好きだった人」なんていうカードもあります。
当初、「恋愛の話はふさわしくないのではないか?」と思っていたそうなんですが、実際、介護施設の職員さんや入居者の方に伺ってみると、「若い頃の淡い恋愛話」で結構盛り上がることがわかり、商品化の際に採用したそうです。現場に出向いたからことの発見が多かったといいます。

家族も知らないエピソードがたくさん

また、長い時間一緒に過ごしているはずの介護施設の職員や家族も知らないエピソードがポンポンと出てくるのも新しい発見だったといいます。木村光希(きむら・みき)さんはこのように話します。

祖母と懐話ふだで遊ぶ木村光希さん

私には91歳の祖母がいるんですけど、一緒に遊んだ時に、昔、ソロバンが得意だったとか、高跳びが得意だったという話が聞けました。そういう話って普段しない、聞けない話。意外と昔の話って覚えているんだというところに発見があったので、この「懐話ふだ」を通していろんなエピソードが聞けたのが印象的でした。

商品には説明書と一緒に、さらに楽しむコツが書かれた付属のメモも添えられています。
・聞き手の人は、うなずいたり、「それでそれで?」と話を拡げてみましょう!
・年齢の離れた人と遊ぶときは年表を用意したら、もっと深堀りできるかも?
・ゲーム終了後、一番感動的な話をした人を表彰してみましょう! etc.

何も書かれていないカードも付属されていて、ローカルな話題やより狭い時代設定を追加できるなど、一段階上の遊び方も提案しています。

商品企画のインカレで優勝した時の様子

【山下遥さん】 製作段階で、ある専門家の方から「高齢者を過去の人と捉えてはいけない」という言葉をいただきました。無意識にそう考えていたのかもしれません。これから一緒に生きていく人として、高齢者とか家族と接していきたいと思いました。
高齢者と一緒に遊ぶというシチュエーションに捉われず、会社の研修や初対面の人が集まる会合など、様々な場面で使えるのではないかと感じました。

「懐話ふだ」は、AmazonやBASEといったインターネットストアで購入可能です。

■購入方法
▶︎Amazon懐話ふだ ▶︎BASE

■法政大学経営学部 西川英彦・本條晴一郎ゼミ「チームCMY.ink」
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(取材報告:TBSラジオ・ディレクター 瀬尾崇信)