お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


NiziUの新曲「Step and a Step」が音楽業界でバズった理由は音階にアリ!

金曜ボイスログ

毎週、朝8時30分からお送りしているTBSラジオ「金曜ボイスログ

パーソナリティ、シンガーソングライターの臼井ミトンによる音楽コラムの書き起こしです。

今回はピアノを使っての解説となります。書き起こしだけでは伝わりづらいので、放送の模様を収録した動画をYou Tubeにアップしました。そちらも御覧ください。

音階から紐解く!NiziUの新曲に込められたJ・Y・Parkの矜持とは

去年末の紅白歌合戦にも出場したガールズグループ、NiziU
日韓合同のオーディション番組「Nizi Project」から選ばれた9人組のグループですね。このオーディション番組がHuluで配信されてた時期っていうのがちょうどコロナ禍のホームステイ期間中だったこともあり、非常に大きな話題になりました。

実は我が家でも妻が熱中して毎回、涙を流しながら見ていてました。否が応でも、去年1年間を通して目にする機会耳にする機会が個人的にも非常に多かったんですよね。
先日の紅白歌合戦で歌われていたのは、縄跳びダンスでバズったお茶の間でもすっかりお馴染みの「Make You Happy」という曲でした。
ややこしいことにこの7月にリリースされたこの曲はデビュー曲ではないんですね。で、実際のデビュー曲は先月12月頭にリリースされた「Step and a Step」。これで正式にデビューしたということになるそうです。

実はこの「Step and a Step」 という曲、音楽関係者の間でかなりバズっていて。なぜ話題になったかと言うとAメロの所々に不協和音みたいな音が使われてるんですよ。聴いていただいた方が早いので、一番のAメロだけまずはちょこっと聴いてみてください。

今日はおもちゃの小さな小さなミニ鍵盤をスタジオに持って来てるんです。
それで該当部分を弾いてみたいと思います。こんな感じです。

この音って、鳴ってるコードに対して、短9度という、フラット9thという非常にエグみのある音なんですよね。ただ、コードに対してはすごくエグみがあるんですけど、前後のメロディーの流れから見ると、実はこの音そのものはそんなに特殊な音ではなくて、いわゆるブルーススケールということになるんです。要はブルージーな音階の一つと考えるとそんなにおかしなことではないんです。
ブルーノートって言われるもので、ジャズとかブルース、そこから派生したソウルとかR&Bなんかでは頻繁に使われる音なんですけど、そこにたどり着くまでは普通の音階でメロディが作られていて、突然途中から、ちょっとマイナー気味のスケールに切り替わる。

この突然メジャーとマイナーが切り替わるっていう手法も、ブルースなんかでは、後ろで鳴ってるコードに関係なく旋律がメジャーとマイナーを行ったり来たりするっていう感じで割とよくある手法なんですが、このNiziUの新曲になんで驚きがあるかって言うと、コード進行だったり音楽の作りそのものは全くブルージーではないわけなんですよ。

ポップスの世界で非常によくあるコード進行。なのに突然、先程のブルージーな音が出てくるからドキっとするんですよね。誰もここでこの音が出てくるとは予想できないと言うか。
さらに言うとこのブルージーな音を使う場合、歌い方とかにニュアンスもブルージーに歌うっていうのがお決まりなわけなんですよ。
ただここではかなり素直に「(安心)し・て(音名でソ・ファ)」って割と素直にこの音をストンと置きに来ている。普通だとちょっとひっかけてこぶしを効かせたりするんですけど、そういうのも一切なく機械的にストンとこの音に降りてる。これが実は音楽的な感覚で言うと結構未来的っていうか。この音に行くならこういうニュアンスで普通やるよねっていうお決まりの常套句みたいな、暗黙の了解みたいなとこからいきなり逸れてる感じがしてドキッとするんです。

プロデューサーのJ・Y・Parkさん、おそらく明らかに意図してこういう新鮮なことと言うか、耳にフックになるような、「お、なんなんだ今の」って言うドキッとするような瞬間を一番の頭に持ってきてると思うんですよ。意図的に。

で、僕が思うに、NiziUって日本のマーケットにローカライズされたK-Popだと思うんですよね。日本人向けに味付けがされてる音楽というか。今、世界のチャートを席巻してるBTSとかブラックピンクとかって完全に現在進行形のアメリカで一番流行っているR&Bがベース。

アメリカのマーケットにガチッとロックオンしてそこを狙って作られてる感じがするんですけど、NiziUに関してはとにかく日本で愛されるっていうことをすごく強く意識して作られてるんですね。

それはサウンドだったりメロディーからもすごく顕著で。ある意味であんまり尖ってない、マイルドで優しい、可愛らしい感じがすごくするじゃないですか。
例えば実際に縄跳びダンスのMake You Happyっていう紅白で歌われた曲。

これで使ってる音階って実はヨナ抜き音階と言って、本当に古くから日本にで親しまれている伝統的な民謡だったり童謡だったり、木曽節なんかの民謡で使われている音階なんですよね。

例えば「上を向いて歩こう」「木綿のハンカチーフ」みたいな国民的なヒットソングって、この音階をベースに作られてる歌が多くて。
だからもうMake You Happyは完全に日本人の心をつかみに、計算ずくでつかみに来てる歌だったりするわけですよ。
この「Nizi Project」ってオーディション番組で親戚の子供とか自分の孫の部活動を応援するかのように、毎回毎回涙を流して応援していた我々日本人のおじさんおばさんの心をロックオンしに来ちゃってるわけなんですよ、この音階を使って!

ただ、そういう戦略でやっていてもJ・Y・Parkさんっていうプロデューサーは、アメリカでもウィル・スミスを手がけたりとか世界のマーケットを相手にずっと戦ってきた、戦っている人なわけなんです。

だから、「ただ懐かしい使い古された音階をなぞるだけ」では終わらないぞっていう。音楽的に新しいことに挑戦する、攻めて行くんだぞっていう現役クリエイターとしてのプライド、意地みたいなものが、この突然現れるブルーノートノートに込められているというふうに僕はすごく感じていて。ただでは終わらないぞっていうようなね。そんな部分を注目していただいて改めて聞いてみてください。

ちなみに2番を歌ってるRIMAさんというのはソウルフルな歌い回しが得意な子なんで、この該当のブルーノートもソウルフルに歌っていて一番ほどは違和感を感じない、ってていうのもちょっとミソで。1番と2番の雰囲気の違いもちょっと聞き比べていただければなと思いますそれではお送りします、NiziUで「Step and a Step」