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国産?輸入?問われる医療用物資の仕入れ先

森本毅郎 スタンバイ!

新型コロナウィルスの第一波では、マスクなどの医療用物資が不足して大変でしたが、この第三波では医療用物資は行き渡っているのか、問題はないのか、12月10日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。

 

田中ひとみの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20201210073934

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

現在、感染拡大の第三波と言われる中、春の二の舞を防ごうという取り組みが、群馬県で始まっています。どんなものか、群馬県庁・産業経済部の、猪熊 栄さんのお話。

★群馬県民だけが買える「ぐんますく」誕生!

群馬県庁・産業経済部 猪熊 栄さん
今年春の深刻なマスク不足から、県内のマスクの需要を、県内の供給で賄えないか、「地産地消」の枠組みができないかと始めた取り組み。元々物づくり全般が盛んな県。群馬県と地元の民間企業が連携して、オンライン上で購入できる仕組み。購入できるのは、群馬県民限定。勿論、海外産が多く出回っているのは重々承知の上で、自分たちが必要な時に入って来ないことが皆さんすごく怖くて不安だった。ですので、「地元産」という考え方に強くフォーカス。第三波が長引いても群馬県内のマスクの供給は安定的に維持できるのではないか。

こちらは「群馬県マスク地産地消推進プロジェクト」という取り組みです。マスクを作るのは県内2つの企業。いずれも、元々、医療用マスクを生産していた会社で、今回群馬県から依頼を受けて生産体制を強化。1セット100枚入りで、3千円前後。不織布タイプの「プリーツ型」と「立体型」の2種類から選べます。

森本毅郎スタンバイ!

白水社「ぐんますく」

森本毅郎スタンバイ!

メディカルリテールの「ぐんまうまれのマスク」。こちらのシリーズでは、他にも立体型のマスクが販売されています

購入方法は、群馬県公式ラインのアカウントか、必要事項を書き込んだ用紙を郵送する方法のいずれか。ただし「地産地消」なので、申し込みは群馬県民に限られます。先月末から本格販売がスタートしたばかりですが、開始から半月ほどで1万2千セット以上が売れているそうで、県民の評判は概ね好評。他の県や市からも問い合わせもあるそうです。

★医療用ガウン、約10万枚の在庫

ところが、一方で同じ「地産地消」でも、全く異なる状況に置かれている企業がありました。医療用物資の中でも、「医療用のポリエチレンガウン」の製造をこの春から始めた、兵庫県豊岡市のカバン製造業者、株式会社服部の代表取締役、服部清隆さん。

株式会社服部・代表取締役 服部清隆さん
ゴールデンウィーク前に、医療用のポリエチレンガウンも枯渇してるということで、取り急ぎ3万〜5万枚作れないかと依頼を受けて、生産に至った。兵庫県の病院局さんから、兵庫県下の県立病院にお配りする分。正直、本業のカバンの落ち込みも相当酷かったので、そのまま継続生産をした。第一波が終わって、7、8月位から注文もぐっと落ちて、9月以降は、注文がなくなった。やはり海外製の安価な物が出回ったことが、一つの大きな要因だと思う。とにかく足りないからこれから作るのであれば、いま持ってる所があると、国も含めて地方行政の方々にも知っていただけると非常にありがたい。

枚数にして、10万枚近くの不良在庫を抱えてしまったそうです。株式会社服部は創業146年と、カバンの製造を手がける老舗ですが、コロナの影響で売り上げは激減。4月は、前年同月比でマイナス80%と厳しい状況だったそうです。

そんな服部さんの元に舞い込んだのが、兵庫県からの依頼。「医療用ガウンが足りない!カバン造りのノウハウを生かしてガウンを作ってくれないか」というもので、同じ豊岡市内でポリ袋を製造する会社等、3社で協力し、急ピッチで医療用ガウンの製造ラインを整えたそうです。そしてこれまで、県の病院や、日本赤十字社などに、およそ13万枚のガウンを納入してきたそうですが、9月以降の注文はほぼ無くなってしまったということなんです。

なぜ、注文が激減したのか?聞いてみると、厚生労働省からの全国の医療機関への供給で、一定数、医療機関に行き渡ったことが一つ。さらに、安価な中国産にとって変わられたことも要因の一つで、結果的に10万枚がだぶついてしまったということでした。

県とは、春は緊急事態だったので随意契約を結んでいたそうですが、その後、安定供給となったため、契約は終了。その時点でやめる選択肢もありましたが、また中国から入ってこなくなるかもしれないし、生産を続けることが大切ではと考えて、作り続けたそうです。

ちなみに、服部さんによると、中国製のガウンは、平時では1枚およそ50円。それに対し、豊岡産のガウンは、1枚およそ200円と、価格差があります。安いものが買われるのは仕方ないですが、一番大変な時を支えた企業が在庫を抱えているのは、悲しい気もします。

★医療物資の確保は「国防」

では、この状況をどうすれば良いのか。医療用物資の安定供給のため、全国で活動を続けている、「最前線にマスクと防護具を 実行委員会」共同代表、秋山真理さんに聞きました。

「最前線にマスクと防護具を 実行委員会」共同代表 秋山真理さん
価格差のある国産品を、医療機関が購入するのは難しい。パンデミックになると、世界争奪戦。外務省も動き、マスク外交する国もあった。そう考えると「持っている」こと自体が、ある意味国防になるし、安全保障、外交に繋がる。そういう意味では、国の方で、国産の企業をどれだけ育てていくか。コロナが終息した時に、そのまま生産ラインを維持してもらうのか、縮小してでも続けてもらい備えておくのか。国としての仕組みも考えていただきたいと、願っています。

秋山さんによると、現状、医療用のビニールガウンは、これまで通りの流通=安価な海外製品に回復してきている状況だそうです。ただ、そればかりに頼ってしまうと、今後何かあったときに入ってこなくなり、また争奪戦に巻き込まれてしまう…。備蓄分も含めて、防護具を持っておくことは安全保障にも関わるので、国のバックアップも必要だと話していました。

田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!