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すごいぞ!日本の技術「世界初!?最強の小便器!」

森本毅郎 スタンバイ!

新型コロナの影響で、お出かけは近くの公園、という方も多いかもしれません。今日はその公園のトイレの話です。実は、都内の公園の男性トイレに、鋳物の小便器が登場しているんです。そこで・・・。「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日11月16日(月)は、『すごいぞ!日本の技術 世界初?最強の小便器!』というテーマで取材をしました。

 

近堂かおりの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20201116073647

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

 

★鋳物で造ったら壊れないんじゃないか?

トイレと言えば、陶器製のものを思う人がほとんどだと思いますが、なぜ、鋳物の小便器ができることになったのか。鋳物業者に依頼をした、東京都公園協会の尼崎弘之さんに聞きました。

尼崎弘之さん
「練馬区の公園で、だいぶ男子用の小便器が壊されまして、5つ並んでると5つ全部壊されたり、直したところもまたやられてしまった。ということで、壊れない便器、なんかないかね、という話が出てまして。ステンレスだと「ヘアライン仕上げ」っていうのになると、色々洗ってもね、匂いが残っちゃってて、で「鏡(仕上げ)」にしちゃうと、ちょっと横から見ると映っちゃうっていう話になって、それではちょっとマズイね、という話なんですよね。で、そういうことがあってね、鋳物のメーカーっていうのは、小便器ができないの?という話が出てきて、メーカーさんにやってみてくれないかいという相談を持ち掛けたんですけどね。あの~造ったこともない、っていうことだったので、まあ、小便器なんか造るっていう鋳物屋さん、聞いたことないですもんね。」

2012年頃から全国で公衆トイレが壊される被害が相次いでいましたが、2014年になって、東京都練馬区の公園の便器が壊されることが続きました。尼崎さんたちは、すぐに修理をしましたが、それもまたすぐに壊され、修理費は1千万にもなった。そこで、壊されてしまう陶器製に代わるものは無いか、探し始めました。

ステンレス製は壊れにくいのですが、台所のシンクのような摺りガラス仕上げにすると、細かい溝に汚れが残ってしまい掃除が大変。逆に、つるりと仕上げる鏡仕上げにすると、使っている本人が映り込んでしまってだめ・・・。

困ってしまった尼崎さんが思いつきました。鋳物ならどうだろうか?

★バールでも鉄球でも壊れない鋳物小便器!

依頼を受けたのは、川口市の鋳物業者「伊藤鉄工株式会社」。5年の歳月をかけて作り上げたのは、どのくらい強い小便器なのでしょうか。伊藤鉄工・技術部次長の藤繁俊五さんのお話です。

藤繁俊五さん
「鋳物の中でも材質はいろいろありまして、強度のあるものがあるので、材質はそういうものを選んでいます。実際に私も出来上がったものをバールで叩いたりもしたんですが、全然壊れることは一切なかったです。鉄球を落として確認したということもやってみました。7・5㎏の鉄球を、1m離した高さからボンってぶつける。小便器の方は横に寝かせて、おなかの部分、そういう壊れやすいところに落として壊れないとかとかというのまで確認はしておりますので、十分強度が持っております。あと壊れにくいカタチということで、部品を分割しないで一体で形をすべて造ってしまう。また角ばっているのではなく、丸みを帯びて、衝撃が加わっても全体的に分散したりといった形を選んだので、その辺でかなり壊れにくくなっています。」

すごく強い小便器ができました!鉄球を落としても凹みもしません!さらに、陶器製の同じサイズのものと比べて、軽い!表面も着色加工でつるりと仕上がり、掃除も安心!しかも、自由に色や柄が着けられる!トイレの雰囲気に合わせた色付けも可能。(世田谷区の駒沢オリンピック公園に設置されたものは、内側は、外側は空色の二色に塗り分けられています。可愛い!)

伊藤鉄工が造った、鋳物の小便器。駒沢オリンピック公園の2号トイレです。

価格は陶器製の1・5倍ほどですが、なにしろ壊れないですし、使わなくなったら、溶かして他の鋳物に生まれ変わらせることもできるので、長い目で見れば格安・・・。

★小便器のなんたるか、を理解することから!

出来上がってしまえば、出来過ぎなくらいな鋳物小便器ですが、なにしろまるっきり初めての挑戦。その道のりは大変だったそうです。

藤繁俊五さん
「鋳物はある程度、カタチは自由に造れはするんですが、トイレというものがなかなか結び付かないものですので、聞いた時には、びっくりしましたね。実際には大手さんに相談することもなく、独自で開発を行ったものなので、大きいメーカーさんはもう100年とかそういう昔から造り始めているので、色んな考えのものを先に特許を取得していたりするので、こちらはもう後発で、やってたもんなので、いかにそれを、こう編み目をくぐっていく、っていうんでしょうか、特許の方も、いかにその辺を回避させるかっていうのも難しかったですね。あの~開発するにあたって、世の中に今まで鋳物の便器があるのか、というのは調べてはみたんですが、特に造ったというのには行きつかなかったんですね。だから今回が、もしかしたら世界で初めて、というのはあるかもしれないですね。」

小便器のなんたるか、を理解することから始めなければならなかったので、本当に大変でした、と。藤繁さんたちは、マンホールや景観鋳物(エクステリア製品)を造ってきた会社。これらは、「造って置いておく」で完成。しかしトイレは「造って置いて、使う」。この「人が使う」という機能を形にするのは、今までなかったので難しかった、と話します。しかも、使いやすいカタチ、綺麗に水が流れる仕組み、色々に特許という壁があり、大手の歴史のすごさを実感しながら、造り上げた藤繁さんたちでした。

しかし、川口市からも小便器の発注が来たり、他にも洋式トイレはできないの?など、声がかかっているそうです。(洋式はあまりに難易度が高いかな~、と)

鋳物は川口市を代表する産業。その鋳物の新しい活路を見出した、ということで藤繁さんは日本鋳造工学会から賞ももらったんです。鋳物の最強小便器は、日本の鋳物技術を一段引き上げたかもしれません!

カラフルで壊れない鋳物小便器に、尼崎さんも感激!カラフルなので子供たちからも評判がいいそうです。今後、便器の交換の際には鋳物製を入れていきたい、とおっしゃっていました。キューポラのある街の伝統が、今に活かされている、ということですね。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。