女優の檀れいが毎回、その日にまつわる話題や風物詩などを交えてお届けする「檀れい 今日の1ページ」。今週は、新しい年に、幸せを呼び込んでくれるカモしれない、「縁起物」のお話をお送りしてまいります。
幸せを願って買う「縁起物」。
毎年おなじものを買っている方も多いかもしれませんね。熊手やダルマ、干支の置物など、全国的に浸透しているものもありますが、地域で親しまれているものも、たくさんあります。
たとえば、「宝来」
「宝が来る」と書いて「ほうらい」と読みます。和歌山県の高野山を訪れたことがある方は、たぶんあちこちで、この「宝来」を目にされたのではないでしょうか。これは、絵や文字を、白い紙に切り抜いた、いわゆる「切り絵」。高野山周辺では、お寺や、お店、一般の家庭が、これを貼って、その年の無病息災や、幸せを祈ります。切り絵にするのは、干支の動物や、宝船、松竹梅、そして、宝珠といった、おめでたい絵柄。「宝珠」は、仏像が手にしている「タマネギのような玉」と言ったら、想像していただけるでしょうか。「仏さまの教えの象徴」とも言われています。
また、このほかにも寿」など、おめでたい文字も、宝来のモチーフになります。高野山周辺では、床の間や玄関、台所といったところに、一年間宝来を貼り、年末になると、新しいものに取り替えます。
では、なぜ、宝来を家に貼るようになったのでしょう。こんな説があります。真言宗の開祖・空海は、留学僧として、中国に渡っていた時期がありますが、このとき「切り絵」を習得し、のちに高野山を開くと、弟子たちにこれを伝授したといいます。
そして、日照時間が少ない高野山では、稲作が行えなかったため、しめ縄にするワラを手に入れることができず、後に、この切り絵を、しめ縄の代わりに、お正月に飾るようになりました。
もともとは、年末に貼り替えていた、この「宝来」ですが、現在では、高野山のお土産としても人気で、年末以外にも買うことができます。高野山には、宝来を授与してくださるお寺、販売している文具店やお土産屋さんがあり、また、通販で買えるお店もあるようです。
職人さんが、型紙からつくり、一枚一枚、手作業で紙を切り抜いてゆく宝来。縁起がいいだけではなく、見て楽しむこともできそうです。
皆さんのおうちにも、一枚いかがでしょうか。
ラジオは、AM954kHz、FM90.5MHz。
パソコンやスマートフォンでは「radiko」でもお聴きいただけます。